【要約】『怒られの作法 日本一トラブルに巻き込まれる編集者の人間関係術』

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コミュニケーション・人間関係

イントロダクション

タイトル怒られの作法
日本一トラブルに巻き込まれる編集者の人間関係術
発行日2023年4月24日 初版発行
発行所筑摩書房
著者草下 シンヤ
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

私は、本書のタイトル「怒られの作法」という言葉を見たときに思いました。

怒られることに作法なんてあるの?

怒り狂った相手を前に、落ち着いて作法に則った振る舞いをはじめる姿を想像してしまいました(※あながち間違いじゃなかった)
怒りは、自分の中の感情であっても扱いが難しいのに、他人から自分に向けられる怒りなんて、どうすればいいのかわかりません。
他人の怒りをうまく処理できる作法と呼べるものが本当に存在するのでしょうか。
もし、あるなら是非知りたい。
そう思い、本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • 「怒られ」で相手の怒りを処理しがちな人
  • クレーム、炎上対応の勘所を学びたい人
  • 自分が怒られるのは嫌だけど、他人の怒られエピソードからは何かを学びたい人
  • 怒られるのが怖くて、つい不利な条件をのんでしまった経験がある人

学べること

本書によると、「怒られ」という言葉は2010年代後半から若い世代を中心にSNS上で使われるようになったそうです。
本書は「怒られの作法」というタイトルですが、相手の怒りを「怒られ」で処理することをどんなときでも推奨するものではありません。
人生には対応しなければならない怒りの局面がいくつもあります。
理由は、後述しますが、そのすべてを「怒られ」で処理することはできません。
本書は「怒られ」を使う場面か、そうでない場面かを見極めて、相手と相手の怒りに正しく向き合う方法を学ぶためのものです。
本記事では、「怒られの作法」について、私の解釈で簡単にまとめています。
ただし、本書の大事なことは著者の怒られのエピソードを読んでこそ本当の意味で理解できます。
そのため、正しく学びたいと思う場合は、本書を購入して読んでもらうことが必要です。

「怒られ」とは

「怒られ」とは、自分が怒られているのに、まるで他人事のように相手の怒りを受け流すことです。
「怒られが発生」というように「発生」と組み合わせて使われることが多く、怒りを感情ではなく現象として捉えます。
怒りの原因や責任を外在化させることで自分の精神を疲弊させない自己防衛策です。
また、相手の怒りに反応して短絡的な行動を取らないためのアンガーマネジメントの側面もあります。

「怒られ」の注意点

自分に向けられた怒りを、すべて「怒られ」として処理するのは得策ではありません。
理由は、次のとおりです。

  • 怒りを回避することで事態を悪化させることがある
  • 怒りを真正面から受け止めることで新たな活路や可能性が拓かれることがある

「怒られ」と捉えるかをジャッジするための目を持っておくことが大切です。
相手の怒りと向き合って戦うか、それとも逃げるか、時と場合によって最適解は違うでしょう。
「怒られ」で問題を外在化させてやり過ごしても、怒られたときの感情は消えません。
その後もずっと心を濁らせていきます。
そうならないために相手の怒りに向き合うことは大切なことです。

怒られの作法

怒られの作法とは、怨嗟渦巻く社会を生き抜くために必要なスキルです。
相手が何に対して、どんな理由で怒るのか、その怒りをどう受け止め、どのように対峙すればいいのか、といった怒りの感情に対する作法を言います。
怒られの作法を身につけ怒りの処し方を知ると、精神的なストレスを減らすことができ生きやすくなります。
そのための方法を以下で説明していきます。

怒りの3つのパターン

怒りには「感情」と「利害」の2つの軸があります。
感情の軸は、相手の言動に対して反射的に怒ることです。
利害の軸は、何か別の目的や思惑があり、それを叶える手段として怒りを行使することです。

怒りのパターン
怒りには、次の3つのパターンがあります。

  1. 意思表示(反応としての怒り)
  2. 自己防衛(怯えからの怒り)
  3. 目的達成(手段としての怒り)

それぞれの怒りのパターンの処し方について、説明していきます。

【パターン1】意思表示(反応としての怒り)
「不快な気分になった」という負の感情を相手に示すための怒りです。
利害よりも感情に重点を置くパターンです。

相手を意図せず傷つけてしまうことは、誰にでもあります。
自分に対する怒りではなく「傷つけられた」という意思表示と認識すべきです。
冷静に対応することを心がけましょう。
その人が抱えている辛抱や困難といった「傷つき」に目を向けて話を聞きましょう。
ただし、相手が本音で話をしてくれるためには、安心感や信頼感が必要です。

