イントロダクション
タイトル | : | コンセプトの教科書 あたらしい価値のつくりかた |
発行日 | : | 2023年5月30日 プリント版第1刷発行 2023年5月30日 電子版発行 |
発行所 | : | ダイヤモンド社 |
著者 | : | 細田 高広 |
著者情報は、上記リンクからご確認ください。 |
本書のタイトル「コンセプトの教科書」を見て考えました。
コンセプト?・・・あー、あれでしょ?
…すっごく重要なやつ・・・えっと、コンセプトて何ですか?
残念ながら、私はコンセプトとは何かを説明することができませんでした。
キャッチコピーのご親戚の方でしょうか?
上記リンクで出版社の商品の説明を見たところ、コンセプトとはキャッチコピーでもアイデアでもテーマでもないそうです。
そして、商品の説明には「社会人に創造性が求められる時代、コンセプトはその必修基礎科目」とありました。
私も社会人の端くれなので、これは読まずにスルーはできないでしょう。
というわけで、私は本書を手にすることにしました。
オススメしたい人
- コンセプトメイキングを学びたい人
- 新しいサービスを創造して起業したい人
- 優れた製品・サービスをいち早く察知して先駆者になりたい人
- 様々な流行りに乗り遅れたくない人
学べること
本書は、一冊でコンセプトのつくり方がわかる教科書です。
コンセプトメイキングは、創造性、生産性、どちらの鍵も握ります。
しかし、著者がコンセプトを学べる書籍を探したところ、誰かのたった1度の成功体験が語られているものばかり。
様々なビジネスシーンで汎用的に使えるような学びの体系は見当たらなかったそうです。
本書は、著者が企業や社会人大学でコンセプトメイキングを10年以上教え、受講者2000人以上からフィードバックを受けて内容をアップデートしてきた成果です。
コンセプトは、センスや才能が無ければ書けないものだと思っていませんでしたか?
それは、大きな誤解です。
コンセプトを書けない理由は、ただ単に型を知らないからだけなのです。
ここでは、本書の内容について、私の解釈で簡単にまとめています。
本書は、説明の後に必ず事例紹介が掲載されていることが特徴的です。
説明を読んで、ピンとこないところがあったとしても、その後の事例により具体的な内容がわかるため、曖昧なところを残さずに学び進めていくことができます。
本記事は、本書できちんと学びたい人の予習的な位置付けで利用していただけると幸いです。
コンセプトの定義
コンセプトの定義は、「全体を貫く新しい観点」です。
つまり、その物が成り立つためにあるバラバラの構成要素を束ねる中心を担うものです。
次の図は、それを表したものです。
この図は、『第1章 コンセプトとは何か?』に掲載の図を参考に作成しています。
ビジネスシーンにおけるコンセプト
現代のビジネスにおいて「その物が成り立つためにあるバラバラの構成要素を束ねる中心を担うもの」とは「なんのために存在するか」です。
それをつくるコンセプトメイキングは、新しい意味を創造する行為となります。
コンセプトメイキング
あなたが、物を買うときのことを想像してみてください。
「何を買うか」の前に「何故買うか」を考えませんか?
ビジネスにおいても「それはなにか」(WAHT)ではなく「何のために存在するか」(WHY)を中心に構想されなくてはなりません。
次の図は、それを表したものです。
この図は、『第1章 コンセプトとは何か?』に掲載の図を参考に作成しています。
コンセプトの機能と定義
コンセプトがビジネスにおいてどのように機能するかについて説明します。
ビジネスにおけるコンセプトの定義は、「価値の設計図」です。
新たな意味を据えたコンセプトがビジネスに機能する役割は、3つあります。
役割1:関わるすべての人に明確な「判断基準」を与えること
役割2:つくるもの全体に「一貫性」を与えること
役割3:顧客が支払う「対価の理由」になること
この3つの役割は、建築の図面のようなものであり、関わるすべての人の拠り所となります。
コンセプトとは、つくる人にとっての「価値の設計図」と言えます。
機能するコンセプトの条件
「コンセプトの定義と機能」を満たしていれば、良いコンセプトというわけではありません。
正しく機能するコンセプトに求められる条件は、4つあります。
条件1:「顧客目線」で書けているか(VALUABLE?)
