本書の概要
タイトル | : | 感謝脳 なぜ「感謝する人」だけが夢を現実にするのか |
発行日 | : | 2024年12月31日 電子版 version1.0発行 |
著者 | : | 樺沢紫苑・田代政貴 |
発行所 | : | 飛鳥新社 |
詳細 | : | 感謝脳 |
ありがとうーー感謝すると、人間関係がうまくいく。
感謝すると、仕事がうまくいく。
感謝すると、全てがうまくいく。
有り難うーー「ありがとう」は「有り難う」という言葉が由来。
広い宇宙で、この地球に人間として生まれることは奇跡。
起きることの全てが奇跡中の奇跡であり「有り難い」。
主要なポイント・学び
感謝脳ーー起きることの全てに「ありがとう」と言える脳の状態。
本書は、脳科学的に「感謝脳」に至る道筋を明らかにする。
感謝とは何か?
感謝とは何だろうか?ーー本書では、感謝脳にアップデートする方法を学ぶ。
しかし、その前に「感謝とは何か?」という問いに答えることができるだろうか。
私たちは、感謝について知らなければならない。
「知恩感謝」と「報恩感謝」
仏教や日常の教えの中で感謝の心を育むために大切とされる2つの概念がある。
知恩感謝ーー「知恩」は、他者から受けた恩恵を知り、それを認識することを指す。
それを感謝する行為や心の在り方のこと。
報恩感謝ーー「報恩」は、恩返しを指す。
恩恵を受けたことへの感謝の気持ちを行動によって恩を返すこと。
この2つはお互いに深く関連していて、知恩があるからこそ報恩が生まれる。
恩を自覚したら恩を送り「恩の循環」をさせることが重要。
なぜなら、それは巡り巡って自分を幸せにする行為だからだ。
お互いに「仕え合う」ことが、幸せ(仕合わせ)の本質なのである。
感謝を感じる心理学的4つの条件
人が「感謝」を感じるには、心理学的な4つの条件がある。
- 恩恵の認識:恩恵が、自分以外から与えられたと理解していること。
- 恩恵の価値認識:恩恵の価値を高く評価していること。
- 恩恵の好意認識:恩恵をもたらした相手の気持ちを感じ取れていること。
- 見返りの不要認識:見返りを求めたり義務によるものではないと感じられること。

幸せは追い求めるものではなく気づくもの
「ありがとう」の反対の言葉は「当たり前」ーーマザー・テレサの有名な言葉。
当たり前だと思っている日常。
失ってはじめて、それが「当たり前」ではないことに気づく。
「ありがとう」の見つけ方ーー「当たり前になっているもの」にフォーカスしよう。
眠れること。
朝起きられること。
食べられること。
日常が「ありがとう」で溢れていることに気づくことができる。
一見不運に思えることにも感謝すべき点がある。
その点にフォーカスし前向きに生きる。
そうすれば、未来も幸せでいられる。
感謝にはパワーがある
3大幸福物質ーーセロトニン、オキシトシン、ドーパミン。
私たちは「幸せ」を感じるとき、この「3大幸福物質」が分泌されている。
オキシトシンは、人に親切にすることで分泌される。
さらに、親切にされた人にもオキシトシンが分泌されることがわかっている。
つまり、親切と感謝によって「3大幸福物質」をすべてコンプリートできる。
感謝の4大効果ーー感謝には4つの効果がある。
- 心の健康
例:不安の軽減、自己効力感やレジリエンスが高まる 等
- 体の健康
例:心血管系の健康、苦痛の軽減、健康的行動の促進 等
- 仕事の向上
例:モチベーションの向上、人間関係の改善 等
- 会社の改善
例:生産性・帰属意識・道徳性向上、向社会的行動増加 等
たとえば、睡眠の改善効果。
英国マンチェスター大学の研究によれば、感謝によって次のことが観測された。
睡眠前の不安等のネガティブ感情が強いと脳が興奮し交感神経が優位になる。
それが寝付きが悪くなる原因。
感謝は、ネガティブ感情を減らし、リラックスをもたらす。
「感謝のステージ」と「心のステージ」
感謝は多ければ多いほどいい。
感謝の力による効果をより多く得ることができる。
感謝脳になるために、まずは「感謝のステージ」と「心のステージ」について知ろう。
「感謝のステージ」を上げていけば「心のステージ」も上がる。
ステージの上を目指そう。
感謝の3つのステージ
感謝には、次の3つのステージがある。
