きちんと休んでいるのに、仕事の疲れが抜けない。
そう感じてしまうのは、働き方の問題だけでなく休み方にも原因がある。
この問題を解消するための「すぐに実践できる具体的なアクション」を学ぶことができる。
本書の概要
タイトル | : | 世界の一流は「休日」に何をしているのか |
発行日 | : | 2024年11月1日 初版発行 |
著者 | : | 越川慎司 |
発行所 | : | クロスメディア・パブリッシング(インプレス) |
詳細 | : | 世界の一流は「休日」に何をしているのか |
本書で学ぶことができるのは「正しい休み方改革」
世界の最前線で活躍する一流のビジネスパーソンの休日の過ごし方を知ろう。
そうすれば、心身のバランスを整えて、仕事と生活の両方を充実させることができる。
あなたも世界の一流と同様に最高の1週間を始めることができるようになる。
主要なポイント・学び
なぜそれが重要かーー世界の一流は、月曜の朝から猛烈なスタートダッシュを切る。
その理由は、戦略的な休日の使い方にある。
世界の一流の休日の過ごし方には、大きく2つの共通点がある。
- 自己再生(本来の自分を取り戻す)を意識している
- エネルギーをチャージする
これから説明することを実践すれば、モチベーションや集中力が高まり生産性をアップし、すべてがうまくいくようになる。
世界の一流は、ワーク・ライフ・ハーモニーを目指す
世界の一流は「休む」ために仕事をしている。
この言葉を日本で言うと猛烈なバッシングを受けるかもしれない。
しかし、欧米では「それはそうだよね」と好意的に受け取られている。
日本と欧米では「休日」に対する考え方が根本的に違う。
「休むために仕事をしている」は、彼らの「休日」の使い方に対する決意と覚悟の現れである。
日本では「休日」を休息のための時間と考えているが、世界の一流は違う。
世界の一流は「休日」を仕事で成果を上げるための「原動力」と考えている。
目指しているのは「ワーク・ライフ・ハーモニー」の実現。
「休日」を充実させると次のサイクルを回すことができる。
- 充実した休日を過ごす
- 仕事の成果が上がる
- 休日が楽しくなる
- さらに仕事の成果が上がる
- 人生が楽しくなる
世界の一流は、仕事と生活を切り離して考えない。
仕事と生活を「対立構造」で考えがちな日本のビジネスパーソンにはない考え方だ。
ワーク(仕事)とライフ(生活)を上手に調和させ、両方のクオリティを上げて満足度を高めることを目指している。
そして「休日」をワーク・ライフ・ハーモニーの「原点」と考えている。
世界の一流は、仕事のムダを省き、最大限の成果を生み出す工夫をしている。
効率的な働き方を心がけている理由は、きちんと「休日」を確保するためである。
そして、仕事への意欲や集中力を高く維持するためには「疲れを感じたら休む」ではなく「疲れる前に休む」というライフスタイルを手に入れる「温存戦略」が必要だ。
世界の一流は、休日に「自己効力感」を高めている
世界の一流が休日に求めることは「自己効力感」を高めること。
「自分ならできる」「きっとうまくいく」。
そのように自分の可能性を肯定的に認知できる心理状態を「自己効力感」という。
「自己効力感」を高めると前向きな気持ちを手に入れてパワフルに働くことができる。
逆に「自己効力感」が低いと失敗を恐れて挑戦を避けるなどのネガティブな考え方になる。
自信のなさが身体への不調を引き起こし、その状態が続くことでメンタルがダメージを受ける。
月曜日を憂鬱に感じる「ブルーマンデー症候群」は「自己効力感」が低いことが関係している。
土日の休日に「自己効力感」を高めると良好なコンディションで月曜の朝を迎えることができる。
世界の一流は「自己肯定感」ではなく「自己効力感」を重視する。
「自己効力感」と混同されがちな「自己肯定感」という言葉がある。
「自己肯定感」とは、自分の能力や価値に対して自己評価が高い状態をいう。
しかし、自己評価が高いということは「他人と比べて自分の方が上」と判断するということ。
幸福を他人を基準で考えてしまうとハッピーを感じることはできない。
世界の一流には、他人との比較で自分を判断する発想はない。
あくまで自分と自分のファミリーを中心軸に置いて、すべてを判断する。
「自己効力感」を高める4つのアプローチ
世界の一流は「自己効力感」を高めるために次の4つのアプローチを実践している。
- 簡単な目標を設定して、小さな達成感を得る
小さな成功体験を積み重ねて、脳に記憶させる。
そのためには、ネガティブな側面ではなくポジティブな視点で見る意識を持つことが重要。
たとえば「本を20ページ読もう」と決めたとしよう。
もし、10ページしか読めなかったとしても「目標の半分」とは考えない。
この場合は「目標の半分まで到達できた」と考えよう。
週末の夜、「疲れてとにかく寝たい」と思うならそれでもいい。
その場合は「明日は9時間しっかり寝る」と目標を設定しよう。
「しっかり寝る」と目標を立てて達成するだけで脳はそれを成功体験と認識する。
土日の休みを漠然と寝て過ごしてはいけない。
- 新しいことにチャレンジする
自分が経験したことがないことや慣れていない分野に挑戦する。
大切なことは、チャレンジして成功することではない。
大切なのは、そのチャレンジを楽しむこと。
そして、次のチャレンジに向けて気持ちを高めることである。
