【要約】『わたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学』生きづらさの真の理由とは?

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イントロダクション

タイトルわたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学
発行日2024年4月10日 初版発行
2024年4月10日 電子版発行
発行所サンマーク出版
著者橋本 翔太
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

上記の本書の紹介ページを見ると『悩みのすべては心に住む「もうひとりの自分」が引き起こしていた』とありました。

どういうこと?

問題を引き起こして自分自身を悩ませて何の意味があるのでしょうか?
そもそも「もうひとりの自分」とは、何なのでしょうか?

正解を知りたい。

そう思い、本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • なかなか問題を解決できない人
  • 問題のせいで生きづらさを感じている人
  • 自分らしい、生きたい人生を生きたい人
  • 自分を守るもうひとりの自分の存在を知りたい人

学べること

人間関係、性格、仕事、お金、恋愛、家族、パートナーシップでの問題……。
あなたが抱えている問題、悩みは「あなたを守るため」に存在しています。
本書からは、その事実を知り、自分の力に気づくことで「自分で自分を助けることができる」。
その方法を知ることができます。

アメリカの哲学者/心理学者のジェンドリン(Eugene T. Gendlin)によって開発されたフォーカシングという心理療法があります。
本書は、このフォーカシングをベースに「著者が臨床経験を通して培った心理療法メソッドを付け加え、アレンジをした心理療法ワーク」について学ぶことができます。

なんだか難しそう。

と、思うかもしれません。
ですが、安心してください。
本書の内容は、はじめての人に向けて、シンプルでわかりやすくアレンジされた導入偏として書かれています。

ここでは、本書の内容について、私の解釈で簡単にまとめています。

あなたの問題を起こしているものの正体

あなたの無意識は、あなたを守ろうとします。
そのために悩みや問題が存在するのです。

どんな人にも無意識に自分自身の心を守る機能が備わっています。
本書では、この心を守る機能は「心の防衛隊」と呼びます。
さらに、この「心の防衛隊」のメンバーを親しみを込めて「ナイトくん」と呼びます。

自分自身を守るための心の防衛隊=ナイトくん

心の防衛”隊”と呼ぶ理由は、ナイトくんがたくさんいるからです。
(ここでは、「ナイトくん」という表記に統一して説明していきます。)
問題や悩みのテーマ、場面ごとに専門のナイトくんがひとりずつ存在します。
あなたの中に何十人もナイトくんがいるイメージです。

ナイトくんの目的

ナイトくんの目的は、たった1つです。
それは、「あなたが、これ以上傷つかないようにすること」です。

しかし、厄介なことにナイトくんには次の特徴があります。

  1. 不器用である
  2. 極端である
  3. 心配性である

そんなナイトくんによる「心の防衛反応」ゆえに、あなたを悩ませる問題の多くが起きているのです。

あなたが抱えている問題には、メリットが存在します。
問題を解決しないことで、あなたにとって何か「良いこと」があるのです。

これを二次利得(二次的に存在しているメリット)と呼びます。


【問題】:人見知り

人見知りで、人とうまく話せなくて困ってる。

【二次利得】:他人に傷つけられない

人を避ければ傷つけられることはない。

この二次利得は、疾病利得という概念が元になっています。
疾病利得とは、病気でいることで本人が得ているメリットという意味です。

  • 病気でいたら周囲が優しくしてくれる
  • 学校や会社を堂々と休める

「本人が無意識のうちに病人を続けて病気が慢性的に持続するという状態」を指します。
意識的にわざと病気になっているわけではありませんので誤解しないでください。

二次利得も疾病利得と同様に問題のメリットに気づいても相手や自分を責めたりすることは絶対にしないでください。

また、二次利得に限らずですが、人間は「特」をすることより「損」をすることを避ける傾向が非常に強いです。
これを「損失回避」と呼びます。

あなたの問題が解決しない理由は、損失回避のために問題を解決しない方がメリットがあるとナイトくんが判断しているからなのです。
ナイトくんが回避している損失とは、「あなたの精神的な痛み」なのです。

ナイトくんの一番の目的は、「もう、傷つきたくない」

ナイトくんの正体

ナイトくんは、人間が持っている心の防衛機能です。
そして、幼い頃の自分が必要に迫られて生み出した「もう一人の幼い自分自身」です。

ナイトくんの正体は、「もう一人の幼い自分自身」。

ナイトくんが誕生するきっかけとなるのは、「幼いながらも、自分でなんとかするしかなかった」経験です。
たとえば、家庭内の問題、学校でのいじめ、友人関係の悩み、自身の闘病の経験などです。
特に辛い状況に寄り添ってくれる大人がいなかった場合に、あなたが傷つかないように、ナイトくんが誕生します。

子どもは、怖い、苦しい、イヤだ、悲しい、恥ずかしいといった不快な感情・感覚の扱い方がわかりません。
だから、大人に寄り添われ一緒に対処してもらい心を穏やかな状態に戻す経験が必要です。
そうすることで、心が自立へと向かい、やがてひとりでも不快な感情・感覚に適切に対処ができるようになっていきます。
これは、心理学や保育の分野で使われる専門用語「協働調整」のひとつです。
この協働調整を十分にやってもらえないと、幼くて無力で弱い自分だけで辛い状況に対処しなければいけなくなります。
しかし、幼い自分だけで適切に対処することは不可能です。
その経験が次の二重の傷になって残ってしまいます。