条件2:「ならでは」の発想があるか(ORIGINAL?)
条件3:「スケール」は見込めるか(SCALABLE?)
条件4:「シンプル」な言葉になっているか(SIMPLE?)
各条件について、1つずつ見ていきましょう。
コンセプトの条件1 「顧客目線」で書けているか
「誰をどのように幸せにするか」を明確にする必要があります。
喜ぶ顧客の顔がありありと浮かぶ言葉を目指しましょう。
コンセプトの条件2 「ならでは」の発想があるか
誰でも言えることには意味がありません。
あなたと、あなたのチーム独自の「ならでは」と呼べる発想を見つけましょう。
コンセプトの条件3 「スケール」は見込めるか
そのコンセプトで「ビジネス目標を達成できるボリュームを担保できるか」を検証しておく必要があります。
検証ポイントは、2つです。
ポイント1:そのコンセプトで、不必要にターゲットを狭めていないか
ポイント2:そのコンセプトのマーケットは鈍化していないか
もし、そのビジネスの対象であるマーケットが鈍化している場合、より多くの顧客がいるマーケットに移動する選択肢があります。
マーケットを移動する選択をするのであれば、コンセプトも大きく変える必要があります。
コンセプトを導く「問い」のつくり方
コンセプトメイキングの大半は、「問い」をつくることです。
コンセプトの半分は「問いづくりで決まると言っても過言ではありません。
良いコンセプトのために、アイデアが次々と誘発される問いのつくり方を身につけましょう。
常識的な問いを疑う
本書が考えるコンセプトメイキングのためには、前提条件を疑い、自ら問いを立て、答えを生み出せる創造的発想力が求められます。
もし、社会や業界の前提を覆す大きな問いを立てて、自ら答えを生み出すことができれば、画期的なモノやサービスをつくるに留まらず、社会の仕組みまでつくり変えてしまう最高出力の創造的発想力となるでしょう。
向き合うべき問いとは?
向き合うべき筋のいい問いの性質とは、次の掛け算で表現することができます。
[高い自由度 × 広いインパクト」
「自由度」とは、発想を広げられるスペースを意味します。
「自由度が高い」とは、あの手この手と発想が次々と生まれる状態を言います。
「インパクト」とは、人々の生活に行き渡る影響力のことを意味します。
「インパクトが広い」とは、影響を与える人数が多く、また、与える影響も強い状態を言います。
遅すぎるエレベーター問題
あなたは、古いオフィスビルのオーナーです。
ある日、やっと決まった入居者から「エレベーターが遅い」というクレームがありました。
エレベーターの速度を調整しても、いまの速度より早くなりません。
新型のエレベーターに交換する資金はありません。
さて、どうしますか?
この問題に対処するための問いを考えてみましょう。
誰でも思いつきそうな「エレベーターの速度を上げるには?」という問いは、限りなく自由度がゼロであるため使えません。
もっと自由度が高くインパクトが広い問いにすり替えてみましょう。
問いをつくれたら、その問いの自由度とインパクトを考えます。
その問いの自由度は、高いでしょうか?低いでしょうか?
その問いのインパクトは、広いでしょうか?狭いでしょうか?
この事例で紹介された素晴らしい良問とは何だったのか、ぜひ本書にてご確認ください。
この事例のように問いを変えることで視点を変え、視野を広げ、それまでになかった領域に思考を導く方法を「リフレーミング」と呼びます。
リフレーミングを実践する
ここでは、基本的なリフレーミングの手法を説明します。
次の図は、リフレーミングシートと言います。
①全体の問い 部分より全体で解決するなら? | ②主観の問い あなただけの偏愛やこだわりは? | ③理想の問い 目指すべき理想の変化は? |
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④動詞の問い その行動を再発明するとしたら? | CENTRAL QUESTION | ⑤破壊の問い 破壊すべき退屈な常識は? |
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⑥目的の問い それを手段にしたら目的はなに? |
②利他の問い それで社会はどう良くなる? | ⑧自由の問い 「 」 |
||
この図は、『第2章 コンセプトを導く「問い」のつくり方』に掲載の図を参考に作成しています。
左上の「①全体の問い」から始めます。
順番にそれぞれのマスにアイデアを書き入れていきましょう。
①全体の問い
部分最適で考えず、広く全体に目を向けるのが「全体の問い」です。
「全体」の捉え方によってアイデアの切り口が変わります。
②主観の問い
常識的な問いで先が見えなかったら、あなただけの個人的な問いから始めてみましょう。
あなたが、面白がれるかどうか、をなにより大切にしてください。
あなたの偏愛やこだわりは何でしょうか?