自分の能力が高まり可能性が広がることで自己効力感が高まる。
- 人とのつながりを大切にする
周囲の人たちと良好な関係を築くと、精神的な安定を得ることができる。
自分が大切にしている家族や友人と過ごす休日が、自己効力感を高める「原動力」となる。
自分を応援してくれる人たちは、心のエネルギーをチャージしてくれる。
- 自己省察の時間を持つ
世界の一流は、休日の朝に瞑想などを実践し自己省察の機会を設ける。
自己省察とは、自分の価値観や思考パターンなどを客観的に見つめ直すこと。
自己理解を深めて「どうすれば、もっと良くなるか?」を考える。
自己効力感は、休日に一度だけ感じられれば十分。
何度も繰り返す必要は無い。
世界の一流は、土曜と日曜を戦略的に使い分ける
休日を「チャレンジデー」と「リフレッシュデー」に分ける。
日本のビジネスパーソンは、土曜と日曜を「仕事がない2日間の休み」と考える。
しかし、世界の一流は土曜と日曜を「別々の独立した休日」と考えている。
世界の一流は、明確な目的を持って土曜と日曜を次のように位置付けている。
- 土曜:チャレンジデー
未経験のことを積極的に挑戦しアクティブな時間を楽しむ。
- 趣味や家族との時間を楽しむ
- 新しい人間関係を構築する
- 興味のあるワークショップやセミナーに参加する
- 日曜:リフレッシュデー
身体とメンタル、脳のリフレッシュを図るためのスタティックな時間を持つ。
- 運動
- 読書
- ヨガ
- 瞑想
世界の一流が家の中だけで休日を終えることはない。
静と動を上手にミックスしてメリハリのある休日を過ごす。
「土曜をどう使うか?」が休日のカギを握る。
日曜日の夕方になると翌日の仕事のことが頭をよぎりはじめる。
そうなると大切な時間を心の底から楽しめなくなってしまう。
また、日曜をアクティブに過ごしてしまうと月曜のスタートダッシュに支障が出る。
そのため、趣味や家族との時間などの自分にとって大切なことは土曜に優先的に組み込む。
世界の一流は、金曜の午後3時に休日の準備を始めている
世界の一流は、休日を金曜の夕方から始める。
その週のタスクの目途が立った金曜の午後3時頃。
世界の一流は、有益な休日を手に入れるために次のような作業をする。
- 土日の過ごし方を事前に計画する
計画があれば思いつきで行動することなくメリハリのある休みを手に入れることができる。
- 翌週のタスクを整理する
不安なく休日を過ごせるようになるだけでなく、月曜からのスタートダッシュが可能になる。
- 金曜の夕方に予定を入れる
休日の予定を金曜の夕方に前倒すことで土日の自由度を高める。
世界の一流は、金曜の午後に仕事を追い込むことはしない。
仕事を意図的に中途半端に終わらせる。
その理由は、2つの心理効果にある。
- ツァイガルニク効果
人は達成した事柄より未完了な事柄の方が記憶に残りやすい。
- 行動経済学
中途半端な状態が気になって、その欲求を満たすために素早く行動する。
この効果によって月曜の初速を意図的に高めている。
世界の一流は「戦略的睡眠」を実践している
質の高い睡眠は、健康維持と能率アップに直結する。
世界の一流は睡眠の質を高めることがリフレッシュデーの大事なポイントと考えている。
世界の一流は、疲れたから寝るのではない。
明日のパフォーマンスを上げるために寝る。
これを「戦略的睡眠」と呼ぶ。
「戦略的睡眠」は、「身体、メンタル、脳の疲れをリセット」することを目的とした睡眠である。
それによってフルパワーで1週間をエネルギッシュに働く良質なコンディションを作り出す。
- 就寝の2~3時間前までに夕食を済ませる
- 無理のない範囲で寝酒を控える
- 就寝前に風呂に入る
- 寝室の温度と湿度に気を配る
- 睡眠のサイクルを一定に保つ
最も大切なのは「睡眠のサイクルを一定に保つ」こと。
土日の休みの日に寝ダメをしてしまうと体内時計が夜型にシフトしてしまう。
どうしても疲れが取れない場合は「土曜にたっぷり寝る」。
しかし「日曜日は平日と同じ時間に起きる」。
そうすれば生活リズムが壊れる心配がない。
世界の一流は、休日に「休養」と「教養」を手に入れている
世界の一流は「休養」「教養」で人生を豊かにしている。
世界の一流は、休日を次のように位置付けて過ごしている。
- 休養:積極的にエネルギーをチャージする時間
- 教養:知的エネルギーを蓄える時間
「休養」と「教養」を手に入れるメソッド
教養と休養の実現に役立つ簡単メソッドを紹介する。
- 瞑想:心を静めてストレスを解消する
瞑想は、世界中のビジネスパーソンの間に広まり取り入れられているリラックス法。
ストレス解消や集中力アップ、不眠解消などの効果を期待できる。
- ジャーナリング:書き出すことで集中力を高める
ジャーナリングは書く瞑想とも呼ばれるマインドフルネスの手法の一つ。
頭の中の泥水を排水するイメージで思いつくまま、どんどん紙に書き出す。
書いた紙は誰にも見られないように注意する必要がある。
- 読書:インプット量を増やして新たな学びを得る
本を通じて知識を深め発想力を鍛える。
「この知識を明日の仕事にどう反映させるか」とアウトプットありきのインプットをすることで読書を自分の武器にできる。
脳の左前頭前野や右前頭前夜が活性化してストレスから解放される。
世界の一流は、行動パターンを使い分ける
今度の休みには何をしようか?