- 親切への感謝:何か親切にしてもらったら感謝する
- 日常への感謝:当たり前のことに感謝する
- 逆境への感謝:何が起きても感謝する
感謝脳とは「逆境への感謝」のステージを指す。
第1ステージ:親切への感謝
何か親切にしてもらったら感謝する状態。
何か良いことが起こらないと感謝することができない。
このステージで大切なのは、感謝をハッキリ口に出して伝えること。
第2ステージ:日常への感謝
当たり前のことに感謝する状態。
物質的なモノでは幸せになることはできない。
なぜなら、モノがある環境は、やがて慣れてしまい「当たり前」に変化するからだ。
このステージで大切なのは、当たり前のことに「ありがとう」を感じること。
第3ステージ:逆境への感謝
何が起きても感謝、逆境へも感謝する状態。
自分の意に反することも、すべてを有り難く受け入れる。
たとえば、怪我をしたとき「怪我のときしかできないこと」をする。
例
このステージで大切なのは、どのような逆境でも、感謝することで希望を見出すこと。
心の3つのステージ
心には、次の3つのステージがある。
- 不安(他責・愚痴・不平不満)
- 自立(使命・受容・穏やか)
- 太陽(愛と感謝)
感謝脳とは「太陽」のステージを指す。
「心のステージ」が同じ人同士でしか付き合いは生まれない。
第1ステージの人には、上の第2、第3ステージの存在がわからない。
逆に第3ステージの人には、第1、第2ステージのことがわかる。
上のステージの人には、あえて下のステージの人と関わる理由はない。
私たちは同じ世界で生きているように見えて、実は違う世界を生きている。
上のステージの人と付き合うためには、自分が上のステージに上がるしかない。
不安のステージ
「不安のステージ」とは、愚痴や不平不満ばかり言う状態。
このステージは、愚痴や不平不満を周囲の環境のせいにする「他責のステージ」でもある。
与えることよりも受け取るほうを大きくしようと行動する。
愚痴や不平不満を言わないようにするとステージを上がることができる。
自立のステージ
「自立のステージ」とは「自分の使命は何か?」自分のことを知っていく状態。
すべての出来事は、自分に必要だから起きていると解釈できる。
出来事と感情を分離し、感情をコントロールできる。
このステージは、恐れから抜け出す「受容と癒しのステージ」でもある。
太陽のステージ
「太陽のステージ」とは、無償の愛ですべての出来事に感謝できる状態。
どんな出来事にも有り難さを感じられ、幸福度が高い。
相手や周囲が喜ぶことを常に考え、愛と感謝の中で生きられる。
感謝日記
感謝日記ーー「感謝脳」実践ワークで最も効果がある。
感謝日記を続けると世界の見え方が変わっていく。
人生では感謝の出来事しか起きていないことに気づくことができる。
感謝日記とは何か?
カルフォルニア大学の心理学教授ロバート・エモンズ博士は、感謝日記によって次の3つの良い効果が得られることを報告している。
- 身体的効果
- 心理的効果
- 社会的効果
感謝日記には「相手がいらない」。
自分の中の「感謝の念」を思い出し記録するだけでいい。
「当たり前になっているもの」にフォーカスすれば、必ず感謝日記は書ける。
感謝日記の書き方
感謝日記は「感謝する」の第一歩。
感謝日記は、次のように書く。
- 寝る直前にノート(紙)に書く
- その日にあった感謝の出来事を3つ書く(1個1行でOK)
- 1ケ月連続で行う(できるだけ毎日続ける)
感謝日記を書いたらすぐに布団に入ることが重要。
書いた内容をイメージして「感謝の気持ち」のまま眠りにつこう。
睡眠が改善されて心と身体の健康が手に入る。
さらにポジティブな体験が、あなたの記憶として定着する。
あなたを自己肯定感が高く前向きな性格に変えてくれる。
感謝日記に物足りなさを感じたら「3つの感謝ワーク」を追加しよう。
「3つの感謝ワーク」とは、1日3回、誰かに「ありがとう」を言うワークである。
感謝日記によって、あなたの「意識」が変わる。
「3つの感謝ワーク」を加えることで、あなたの「行動」も変わる。
感謝日記の上級編に「親切日記」がある。
1日3回、誰かに親切にする。
親切日記とは、その親切の記録を寝る前にノートに書く。
感謝日記に親切日記を加えることにより「3大幸福物質」をすべてコンプリートできる。