客観的な「正しい・正しくない」という評価軸は忘れてください。
主観が生み出すイレギュラーな正解は、創造性のきっかけになります。
③理想の問い
目先の問いにばかり気を取られてしまうと、視野を広げられなくなる可能性があります。
ときには、現実の先にある「理想」を問いかけてみましょう。
④動詞の問い
多くの人は、コンセプトを考えるとき「次の○○」というように「名詞」で考えます。
そして、名詞で発想を始めた瞬間に固定観念に縛られてしまいます。
そうならないためには「名詞ではなく動詞」をデザインするべきです。
動詞の持つ意味の未来を問いましょう。
⑤破壊の問い
「何を作るべきか」がわからない。
そんなときは「何を壊すべきか」を考えてみましょう。
破壊するのは業界の常識だったり社会悪だったり反抗者のメンタリティで世の中を見渡してみましょう。
創造しようと考えるより破壊しようと考える方が、創造的になれることがあります。
⑥目的の問い
思考や議論が近視眼的にならないために、あなたのつくりたいものを一度「手段」と割り切って捉えてみます。
そして、その本質的な目的は何かを考えてみましょう。
⑦利他の問い
コンセプトの発想は、自然と「利己的」になりがちです。
しかし、自分に都合のいいだけのコンセプトでは時代に取り残されてしまうかもしれません。
利己的な問いを、利他的な問いに置き換える必要があります。
「誰をどのように幸せにするものか?」と考えてみましょう。
⑧自由の問い
ここまで7つの問いが生まれているはずです。
直感に従い「まだ書かれていない、価値ある問いがあるのではないか?」を考えてみましょう。
今回、リフレーミングを左上の「①全体の問い」から始めましたが、必ずしも一方通行である必要はありません。
「部分↔️全体」、「客観↔️主観」、「現実↔️理想」、「利他↔️利己」、双方向に視点を切り替えてみましょう。
顧客目線で設計する「インサイトストーリー」
顧客を救済するストーリーを4つのCで物語る
経営戦略やマーケティングプランを考える際の枠組み、3C分析というものがあります。
- Customer(顧客)顧客の課題を解決すること
- Conpetitor(競合)競合にはない価値を提案すること
- Company(自社)自社だけの強みを活かすこと
新しいものを世に問うとき3Cは無視できません。
最後に4つ目のCを配置します。
+
Concept
そして、4つのCを接続詞でつなぎストーリーを作ります。
次の図は、インサイト型のストーリー構造を表したものです。
この図は、『第3章 顧客目線で設計する「インサイト型ストーリー」』に掲載の図を参考に作成しています。
カスタマーインサイトの見つけ方
インサイトとは、満たされていない、隠れた欲求です。
優れたインサイトとは、本当は不満があるのに指摘されるまで本人も気づかないものです。
これを生み出す感覚は「共感」と「発見」の掛け算です。
誰もが感づいていたのに言葉にできなかった、そんな心理を見つけて言語化しましょう。
コンペティター 真の競合の見つけ方
競合は「同一カテゴリーの競合」、「同じ仕事(目的)をこなす競合」、「同じ時間を奪い合う競合」があります。
それぞれの競合の「顧客の不満につながる弱点」を記述します。
競合と比較しなければ得ることができない視点があります。
勝ちにこだわって自らの新しい価値を見つけることができるのです。
カンパニー 自社だけのベネフィットはあるか
自らの強みを分析する際は、3つに仕分けて考えます。
- ファクト 揺るぎない客観的事実
- メリット 誰でも理解可能な一般的なメリット
- ベネフィット メリットをターゲットに特に強く訴えるよう翻訳したもの
ベネフィットはターゲットに強く訴える一方、ターゲット以外にはピンとこない性質があります。
ここでは、顧客目線でストーリーをつくることを説明しました。
生活者の心理的葛藤から丁寧に設計すれば、必ず顧客から共感されるコンセプトになります。
しかし、インサイト型ストーリーは、時代を先どるようなコンセプトをつくりづらいという弱点があります。
未来目線で設計する「ビジョン型ストーリー」
ビジョン型ストーリーの骨子
ビジョン型ストーリー設計では、作り手が信じる未来を起点にコンセプトを導いていきます。
