【要約】『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』配偶者やパートナーとの良い関係のために

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自己理解・自己啓発

イントロダクション

タイトルグッド・ライフ
幸せになるのに、遅すぎることはない
発行日2023年6月20日
発行所辰巳出版
著者ロバート・ウォールディンガー
マーク・シュルツ
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

書店で本書の表紙を見たときに思いました。
自己啓発だったり投資だったりと本を読んでいますが、それらは全部、

すべて「よい人生」のためなんだよな…

自分を突き動かす根源がタイトルになっている本書にこのタイミングで出会えたことは、自分をグッド・ライフに導いてくれる運命のように感じました。
ちょっと忙しい時期だったので、ちょっと分厚いページ数に少しだけ躊躇しましたが、私は本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • 幸福な人生を歩みたい人
  • 健康で長く生きたい人
  • ポジティブな人間関係を築きたい人
  • 改善したい人間関係がある人

学べること

「人生に何を求めますか?」と訊かれると、多くの人が「幸せになること」と言います。
しかし、「幸せ」とは何でしょうか?

本書は、幸福に生きるための内容が書かれていますが、スピリチュアル的な要素はありません。
科学的知見から導き出されたことを基礎とした、人生を豊かにする手助けをしてくれる内容が書かれています。

人生にはくじ引きのようなところが多分にあります。
生まれつきの才能や境遇は、残念ながら幸福に影響します。
しかし、これは変えることができないものです。
本書では、幸せな人生を歩むために意思の力で変えられる因子に着目しています。
幸福の半分近くは自分の行動や選択で決まります。
ここでは、本書の内容を私の解釈で簡単にまとめています。

本書には、研究の被験者のライフストーリーがたくさん紹介されています。
1つ1つのストーリーは、実際の人物の一生涯をかけた冒険の記録です。
自分自身を振り返ることに役立ちますので本書を購入して読むことをオススメします。
もし、現在が辛い状況にあるなら「こんな目に遭っているのは自分だけではない」と知ることで人生が少しだけ楽になるかもしれません。

幸せになるのに必要なもの

本書の内容は、しっかりとした科学的研究に基づいています。
その直接的な根拠となるのは「ハーバード成人発達研究」です。

ハーバード成人発達研究

目的:人々の健康と幸福を維持する要因を解き明かす

  • 人の健康を研究するのに病気の要因ではなく生きがいに着目
  • 1938年に始まった桁外れの科学研究プロジェクト
  • ボストン都心部とハーバード大学で始まった研究
  • 人生を成功や失敗に導く要因への関心の高まりから始まる
  • 今も進化と拡大を続け順調に進行中であり史上最長の縦断研究
  • 著者の2名は、四代目の責任者と副責任者
  • 被験者数は当初の724名から、今では三世代にわたる子孫を含む1300人超
  • 世界各地で大勢の被験者を対象にした数百件の科学的研究からも裏付け
  • 人間のありように関する現代科学の豊かな知見にも通じる古今東西の不朽の真理

身体の健康、心の健康、長寿との関連性において、明らかに耐えることなく重要性を発揮している因子が1つ。

それは「よい人間関係」です。

なぜ人間関係が重要なのか

先史時代、人類は厳しい自然や捕食動物の脅威にさらされていました。
怪我や病気の治療法もないに等しい中、それでも生き延びました。
人類が生き延びることができた大きな理由の1つは、社会性があったからです。
身体と脳が仲間との協力を即すよう進化してきました。

ヒトの生き方は、過去数世紀と比べると、これまでにないスピードで進化しています。
文明の進歩によって、生き方の選択肢が増え、かつてないほど多様化しています。
それでもヒトという動物が仲間とのつながりを求めるよう進化してきた事実は変わりません。
古い脳は集団の安全を求めるしくみをもち、孤独にまつわるネガティブな感情を脅威ととらえ、ストレスや病気を引き起こします。
人間には心の通う関係が必要不可欠なのです。
これは、数々の科学研究が繰り返してきた事実です。

研究史上「最も幸福な男」が怖れたこと

家族や友人、地域社会とのつながりが強い人のほうが、そうでない人よりも幸せで、肉体的にも健康だ。
自分が望む以上に孤立している人は、他者とのつながりを感じている人よりも早い時期から健康状態が悪化する。
また、孤独な人は短命だ。
悲しいことに、他者とのつながりを持てないと感じている人が世界中で増えている。