(例)

プコは、友達に「ペットを飼っているんだよね?」と尋ねました。
すると、友達は急に顔を曇らせ、怒り出しました。
プコは友達の反応に狼狽え、何が起こったのか理解できませんでした。
プコは友達に「怒った理由」を慎重に質問しました。
友達は、ペットの犬が事故で亡くなったことを明かしました。
プコは友達に傷つけてしまったことに対して謝罪しました。

※注意
この例は、本の紹介のためpukoblogが作成したものです。
「怒られの作法 日本一トラブルに巻き込まれる編集者の人間関係術」に掲載されているものではありません。


【パターン2】自己防衛(怯えからの怒り)
「弱い犬ほどよく吠える」というような、自分の立場やプライドを守るために怒ることです。
感情と利害が高く入り混じったパターンであり、怒ってる本人は何らかの弱者であることがほとんどです。
事情を聞いて解決策を講じるのは難しいでしょう。
実際に理不尽な怒りを向けられる場合、「怒られ」案件として処理しましょう。

(例)

プコは新しい職場で順調にスタートし、優れた実績を積み重ねていきました。
ところが、年齢の近い1人の先輩社員が何かと因縁をつけて怒ってくるようになりました。
その怒りは理不尽で、プコは理解に苦しみました。

そんな中、プコは先輩社員の怒りを自然災害のように捉えることに決めました。
それによって、プコは感情的に揺さぶられることなく冷静でいられるようになりました。

プコは先輩社員との接点をなるべく持たないようにし、自らの成長と仕事に集中しました。
感情的な攻撃に振り回されることなく、自分が目指す目標に向かって進んでいくことが重要だと感じたのです。

ある日、プコは偶然にも先輩社員と共同のプロジェクトに割り当てられました。
最初の会議で先輩社員は怒りを露わにしましたが、プコは冷静に対応しました。

結局、プコが選んだこの対応はプコ自身の成長と職場での成功に繋がりました。
先輩社員の怒りに左右されずに仕事に取り組む姿勢が、プコの自信と職業倫理を高めることになったのです。

※注意
この例は、本の紹介のためpukoblogが作成したものです。
「怒られの作法 日本一トラブルに巻き込まれる編集者の人間関係術」に掲載されているものではありません。


【パターン3】目的達成(手段としての怒り)
相手を従わせたり、自分の有利な状況を作り出すための手段のため怒ることです。
感情より利害に重点を置くパターンであり、怒りは見せかけであるため、いちばん御しやすいと言えます。
自分を攻撃することが本当の目的ではないため冷静に対応すれば危害を加えられることはありません。
例えば、交渉の場で怒る理由は、相手が正攻法で話をまとめることができないと考えているためです。
こちら側が有利であるため相手の要求に頷かない限り負けはありません。
相手が傷つけられて怒っているのか、別の目的があって怒っているのか見極める必要があります。
そのためにしなければならないことは、この場合も相手の話をよく聞くことです。
怒られたとしてもパニックにならず落ち着いて対応しましょう。

(例)

プコは、ハチミツとリンゴの交換をするために相手と交渉の場に立っていました。
しかし、相手は交渉が思いどおりに進まないことに怒りを募らせ、プコを脅し始めます。
プコはパニックになりかけましたが、心の中で深呼吸をして冷静さを取り戻し、相手に向き合います。
プコは相手の怒りがブラフであることを見抜き、相手の背後にある根本的な問題を探り出そうとします。

プコは相手の立場を理解し、共感を示すことで、相手の怒りを和らげることに成功します。
それから、互いの要望やニーズを明確にし、妥協点を見つけるよう提案します。
プコの冷静で理性的なアプローチにより、交渉は次第に前向きな方向に進んでいきます。

最終的に、プコと相手は、お互いに納得のいく決着点を見出すことに成功します。
そして、冷静に問題を解決することの重要性を学びながら、二人はお互いを尊重する友好的な関係を築いていくのでした。

※注意
この例は、本の紹介のためpukoblogが作成したものです。
「怒られの作法 日本一トラブルに巻き込まれる編集者の人間関係術」に掲載されているものではありません。

怒られることの3つのリスク

怒られたときに正しく反応する方法を身につけなければなりません。
怒られる側の心理にも「感情」と「利害」の2つの軸があります。
感情は「傷つきたくない」等といった本能的反応です。
利害は「金銭や社会的な信頼を失うのではないか」等といったリスクです。
具体的には、利害には次の3つのリスクがあります。

