イントロダクション
小学校から始まる義務教育を経て
「答えのあるゲーム」に頭から足の先まで知らぬ間に、どっぷり浸かっている……まさに溺れてしまう。
今までの「答え」が通用しない時代
第一章の冒頭を読んで、私は自分が置かれている状況に危機感を覚えました。
「一体、どうすれば良いのだろうか?」
不安な気持ちになったのと同時に私には救いがありました。その方法を知るためには、
今、まさにこの手にしている本のページをめくりさえすれば良いのだから 。
この本は『変える技術、考える技術』、『フェルミ推定の技術』、『「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術』の著者であり、YouTube「考えるエンジンちゃんねる」の運営者でもある 高松智史さんの作品です。
オススメしたい人
- 「答えのあるゲーム」の戦い方が体に染みついてしまっている人
- 「答えのないゲーム」を優位に進めたい人
人間が生きていく中で、ちゃんとした答えがあることなんて本当に少ないと思います。
義務教育では「答えのあるゲーム」を学んできました。
にもかかわらず、いつの間にか始まっていた「答えのないゲーム」。
もし、この「答えのないゲーム」を優位に進められる技術があって、それを学べるのであれば、とても興味が湧きますよね。
ここまで読んでいただいて、
- 一刻も早く習得したい
- ぐずぐずしてられない
- 他の人に置いて行かれたくない
そんな風に感じた人に特にオススメしたいです。
学べること
人生に正解はありません。毎日、幾度となく選択を迫られる中、正解が無いならば、「できる限り自分の後悔の無い選択をしたい」と誰しもが思うのではないでしょうか。
この本では、そのための「考える技術」を学ぶことができます。
ここでは、本の魅力をお伝えするために「答えのないゲーム」の戦い方の概略と思考技術「示唆」について簡単にまとめてみました。
本書では「答えのないゲーム」の戦い方の概略を理解した上で、それに続く形で「答えのないゲーム」に勝つための「思考技術」をしっかり具体的な例をあげて順序立てて伝授してくれます。
興味のある方は、是非、本を買って読んでみてください。
答えのないゲームの戦い方の3ルール
- 「プロセスがセクシー」
- 「2つ以上の選択肢を作り、選ぶ」
- 「炎上、議論が付き物」
本書は「数年ぶりに親友とご飯に行く」という設定で「どこに食べに行くか?」という例で「答えのないゲーム」の戦い方を説明してくれるのですが、それに近い形で私が考えた次の設定でやってみたいと思います。
- 設定
- 登場人物は、自分と友人Aと友人B(以下、友人AをA、友人BをBと呼ぶ)
- 大学卒業後、自分とAは地元企業に就職。Bは遠方の企業に就職が決まり引っ越した。
- それから数年後、Bが地元に戻ってくることになり、自分、A、Bの3人は、久々に食事に行くことになった。
- 自分とAは、Bが喜びそうな店選びをすることにした。
「Bにどこに行きたいか聞けばいいんじゃん」は、ナシでお願いします……
プロセスがセクシー
絶対的な答えは存在しません。それでも、非の打ちどころが無い最高のプロセス(セクシーなプロセス)から導き出したものであれば、最高のものだという考え方です。
セクシーなプロセスを出すための思考技術が「示唆」。
「示唆」とは、ファクトから言えることです。上記の私が考えた設定のファクトは次のとおりです。
- ファクト
- Bは学生時代、ホルモンが大好きだった。
- BのSNSを見ると日本酒にハマっていた時期があるようだ。しかし、最近はSNSを更新していない。
この「ファクト」とファクトから言えることが、「示唆」です。
自分は、ファクトから次のことが言えると考えました。
- Bは学生時代、ホルモンが大好きだった。
- 【示唆1】ファクトから言えることは?
Bは、現在もホルモンが大好き。 - 100人中何人がそう思う?
たぶん、70人くらい。
- Bは学生時代、ホルモンが大好きだった。
- 【示唆2】ファクトから言えることは?