『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない
第1章 幸せな人生の条件とは何か?』より

被験者ローザとヘンリーのキーン夫妻
ヘンリーは、生まれつきの才能や境遇が人より素晴らしく優れていたわけではありませんでした。

1941年 ヘンリーが14歳のとき、被験者となりました。
当時、一家はボストンの最貧層に属していました。
ヘンリー青年は、アルコール中毒の父親のせいで若くして一家の大黒柱として働いていました。
1953年 ヘンリーは大手自動車メーカーGMに就職し、ローザと出会いました。
1954年 ヘンリーはローザと結婚しました。
「ローザがプロポーズに『イエス』と答えると、ヘンリーは、幸福すぎて信じられないと思った」という調査記録が残っています。
1959年 息子ロバートがポリオ(急性灰白骸炎)にかかりました。
ヘンリーは看病のため欠勤が増え、降格を経て解雇されました。
生活費を稼ぐため、ローザは市の給与課で働き始めました(以降、フルタイムの職員として30年を勤め上げる)。
1963年 ヘンリーは3度の転職を経てGMに舞い戻りました(以降、昇進を重ねて工場の管理責任者になる)。
2002年 ローザが被験者となりました。
2004年 ローザへの初めての対面調査が行われました。


「あなたがいちばん怖れていることは何ですか?」
2004年、研究者シャーロットのこの質問に対し、ヘンリーはこう答えました。

「ヘンリー、あなたは何が怖いの?」とローザが言った。
「私の番を忘れてくれてたらいいと思ってたんだがね」とヘンリーが言い、全員が笑った。
ヘンリーはローザのティーカップに紅茶をつぎ足すと、オレオを一枚手に取り、しばらく黙り込んだ。
「難しい質問ではないな」と彼は口を開いた。
「でも、正直に言って、考えたくないことなんだ」
「ボストンからはるばるやってきた若者のために、答えてくださるとうれしいのですが」とシャーロットが言った。
「情けないけど」と言うヘンリーの声は震えていた。
「かまいません」
「先に死ねないとしたら怖い。ローザに先立たれることが」

『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない
第1章 幸せな人生の条件とは何か?』より


1977年、50歳のヘンリーは自分の人生をこう評価しています。

結婚生活の楽しさ ― 非常に良い
過去一年間の気分 ― 非常に良い
過去二年間の健康状態 ― 非常に良い

『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない
第1章 幸せな人生の条件とは何か?』より

被験者の健康状態や幸福度は、本人や家族への質問調査のみに基づいて判断するわけではありません。
さまざまな「レンズ」を通して生活状態や幸福度を精査します。

ヘンリーは、近親者、とりわけローザや子どもたちとの関係を大切にしており、彼らとのつながりから深い安心感を得ていました。
最も苦しい時期でさえ、調査のたびにヘンリーが「幸せだ」「とても幸せだ」と答え、彼の良好な健康状態と長寿もそれを裏付けています。

人生や人間関係の苦難に直面するとき、準備ができていると感じることはまずない
2009年、ヘンリーが最も怖れていたことが現実になりました。
ローザが亡くなったのです。
それからひと月半足らずで、ヘンリーも後を追うようにこの世を去りました。

幸せな人生の材料は、人間関係―とくに、親しい人間関係―の中にあります。
「ハーバード成人発達研究」の長年のデータを見て、最も幸せで健康な被験者は最も良好な人間関係を築いていました。
しかし、人生最悪の時期を調べてみると、その多くもまた、人間関係が関わっていました。
人生における大きな試練は、他者を愛し、親しい関係を結んだ結果、生じていました。
たとえば、愛する人の死のように、誰も悪くないときもあります。
それぞれの人生を歩むなかで、心ならずも傷つけ合ってしまうことはあります。

「この試練を乗り越えるのは無理だ」と思う事もあります。
それでも立ち向かう意志さえあれば、打つ手はたくさん見つかります。

幸せな人生を送ることが難しい理由

多くの人にとって幸せで満足のいく人生を送ることは最大の関心事です。
しかし、現代社会にとってはそうではありません。
現代社会にとって、人が幸せに生きること以外のことが優先され過ぎています。

文化の中で生きる者にとって、社会の中で重要とされる前提、価値基準、習慣が生活のあらゆる側面に影響を与えます。
基本的にはよい影響であり、人と人とを結び付けたり、アイデンティティや人生の意味を生み出すものです。
しかし、人を幸福や健康から遠ざけてしまう側面もあります。