  1. 身体的リスク
  2. 起訴(金銭的)リスク
  3. 信頼性のリスク

人はリスクを過大に評価してしまいがちです。
怒られたときに正しく反応するためには、リスクを正しく評価できなければなりません。

【リスク1】身体的リスク
身体的リスクは、相手から暴力を振るわれるリスクです。
ただし、脅しの9割はハッタリです。
この場合の真のリスクは、不安から自分で行動の選択肢の幅を狭めてしまうことです。
相手が恫喝等の力で押してくるときは、徹底して論理で抵抗しましょう。
その場合の対処法は「頷かずに質問を繰り返す」です。
ただし、本当に暴力を振るってくる場合もあります。
身の危険を少しでも感じたら密室で会わないようにしたり、いつでも外部と連絡がとれるようにして話しましょう。

【リスク2】起訴(金銭的)リスク
起訴リスクとは、相手から訴えられることで生じるリスクやデメリットです。
裁判によって膨大な時間や金銭を奪われたり、社会的信用を失ったりする可能性があります。
ただし、トラブルが起訴にまで発展することはまれです。
「訴えてやる!」と起訴を匂わせて相手を怖がらせる行為は、脅迫罪になる可能性があります。
恫喝の手段として起訴をちらつかせる相手は本当に裁判を起こしたいわけではありません。
甘く見てはいけませんが、無駄に恐れないでください。
丁寧に対応すれば恐れることはありません。

【リスク3】信頼性のリスク
怒られることで自分の評価が下がり信頼が失われたりするリスクです。
怒られる際、周囲の人々にも自分の態度や言動を注目されていることを忘れてはいけません。
雑な対応をしたり失敗を隠そうとしたり相手の信頼を裏切るようなことをすると自分の評価を下げてしまいます。
逆に怒られる理由を理解する姿勢をとり改善案を提示する等の対応をとることができれば評価を上げることができます。

謝罪の仕方

「謝るべき場面」か「謝らなくてもよい場面」かをきちんと見極めることが大切です。
自分の過失により相手を傷つけてしまった場合は誠心誠意謝りましょう。
しかし、道理が通らないことにまで謝る必要はありません。
何でも条件反射で謝ってしまうと問題を複雑化してしまいます。
良い謝り方とは「対等な関係性を継続できる謝罪」です。

ダメな謝罪

  • 相手の感情に飲まれて何でも要求に応じてしまう
  • 相手の感情を無視して聞く耳を持たない
  • 相手の立場や力関係によって自分の出方を変える
  • 自分の事情や感情を汲んでもらおうとする
  • トラブルを解決しようとする(許すか許さないかは相手が決めること)

良い謝罪

  • 相手の話を聞き、自分の考えを率直に伝える
  • 謝っているときも「ダメなものはダメ」と言う
  • 被害と謝罪のレベルはイコールにする
  • 人は完全にはわかりあえない。自他の差や問題を理解しようと努める

謝罪は、勝ち負けではありません。
謝罪を問題を解決するための共同作業と捉え、お互いのために話し合うことが大切です。

読んだ感想

要約して気づいたことは、本書の魅力は著者の怒られエピソードにこそあるということです。
上記で要約した内容は、他でもよく言われていることだと感じる人もいるかもしれません。
しかし、著者でしか語れない怒られエピソードが加わることにより「なるほど、だから大事なんだ!」とより深い理解につながるように作られています。
また、フツーに読み物としても面白いです。
著者に起きた「怒られ」というレベルに許容していいのか疑わしい出来事を読んで擬似体験することで内容の重要性に気づくことができます。

怒っている相手も、怒られている自分も、通常の精神状態ではないはずです。
そんなときに正しい判断をして、そのとおりに行動するのはとても難しいことです。
実行できるようになるためには、著者のように場数を踏まなければならないのでしょう。

しかし、著者の怒られエピソードは、1つでも起きたら人生の大事件!

なかなか経験できるものではありません。
そして、叶うのなら一生経験したくないと思う内容ばかりです。
安全な場所にいながらその内容から学ぶためには、本書を購入して読むしかありません。
著者の怒られエピソードは、自分もその場にいるようにイメージして読んでもらうと良いのではないかと思います。

本記事では触れていませんが、SNS等の使用で気をつけたい内容である「炎上の傾向と対策」も本書では学ぶことができます。
相手から怒りの感情をぶつけられることは、社会で生きる上で避けることはできません。
本書で学べることは「怨嗟渦巻く社会を生き抜くために必要なスキル」であるため、多くの人に読んで欲しいと思います。