人間には「何をやろうか?」と考えるだけでやる気を失う習性がある。
世界の一流は、休日の過ごし方で悩む必要がないように選択肢を決めている。
自分のコンディションに合わせて、次の3つの中から最適な選択肢を選ぶ。
- 疲労回復パターン:ゆったりと過ごす
例:ストレッチ、ジョギング、食べ歩き、読書 など。
- ストレス発散パターン:アクティブに遊ぶ
例:キャンプ、ハイキング、サウナ、友人との会食 など。
- 自己啓発パターン:新たな学びを得る
例:美術鑑賞、映画鑑賞、セミナー参加、書店めぐり など。
最適な選択肢を選ぶためには、漠然と「疲れている」という解釈では足りない。
自分の「どこが疲れているか」によって次のように最適なアクションを選ばなければならない。
- 体力的に疲れていたら「疲労回復パターン」
- メンタルが疲れていたら「ストレス発散パターン」
- 脳が疲れていたら「ストレス発散パターン」と「自己啓発パターン」
自己認識の解像度が高まれば高まるほど対策が明確になる。
「自己認識」の解像度を高め方については、以下で説明する。
世界の一流は「エネルギー管理」の視点を持つ
自己認識の解像度を高める。
自分自身の現在の状況をしっかりと見つめて「自己認識」の解像度を高める。
そのためには「自分のエネルギーを管理する」という視点が必要。
人間には次の4種類のエネルギーがある。
- 身体のエネルギー(Physical energy)
- 感情のエネルギー(Emotional energy)
- 思考のエネルギー(Mental energy)
- 精神のエネルギー(Spiritual energy)
この4つのエネルギーは、それぞれ次の4つの状態を行ったり来たりしている。
- パフォーマンス(活動)ゾーン
エネルギーに満ちた、ポジティブな状態を指す。
前向きな気持ちになり、積極的に行動できる。
- サバイバル(生存)ゾーン
エネルギーに満ちているが、ネガティブな状態を指す。
不安感や恐怖心が芽生えて、いら立ちが生じる。
- バーンアウト(燃え尽き)ゾーン
エネルギーが枯渇した、ネガティブな状態を指す。
疲労感や無力感、空虚感を覚える。
- リニューアル(再生)ゾーン
エネルギーが枯渇しているが、ポジティブな状態を指す。
気持ちが安定して前向きに行動できる。
ハイパフォーマンスを発揮して健康的で幸せな状態を維持するためには「パフォーマンス(活動)ゾーン」「リニューアル(再生)ゾーン」の間を意識的に往復することが大切。
「エネルギー管理」とは、次の2つを意識して主体的にコントロールすることである。
- 重要なところにエネルギーを最適配置すること
- 4種類のエネルギーのどれが枯渇しているのかを観察すること
- 休日を活用してエネルギーのチャージを図ること
世界の一流は、自分の時間とエネルギーの使い方の「主役」が自分自身であることを大切にしている。
まとめ・感想
日本での働き方や「休む」ということに対する周囲からの思われ方については、欧米とは違う背景があることから個人レベルではどうしようもないこともある。
しかし、個人レベルで変えることができることも多い。
本書を読めば、必ず「休み方を変えたい」と思うだろう。
私も本書の内容を参考に休日の過ごし方を変えてみようと思う。
どんな変化が自分の身に起きるのかワクワクしている。
大切なことは「疲れる前に休む」ということ。
そのためには、自己認識の解像度を高めて自分のエネルギー管理を怠らないことがカギとなる。
人間には「4種類のエネルギー」がある。
「どのエネルギーが減っているか」を把握することが重要。
そうすれば、自分がいま「意欲的に取り組めること」「やらない方がいいこと」がわかる。
「やらない方がいいこと」は、やらないと決めよう。
そして、休日には「不足しているエネルギーを回復すること」をやる。
組織に組み込まれて働いていると実践が難しいこともある。
しかし、エネルギーが不足しているときに行うより、エネルギーが満ちているときにやった方が集中することができ、ミスも少なく、効率よく、いい仕事ができることは間違いない。
結果的にベストなパフォーマスを引き出すことができる。
世界の一流の休日の過ごし方をマネれば、世界の一流の働き方に近づくことができる。
本書を読めば、きっと最高の1週間をはじめたくなる。
そして、本書の教えを実践すればそれは可能だろう。