文化の影響下での幸福の追求
文化に即されて人々が追い求めるものには「お金、仕事の成果、社会的地位」があります。
これ自体は、悪いことではありません。

  • お金
    お金があれば、幸せな人生に必要なものを手に入れることができます。
  • 仕事の成果
    仕事の成果は、目指すことで人生の目標が生まれます。
  • 社会的地位
    社会的地位があれば周りから尊敬を得ることが出来ます。

また、結果として、これらは社会を良くすることにつながります。
そのため、文化は人に「お金、仕事の成果、社会的地位」を目的に邁進することを求めます。
問題なのは「人生において大切な他の事柄」よりも「お金、仕事の成果、社会的地位」が重要視され過ぎるということです。
人々は、追い求める理由を深く考えず、ひたすら生活水準の向上を求める堂々めぐりの競争に陥ってしまいます。

幸せはお金で買えるのか?
お金が人々の生活に及ぼす影響力の大きさは誰もが日々、目にしています。
お金に不自由していると、最低限の生活すら送ることができません。
お金がないとストレスを感じることになります。
お金があれば、人生をある程度コントロールすることができるようになります。
多くの国では医療サービスに手が届き、生活レベルも改善されます。

お金は現代社会の基礎の部分に深く関わります。
人生のさまざまな目標を叶える上で、お金がいちばん重要だととらえるのは当然です。

健康で幸福度の高い被験者でさえ、お金の重要性を強く意識していました。
老後資金をしっかりと貯めていましたし、個人的な目標のためにお金を活用していました。
大切な人たちとの絆を深めるという目標です。
お金が手段ではなく目的になったとき、お金は文化が規定する欲望の対象の1つに成り下がります。

お金は「有能であることを示すバッジ」になります。
自分と他人を比べるのは人間の性です。
しかし、研究によれば他人と比較すればするほど(たとえ自分のほうが優位に立っているときでも)、幸福度は下がります。

お金がもたらす影響は、単純にして複雑です。
「幸せはお金で買えるのか?」という問いの答えが見つからないのは、問いが間違っているからです。
正しい問いとは「幸せになるのに必要なものは何か?」です。

パートナーとのグッド・ライフ

ベターハーフは万能ではない
パートナーについて尋ねたとき、被験者の多くがベターハーフ(2人で1つになる片割れ)と答えます。
パートナーが自分の足りない部分を満たしてくれるというこの感覚は、正しいように思えます。
しかし、親密な関係が双方に必要なものをすべて与えてくれると考えてはいけません。
この期待は不満につながり、ポジティブな関係の崩壊を引き起こしかねません。

現代社会では、経済的・文化的な要因から親族の近くに住んだり付き合いの長い友人グループを構築することは難しくなっています。
このギャップを埋めてくれる存在を配偶者やパートナーに期待している人が多いです。
お金を稼ぎ、アドバイスをくれ、話し相手になってくれ、笑わせてくれることを期待しています。
この高度な期待が大きすぎるカップルが多いです。

親密な関係は、たしかに心身に栄養を与えてくれます。
しかし、親密な関係にも限界があります。
パートナーは、ベターハーフかもしれません。
しかし、パートナーの存在だけで人生を完璧なものにすることは不可能です。

パートナーとの関係を改善する3つの方法

1.パートナーが優しくしてくれていることに「気づく」
研究によれば、パートナーがしてくれたうれしいことを書き留めた「感謝日記」をつけることは有益です。
このシンプルな方法は、パートナーの優しさに気づきやすくなります。
感謝の気持ちを伝えると、効果はさらに高まります。

2.いつものルーティンとはちがうことをする
日常に追われていると、関係はマンネリ化するものです。
ルーティン化が行き過ぎると生活が自動化されパートナーにきちんと注意を向けられません。
ルーティンをやめると、相手を新たな視点で理解することにつながります。

3.観察し、解釈する
意見の不一致が生じたら、次の方法を実践してみましょう。
パートナーと一緒に実践してもいいです。

(1)冷静になる
相手の言動が気に障ったら、即座に反応せずに、まずはひと息つき冷静になりましょう。

(2)観察する
自分の反応やそのときに考えていたことを記録しましょう。

(3)解釈する
感情が湧いてくる理由は、自分にとって重要な何かが起こっているサインです。
「なぜこの問題は自分にとって重要なのか?」と自問しましょう。

(4)パートナーの立場になる
難しい部分ですが、意志の力で好奇心を働かせてパートナーの立場になり考えます。
「パートナーがこんなふうに激しく反応するのはどうしてだろうか?」