次の図は、ビジョン型のストーリー構造を表したものです。
(創業) MISSION |
(現在) CONCEPT |
(未来) VISION |
||
担い続ける 社会的使命 |
価値の設計図 | 目指すべき 理想の未来 |
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なんのために |
いま、なにを |
何を目指すのか? |
この図は、『第4章 未来目線で設計する「ビジョン型ストーリー」』に掲載の図を参考に作成しています。
「ミッション」とは、組織やブランドが「創業」から担い続ける社会的使命です。
「ビジョン」とは、目指すべき理想の「未来」の風景です。
「コンセプト」は、そもそもの「ミッション」のため、いつかの「ビジョン」へ向かう第一歩として「現在」に記述されます。
目指すべき理想の「未来」のために、いまカタチにできる最良のものを言語化したものです。
「ミッション」、「ビジョン」、「コンセプト」の3点を明確にすると時間軸を伴ったストーリー構造ができあがります。
過去を見つめ直すミッション
ミッションを書くためには「これまで自分たちがつくってきたものが手段だとしたら、本当の目的はなにか?」を問いかけます。
この場合の目的は「社会から要請された使命」です。
ミッションとなる言葉には、普遍性と固有性が求められます。
未来を見渡すビジョン
ビジョンは、目指すべき理想の未来が「見える言葉」で表現されていなければなりません。
「見える言葉」であるためのポイントがあります。
ポイント1:解像度を上げる
ビジョンには、曖昧な表現を使わず、具体的にイメージできる言葉を使いましょう。
ポイント2:現在からほどよく距離のある未来でビジョンを書く
ビジョンには、安全地帯から飛び出す発想が必要です。
しかし、永遠に実現しそうもない理想の未来を掲げてはいけません。
インサイト型とビジョン型を統合する
「インサイト型」と「ビジョン型」は、本来、どちらも使って考えるべきものです。
次の図は、この2つのフレームワークを統合したものです。
この図は、『第4章 未来目線で設計する「ビジョン型ストーリー」』に掲載の図を参考に作成しています。
インサイト型は、「インサイト」→「競合」→「自社だけのベネフィット」→「コンセプト」のルートです。
ビジョン型は、「ミッション」→「ビジョン」→「コンセプト」のルートです。
コンセプトとは「顧客のインサイトに応えるもの」であると同時に「組織のビジョンを叶える一歩目」でもあるのです。
コンセプトを「1行化(キーフレーズ化)」する
1行化の手順
コンセプトのキーフレーズは、基本的に「目的型」か「役割型」に分けることができます。
例外として「目的+役割」の「連結型」が使われる場合もありますが、その場合、キーフレーズとしての切れ味は鈍くなります。
STEP1 意味を整理するー3点整理法
キーフレーズで伝える内容を「顧客」と「目的」と「役割」の3点で整理します。
その方法を3点整理法と呼びます。
コンセプトの3点整理法
顧客 | A(主語) | が |
目的 | B(動詞)する | ために |
役割 | C(名詞) | の役割を担う |
3点整理法により「AがBするためにCの役割を担う」というように記述することができます。
STEP2 情報を削ぎ落す―目的か役割か
3点整理法で記述した文章の「目的」と「役割」のどちらに「新しい意味」の核心があるか考えます。
また、1行だけで誤解なく伝わるのはどちらかを考えて選び取ります。
STEP3 言葉を磨き上げるー2単語ルール
良いコンセプトをつくるためには、2つ以内の概念(英単語なら2つ以内)で表す必要があります。
3つ以上は、焦点がぼやけてコンセプトの精度が落ちてしまいます。
そのため、3つの概念でしか説明できないものの場合、2つの概念で表現できるように「伝えたいメッセージは変えない、違う言葉(類語)に置き換えて表現する」等の工夫をしなければなりません。
アップル iPodに見る事例紹介
アップルのiPodが初めて世に登場したときのコンセプトは「1000曲をポケットに」というものでした。