  1. 辛い経験の記憶
  2. ひとりで対処しなければならなかった無念さ、みじめさ

この二重の傷を二度と感じたくない。
これからも、こんな辛い感情・感覚にひとりで対処していかなければならない。
人間の心は本当によくできていて、自分を守るために自分の中にもうひとりの誰かを生み出します。
そうしてナイトくんは誕生するのです。

ナイトくんが誕生するきっかけは、幼いながらも、自分でなんとかするしかなかった経験。

あなたの問題が存在する理由

ナイトくんは、幼い頃に誕生しているので幼いのです。
幼いあなたを守るためなら、ナイトくんの働きはうまく機能してくれます。
しかし、あなたが大人になると、そうはいかなくなります。
心も知識も子どものままのナイトくんのやり方は、大人になったあなたを困らせることになります。


【問題】:人見知り

子どもの頃

もう傷つけられないように、人と関わらないようにしよう。

人と交流しそうになると、ナイトくんは「あなたが傷つけられてしまう!」と判断します。
そう判断すると、ナイトくんは前面に出て自動的にあなたと入れ替わり守ろうとします。
そして、ナイトくんはよかれと思って人を避けます。

しかし、大人になると…

人と話さなくちゃいけないのに、つい避けてしまう。
いったい、どうしたら…

成長とともに他人との交流は避けて通れません。
しかし、ナイトくんのやり方は幼いままです。
そのため、人間関係をうまく築くことができず問題や悩みを引き起こします。

ナイトくんは、あなたの一番の理解者です。
あなたがナイトくんの働きによって苦しんでいることも知っています。
それでもナイトくんは極端で不器用な守り方しかできないのです。
そのことで、あなたに疎まれ恨まれていることも知っています。
実は、ナイトくんも苦しんでいるのです。
ナイトくんは、孤独で寂しく、そして本当は疲れています。

ナイトくんは、あなたの一番の理解者であり、実は苦しんでいる。

ナイトくんワーク

ナイトくんとあなたの硬直した状態を解決する方法があります。
それは、ナイトくんと対話することです。

あなたは、問題を起こしてまで守って欲しいと思っていません。
しかし、ナイトくんは、あなたの心が傷つくくらいなら問題を起こした方がマシだと思っています。
この互いの行き違いが起きている理由は、あなたとナイトくんのコミュニケーション不足です。
あなたは、ナイトくんの存在に気づくことなく、対話したこともないはずです。
ナイトくんは、幼い頃のあなたです。
あなたが自分のことをわかって欲しかったように、ナイトくんもあなたにわかって欲しいと思っています。
ナイトくんの声に耳を傾けてあげましょう。

ナイトくんも、あなたにわかって欲しいと思っている。

ナイトくんとの対話のやり方を「ナイトくんワーク」と呼びます。

「ナイトくんワーク」には、7つのステップがあります。

  1. ナイトくんを見つける
  2. ナイトくんに名前をつける
  3. 質問を通して対話をする
  4. ナイトくんを労い、もうひとりではないことを伝える
  5. ナイトくんに自分が大人になったことを伝える
  6. これからも、隣にいてもらうように伝える
  7. またお話をしようね、と伝えて対話を終了する

ステップ1 ナイトくんを見つける

ナイトくんは、どこにいるんだろう?

ナイトくんは、感情・感覚が不快なときに顔を出します。
心身が「ざわついている場所」にいると思ってください。
不快な感情・感覚には、自覚しやすいものと自覚しづらいものの2種類があります。

  1. 自覚しやすい(強い)感情・感覚
    悲しみ、怒り、後悔、憎しみ…など。
  2. 自覚しづらい(漠然とした)感情・感覚
    人から言われたことが何かひっかかる、仕事に行きたくない、無気力…など。

この1か2の状況のときが、ナイトくんを見つけるチャンスです。
感情・感覚そのものをナイトくんとして考えてみましょう。

  1. ナイトくんは、不快な感情・感覚のときに顔を出す
  2. 不快な感情・感覚そのものをナイトくんとして考える

あなたが気づいていないだけで、ナイトくんは日常で何度も顔を出しています。

ステップ2 ナイトくんに名前をつける

ナイトくんを見つけたら、名前をつけてあげましょう。
名前をつける効果は次のとおりです。

  1. 自分とナイトくんを分けて客観視しやすくなる
  2. たくさんいるナイトくんの見分けがつきやすくなる

名づけの際は、ナイトくんの造形をイメージしてみるのがおすすめです。
たとえば、怒りを感じているときに出てくるナイトくんは「メラメラ燃える炎」などです。

ナイトくんを見つけたら、名前をつける。

ステップ3 質問を通して対話をする

ステップ3では、いよいよナイトくんとの対話です。
ナイトくんに聞いてあげて欲しい基本の3つの質問があります。
ちなみにナイトくんは難しい質問にはうまく答えることができません。
また、ナイトくんとの対話は「そんな気がする」でOKです。

  1. 「ナイトくん(あなたがつけた名前)、どうして○○なの?」

    ○○に入る言葉は、あなたの感情・感覚の表現です。
    例:どうしてAさんにイライラしているの?
     