万物感謝ワーク
万物感謝ワークーー「心からのありがとう」を引き出す。
万物感謝ワークをすると、自分が感謝の中で生きている実感が湧いてくる。
万物感謝ワークの方法
万物感謝ワークは、次のように行う。
- 身の回りの物に「ありがとう」を伝えていく
- 自然界に「ありがとう」を伝えていく
- ご先祖さまに「ありがとう」を伝えていく
- 自分に「ありがとう」を伝えていく
- 家族、仲間、恩人に「ありがとう」を伝えていく
- まだ出会っていない人に(想像して)「ありがとう」を伝えていく
- 対象物を定めず、ただ「ありがとう」を感じる
感謝とは、単に「ありがとう」と言えばいいというものではない。
「ありがとう」の言葉には、感謝の念があることが前提。
念とは「今の心」と書く。
「ありがとう」を言う「今、目の前にいる相手」を大事にする。
その心が感謝の念。
「ありがとう」は、感謝の念を込めて伝えなければならない。
感謝離
感謝離ーー今の自分にとって必要ない物に感謝し、そして手放す行為。
感謝離は、次のように行う。
- 家の中を想像し、玄関からスタートして家中をまわる
- ひとつひとつに「ありがとう」を伝えていく
- 実際に家の中を見て、思い出せなかった物を見つける
家の中の物には、必ず手元に来たエピソードが存在する。
そのエピソードを思い出しながら感謝していく。
感謝すると、物に魂が宿るかのように輝いて見える。
そして、実際に家の中を見た際、思い出せなかった物。
それは、今のあなたにとって必要がないものかもしれない。
「ありがとう」を伝え、感謝しながら手放す「感謝離」をしよう。
家の中も心もスッキリするだろう。
YouTube動画:『感謝脳』から学ぶ成功の秘訣【ずんだもん】
本書を参考に作成した、ずんだもんの動画をYouTubeにアップしました。
まとめ・感想
私は毎日の通勤でバスを降りるとき、運転手さんに「ありがとう」を伝える。
買い物をしてレジで対応してくれた店員さんに「ありがとう」を伝える。
とにかく「ありがとう」を言う機会を多く持つようにしている。
「ありがとう」は、言うだけで相手を良い気持にしてくれる魔法の言葉だ。
スピリチュアルの本には、感謝が幸福をもたらすことがよく書かれている。
しかし、その理由はよくわかっていなかった。
理屈では説明がつかないこともある。
そんな風に思い、ただただ続けてきた節がある。
しかし今回、本書を読んだことで感謝が脳科学的にも良いとされる内容を知ることができた。
感謝の力を科学的に納得することができ、さらに感謝の力の凄さを再確認できる内容だった。
感謝とは、単に「ありがとう」と言えばいいというものではない。
自分が「ありがとう」を言うとき、どうだったろうか?
きちんと感謝の念を込めて伝えられていただろうか?
読んだとき、ハッとさせられた。
本書を読んだことは、自分の行動を顧みる良い機会を得ることにも繋がった。
私は「心のステージ」の話を読んだとき、思い出した話があった。
江戸時代、水野南北という観相家(人相を観る人)として名を残した人がいた。
若い頃、かなりの悪であった彼は18歳の時に働いた悪事により牢獄に入れられてしまう。
その場所で彼は、ふつうの人と罪人の人相があまりに違うことに気がついた。
そのことが、彼が人相に興味を持つきっかけになったそうだ。
その後、色々あり、水野南北は「節食開運説」を提唱することとなる。
罪人の人相が、みんな同じである理由は「心のステージ」にあるように感じた。
同じステージの者同士でしか付き合いがないことが、人相が似てくる理由だと思った。
いい人相になりたければ「感謝のステージ」と「心のステージ」を上げなければならない。
「節食開運説」では、神仏や自然に感謝の念を持つことが大切だと強調されているという。
つまり、感謝が人生に良い影響を与えることは、ずっと昔から言われ続けているということ。
地球は「奇跡の星」と呼ばれている。
広い宇宙で非常に珍しく、生命を育むための条件がこれ程までに揃っている。
奇跡の星で、私たちが人として存在していられることは奇跡中の奇跡。
数多の奇跡が重なり、連なり、そうして生まれる出来事もまた全てが奇跡。
有り難いことだ。

最後まで読んでくれて、有り難う!