Bは、現在はホルモンが好きではない。学生時代から何年も経過している。さすがに嗜好も変わっている。 - 100人中何人がそう思う?
たぶん、30人くらい。
- BのSNSを見ると日本酒にハマっていた時期があるようだ。しかし、最近はSNSを更新していない。
- 【示唆3】ファクトから言えることは?
Bは、日本酒が大好き。仕事が忙しくSNSの更新ができていない。 - 100人中何人がそう思う?
たぶん、60人くらい。
- BのSNSを見ると日本酒にハマっていた時期があるようだ。しかし、最近はSNSを更新していない。
- 【示唆4】ファクトから言えることは?
Bは、日本酒が好きなわけではない。日本酒に関する事業の立ち上げのため日本酒について勉強中。事業立ち上げの準備で忙しくSNSの更新ができていない。 - 100人中何人がそう思う?
たぶん、30人くらい。
- BのSNSを見ると日本酒にハマっていた時期があるようだ。しかし、最近はSNSを更新していない。
- 【示唆5】ファクトから言えることは?
Bは、日本酒が好き。SNSを更新していないのは、異世界に飛ばされていた。Bは最近戻ってきた。 - 100人中何人がそう思う?
たぶん、3人くらい…
「100人中3人」が「そうだよね」と納得する示唆をプラチナ示唆と呼びます。
示唆には答えが無く、いくらでも出すことができます。
2つ、3つの示唆を同じファクトから出して比較し、最終的にどの示唆を採用するか判断します。
2つ以上の選択肢を作り、選ぶ
セクシーなプロセスから導き出した答え。それを2つ以上作って比較感で”より良い”ものを選ぶことで相対的に答えに近づけていくという考え方です。
炎上、議論が付き物
「答えのないゲーム」の終着点は必ず、議論です。
抽出した2つの示唆から次の店を選択肢に上げました。
- 議論
- 【示唆1】(ホルモン大好きBのため)ホルモン × 日本酒
日本酒も扱っているホルモンの美味しいX店 - 【示唆5】(異世界帰りには嬉しい)味噌と醤油 × 日本酒
日本酒の種類豊富、本格和食を楽しめるY店
議論の末、X店になったのか、Y店になったのか、どんな結果になったのかは、また別のお話……
仲の良い友人相手だとしても議論では意見が異なるということはよくあることです。
そして、議論には炎上が付き物。
「言葉選び」はとても重要です。
もしも、議論の相手が、はっきりした上下関係の「上の立場」の方であった場合、絶対に炎上は回避したいところ。議論を健やかにする「B○条件」という思考技術も本書では説明されています。
その他、本書では「ゲーム&ゲーム」等の「答えのないゲーム」に勝つための重要な思考技術等を数多く説明されています。
すべての思考技術の習得のため、是非、実際にこの本を手に取り読んでいただきたいと思います。
読んだ感想
「思考技術」は、気構えだけでどうにかなったり、一朝一夕で習得できるような類のものではありません。
使いこなすには、かなりの訓練が必要だと感じました。
(慣れていないと、どうなるかは、読んでいただいたとおりです……)
無意識で始まってしまう「答えのあるゲーム」の戦い方で正解を探してしまうスタイルからの脱却にも時間がかかると思いました。
しかし、「答えのあるゲーム」の戦い方からの脱却も「思考技術」の習得も難しいことですが、不可能ではないはずです。
それに「思考技術」は、1つだけでも習得することができれば、「答えのないゲーム」で溢れたこの世界を優位に進めていけると思います。
RPGなんかと同じで、少しずつ思考の経験値を溜めて使えるスキル「思考技術」を増やしていく。
そう考えると、本当のゲームの様で楽しさすら感じてしまいます。
本書で伝授される「思考技術」の内容を読みながら、
「こんなにすごい思考ができるようになったら人生が変わるだろうな」
と思っていましたが、もしかすると、この本を読み終わった時点で既に私の中の何かが少し変わったのかもしれません。