  2. 「ナイトくん(あなたがつけた名前)、あなたの『ミッション』はなんですか?」

    ナイトくんの目的は、あなたの心の防衛です。
    『ミッション』とは、目的のためにナイトくんが具体的にどんな働きをしているかです。
     
  3. 「ナイトくん(あなたがつけた名前)、あなたがその『ミッション』をやめたら、私はどうなると思っているの?」

    ナイトくんが心配しているのは、あなたがどうなってしまうことなのでしょう?
    あなたが想像していなかったような答えが返ってくることが多いです。

最初は対話が思うようにできなくても安心してください。
ナイトくんは急に話しかけられたので、びっくりしてうまく答えられないのです。
根気よく話しかけることでナイトくんとの信頼関係ができていきます。

今まで放置されていた人に急に話しかけられたらびっくりしますよね。

ステップ4 ナイトくんを労い、もうひとりではないことを伝える

ステップ3の対話が終わったら、ナイトくんに労いの言葉を伝えましょう。
あなたが、ナイトくんの気持ちを理解し、労いと感謝の気持ちを伝えるだけで、ナイトくん自身が緩み安心してくれます。
そうすることで問題を起こしてしまうという頻度や強度が緩みます。

ナイトくんに労いの言葉を伝える。

ステップ5 ナイトくんに自分が大人になったことを伝える

ナイトくんは、あなたが幼い頃に誕生しています。
そのため、あなたのことを未だに子どもだと思っていて必死で守ろうとしています。
だから、ナイトくんに自分の実年齢や変化したことを具体的に教えてあげましょう。

  1. もう大人になっていること
  2. 子どもの頃に比べて、自分が成長したこと

これを伝えると、ナイトくんの中に安堵感が生まれて極端なミッションの遂行が減っていきます。

ステップ6 これからも、隣にいてもらうように伝える

ナイトくんに「もうやらなくていい」と急に引導を渡すと、ナイトくんはショックを受けてしまいます。
それにナイトくんが完全に引退してしまうと本当に深い傷を受けてしまう可能性があります。
必要以上の心の防衛を少しずつ緩めてもらうだけで良いのです。
そのため、優しく次のように声をかけてあげてください。

  1. 必要なときにはまた助けてね
  2. 前ほど頑張らなくてもいいからね
  3. 引き続き横で見守っていてね

ステップ7 またお話をしようね、と伝えて対話を終了する

最後に、「またお話をしようね」と次の約束をしてナイトくんを安心させてあげましょう。
「ひとりぼっちにしたりしないよ」という約束をするイメージです。
それから対話を終了しましょう。
必要に応じてまた対話を繰り返して、ときどきナイトくんを気にかけてあげてください。

ナイトくんたちと対話を繰り返すことで問題を深く理解することができます。
それは、自分自身を心の底から理解することにもつながります。

読んだ感想

本書は、ショートストーリーから始まります。
泣いている女の子のもとに現れるナイトくん。
ナイトくんは「ぼくはナイトくん。」と自己紹介した後、フルフェイスヘルメットを脱いでおそろしく早く見逃しちゃうレベルで身バレします。
挿絵の印象のおかげで読書が苦手な人でも本を開くのに抵抗感は少ないと思います。

本書は正直、期待以上の内容でした。
幼少期の辛い経験をきっかけに自分を守るためにもうひとりの自分をつくり出す。
そして、それは特別なことではなく多くの人がそうであるという内容でした。
スピリチュアル的な内容でもありますが、心というのは不思議なものなので、そういうこともあり得ると思いました。
ナイトくんの存在を肯定すると、いろいろと辻褄が合うのです。

本を読み終わり、さっそく「ナイトくんワーク」を行ってみました。
しかし、ナイトくんとの対話はうまくいきませんでした。
いまいち、ナイトくんの声を聞くという感覚がわかりませんでした。
でも、どうしてかわかりませんが、自分が内向的となったことの原因が、ふと頭に浮かびました。
もしかすると、ナイトくんが自身が誕生したきっかけを教えてくれたのかもしれません。
「ナイトくんワーク」の可能性を感じる結果でした。

この記事を読んでも、よく意味がわからなかったという人も大丈夫です。
当然ですが、本書には、より分かりやすい説明が載っています。
実践をイメージしにくい「ナイトくんワーク」ですが、著者とクライアントとの実際のやり取りの例が載っていますので、これもわかりやすいと思います。

「どうして、自分はこんなにダメなんだろう…」
そんな風に考えてしまうことは、ないでしょうか?
自分のことを嫌いになる前に、自分という人間をもっと深く知ってみましょう。
あなたの抱える問題にも存在する理由がきっとあるはずです。
自分らしく生きるためのきっかけに本書を読んでみてはいかがでしょうか。

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