イントロダクション
タイトル:定年英語
2022年2月17日 初版第1刷発行
2023年2月17日 電子書籍版発行
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
著者:田代真一郎
定年までサラリーマンエンジニアをしていた著者が、どうやって定年後に職業通訳者になれたのか。
その答えは「仕事を通じて英語を身につける」 にある!?
私は、通勤時間等の隙間時間を使って毎日英語学習をしています。
しかし、時間のやりくりが難しく、なかなか上達を感じられない日々の中、この本に出会いました。
自分の英語学習に新しい風を吹かせたいと思い、この本を手に取ることにしました。
オススメしたい人
- 仕事をもっていて、英語学習をしている人(これから始めたい人)
- 何でもいいので得意分野をもっていて、英語学習をしている人(これから始めたい人)
学べること
コミュニケーション力は、英語力だけで決まらなない
本書では、コミュニケーション力は、英語力と知識のかけ算だと説明しています。
(コミュニケーション力 = 英語力 × 知識)
どういうことかというと、例えば、あなたが英語でフルーツの説明を受ける場面を想像してください。
ここでは、あなたはugli、Langsat、Salakといったフルーツを知らないものとします。
相手に「ugli……Langsat……Salak…」と早口で説明されている時は、まったく何を言われているかわからなかったとしても、途中で「Apple」を聞き取ることができたら「今はりんごの話をしているんだな」とわかるはずです。
「りんご」が「ほんのり甘くて歯ごたえがある」ということを知っているので、その知識を手掛かりに「…mildly sweet and crunchy.」等の言葉も聞き取りやすくなり理解力が格段に上がります。
逆にあなたが英語超カンペキ人間だったとしても、まったく「りんご」に対する知識を持っていないとします。
すると、相手が「りんご」を指さしながら「What is this?」と質問されても、あなたは答えることができません。
つまり、英語力がコミュニケーション力の一翼であることは間違いありませんが、同時に知識や経験といった情報も大きく左右するということです。
そして、仕事を持つ人は、仕事に関係する分野においてコミュニケーション力の重要な要素である知識を高いレベルで備えています。
知識があれば、話の展開を予想できるため、英語を聞く時も話すときも負担が少なくなります。
そのため、仕事は、英語を身につける最高の題材であり、フィールドとなります。
使用頻度が高い英語に一番力を入れる
人生で一番話す機会が多い英語は「自己紹介」です。
自分自身のことなので、知識は十分に持っています。
自分のことについてはどんな質問が出ても答えられるようにしてください。
どんな英語が出ても対応できるようになる必要はありません。
あなたにとって必要な英語を確実に仕上げることが重要です。
定型文の話題を増やす
英語で「自己紹介」ができるようになったら、次は自分の仕事について英語で言えるようになりましょう。
仕事に関する話題を細分化して分け、高頻度の項目に注目して定型文を作成しましょう。
仕事のことなら知識は十分なので専門外の話題に比べて定型化は容易です。
定型化の作業の過程で英語力が磨かれていきます。
それを一つ一つ積み重ねていくことが何が出てきても話せるような英語力を身につけることに繋がります。
また、仕事の語彙は、分けた話題ごとにオリジナルの単語帳を作成して覚えると効果的です。
さらに自分が知らないことも英語で話せるようになりたい場合も、基本は「コミュニケーション力 = 英語力 × 知識」と同様です。
まずは英語で話したいことに関して調べたり等して知識を身につけましょう。
次に関係語彙を覚えて英語のイメージトレーニングをして英語力を伸ばしていきましょう。
英語のイメージトレーニング
英語力は「サイト・トランスレーション」と「イメージ・トランスレーション」(著者の造語)で伸ばしていきます。
- サイト・トランスレーション
書かれた日本語、または英語の文章を目に入った単位ごとに頭から口頭で訳していく学習法です。
- イメージ・トランスレーション
頭の中のイメージを1つずつ英語にしていく学習法です。
仕事でよく知っていることや何度も経験していることは、はっきりイメージすることができるので「イメージ・トランスレーション」に向いています。
例えば、あなたはりんご農家さんだったとします。
あなたは「地面に落ちているりんごは、虫に食べられました。」という事実を英語で相手に説明するとします。
あなたは、地面に落ちているりんごを虫に食べられた経験を幾度となくしてきているため、すぐに次のイメージをすることができました。
「りんごの樹に突風が吹きつけられました。」
→「そのため、樹からりんごが落ちました。」
→「りんごは、そのままの状態で放置されました。」
→「その結果、りんごは、虫に食べられました。」
そのイメージを1つずつ英語で言ってみます。
日本語の文章を忠実に英語に置き換えるではなくイメージを1つずつ英語でわかりやすく伝えるよう意識することが重要です。
頭の中の「地面に落ちているりんごは、虫に食べられました。」というイメージを「The apple on the ground was eaten by worms.」と表現します。
その次のイメージもどんどん英語にしていきます。
「A gust of wind blew the apple from a tree.」
→「As a result, the apple fell from the tree.」
→「The apple was lying on the ground.」
→「As a result, the apple was eaten by worms.」
イメージから自由な発想で英語にしていきます。
大切なことは、わかりやすい意味の伝達です。
そのために、1つのイメージから複数の英語で表現できるよう試みます。
表現を増やすコツとしては、次の方法があります。
- 主語を変えてみる
- 日本語を別の日本語に置き換えてから英語にする
この「サイト・トランスレーション」と「イメージ・トランスレーション」を駆使して英語力を鍛えていきましょう。
読んだ感想
自分の得意なことを英語学習の題材にすると良いという話は、別のメディアで聴いたことがありました。
この本を読むことで、その情報の裏付けをすることができて良かったと思います。
仕事を英語学習の題材にすることは、これまで思いつかなかったわけではなく、実際に挑戦したことがありました。
しかし、仕事をどう題材にして英語学習すれば良いかの要領がつかめず、いつの間にか止めてしまっていました。
この本を読むことによって、その実践方法を知ることができ、また挑戦したいという気持ちなりました。
仕事を「英語学習の障害」のように感じていましたが、そうではなく、良い「英語学習の題材」になり得ることがわかりました。
年齢を重ね知識・経験が豊富だからこそ効果を出せる学習方法なので、学び直したいと思っている社会人の方に特に読んで欲しいと思える内容でした。