当時、先行する他社はiPodの登場より3年も前からMP3プレイヤーを販売していました。
しかし、iPodは、登場からその後の市場をかっさらっていくことになります。
他社製品の開発コンセプトは「5GBのMP3プレイヤー」という技術の言葉でつくられていました。
それは、ミュージックプレイヤーは、スペックで競い合うものと捉えていたからです。
実質的なところ「5GBのMP3プレイヤー」も1000曲分のデータを取り込むことは可能です。
どこで明暗が分かれたかというと、その理由はユーザーインターフェースにあります。
他社では、開発者に課されていたことは「5GBのMP3プレイヤー」をつくることでした。
そこにユーザーの使い勝手は含まれておらず、曲を選ぶだけで小さいボタンを10回以上押さなければならないものでした。
一方でアップルの「1000曲をポケットに」からは、ポケットから片手で素早くデバイスを取り出して1000曲を自由に操る風景を見ることができます。
そのために「どうやって片手で1000曲も操ればいいんだ?」という問いが自然と生まれます。
開発チームはいくつもの検証を重ねた結果、片手で操作可能なクイックホイールの発明に至りました。
その他にも「1000曲をポケットに」から生み出される発想から優れた機能がいくつもありました。
コンセプトが設計図の役割を果たした良い例です。
「5GBのMP3プレイヤー」も「1000曲をポケットに」も同じ事実を語っています。
「5GB」は「1000曲」、「MP3」は「ポケットに」に翻訳することができます。
技術の側から語るのか、顧客の側から語るのか、違いは視点だけです。
このように顧客に価値ある体験は、顧客目線のコンセプトから始まるのです。
読んだ感想
要約した内容を読んで「これってどうゆうこと?」となる部分があったのではないかと思います。
その場合、考えるよりも本書を読んでいただいた方が早いかもしれません。
何故なら、本書には1つの説明につき具体的な事例が紹介され、読めば絶対に「ああ、なるほど」と納得できるようになっているからです。
上記で紹介した「アップルのiPod」の事例もその内の1つです。
見ていただいたとおり、本書に掲載された1つ1つの事例の内容もとても面白いのです。
実際に成功している有名企業の事例なので、つい誰かに話したくなる内容ばかりです。
いつも各企業のコンセプトに使われているフレーズが、あまりにすっと入って来過ぎて、これまで逆にあまり気にしたことがなかったような気がするのですが、ただ耳障り良くつくられているわけではなく、短いフレーズに込められている意味がスゴイことがわかります。
この点においても是非みなさんに本書を読んでいただきたいと思う理由となります。
もちろん、成功事例を知ることで優れたコンセプトメイキングの助けになることも間違いありません。
本書を読んで優れた製品・サービスには、優れたコンセプトがあることがわかりました。
つまり、優れた製品・サービスを見極めたければ、コンセプトを見ればわかるということになります。
今後も、世の中にたくさんの製品・サービスがどんどん生まれていくはずです。
一例として、YoutubeやX等のSNSのように、優れたサービスに一早く反応できたユーザーが先駆者となり、多くの利益を得ることにつながる場合もあります。
今後生まれる優れたサービスに乗り遅れないために敏感に反応したいのであれば、コンセプトにも敏感であるべきでしょう。
本書の表紙にある「新しいものをつくろうとするすべての人に」もコンセプトだと思います。
しかし、私はモノを生み出す側だけではなく、モノを利用するユーザー側にとっても本書は有益な情報を与えてくれるものだと感じました。
本書には、本記事ではあまり触れていない事例紹介が豊富に掲載されていると申しましたが、他にも「コンセプトの1行化に役立つ10の構文」や様々なビジネス(プロダクト開発やマーケティング等)に合わせて「コンセプトを最適化する」方法などが書かれていて、実践したい人に優しい内容となっています。
仕事でコンセプトメイキングを担当する人、新しいサービスを創造して起業したい人、優れた製品・サービスをいち早く察知して先駆者になりたい人、様々な流行りに乗り遅れたくない人、すべての人に本書をオススメします。