厄介な話題は切り出しにくいし、話しづらいものです。
そんなときは、まず、「その話題について不安がある」という事実から切り出すといいです。
ここで役立つテクニックを3つ紹介します

1.反復リスニング
(1)まずは、何も言わず、パートナーの話に耳を傾けます。
(2)自分の判断を加えず、反復して相手に伝えます(「こう言っていたけど、合ってるよね?」)

2.相手の感情や行動の理由を理解していることを伝える
目的は、自分の洞察力をアピールすることではありません。
大切なのは、理解していることを相手に伝えることです。
相手の気持ちや行動への理解を伝えることは、共感と愛情の基盤を育みます。

3.その会話から少し距離を取る
心理学で「セルフディスタンシング」と呼ばれるものです。
他人を観察するように自分の心を眺めてみます。
すると、頭の中にある考えは一時的なものにすぎないと気づくことがあります。

これらのテクニックを組み合わせて、感情的にならずに落ち着いた態度で「相手を理解しようとしている」ことを伝えましょう。

科学が言えること

人類史という視点でとらえれば、「幸福に関する科学」が生まれたのは最近のことです。
幸福研究の最大の課題は「研究成果を現実の人生にいかに応用するか」です。
人生は千差万別です。
本書で紹介されている発見や考えは、科学的研究に基づいています。
しかし、あなたが心の中で感じている動揺や矛盾は科学では証明できません。
後悔している出来事、愛を表現する方法をどうするべきなのかも、科学では埒があきません。
あなたにとっての答えを見つけることは、自分を振り返り、自分に合った方法を考えるしかありません。
本書の内容を活かすには、他の誰とも違う自分の人生経験を自分で理解し、学んだことを自分の人生に合わせて活用する必要があります。

しかし、科学が言えることもあります。
良好な人間関係は私たちを幸せにし、健康にし、長生きさせてくれるということです。

幸せな人生とは、目的地ではなく道であり、人生という道を歩く人たちそのものです。
一瞬ごとに、注意を誰に向けるかを決めていきましょう。
週を追うごとに人との交流を優先し大切な人といることを選択しましょう。
年を追うごとに人間関係を育むことで人生の目的や意味を見出していきましょう。
家族、愛する人、職場の仲間、友人、知り合い、そして見知らぬ人への好奇心を発揮し、真摯な注意を向けましょう。
そうすれば、グッドライフの基礎がゆるぎないものになっていきます。

読んだ感想

幸せな人生には、たくさんのお金だったり、優れた才能だったりと様々な要素があります。
けれど、お金がたくさんなくても、すごい才能がなくても幸せな人生を歩む人はいます。
しかし、これだけは絶対に外すことができないと確実に言える要素が1つあります。
それは「よい人間関係」です。

本書を読む前は、幸せとは、絶えず追い求めた成功の先にあるイメージを持っていました。
しかし、そうではありませんでした。
幸せを手にする可能性は、すぐ側にあることに気がつくことができました。
しかし、これは簡単な話ではありません。

現代社会では、人間関係を構築することは難しいことだと思います。
しかも重要なのは、ただの人間関係ではありません。
「よい人間関係」です。
私は、それを知って膝から崩れ落ちました。

コミュ障が幸せになる道は断たれているのでしょうか。

残念ながらコミュ障のまま幸せになることは、厳しい道のようです。
しかし、それでもできることはあります。
本書には「良い人間関係」を築き維持するための方法が書かれています。
その中からコミュ障でもできる方法を1つ紹介します。
それは「共感する努力」です。
研究により、相手の感情を正しく理解することは、相手の満足度が高くなることがわかっています。
しかし、理解の正確さよりもっと重要なことは「相手を理解しようとする真摯な努力」です。
相手に興味があり、理解しようと努めていることを伝えると、より効果的です。
この小さな努力は、極めて大きな効果を生む可能性があります。

本記事では「パートナーとのグッド・ライフ」を取り上げましたが、本書には他に「家族のグッド・ライフ」、「職場でのグッド・ライフ」、「友情とグッド・ライフ」の章があり、それぞれで必要なことを学ぶことが出来ます。

本書に書かれている方法を、できることから少しずつでも実践していきたいと思いました。
この記事を読んでくれているあなたにも、あなたが望むグッド・ライフを手にして欲しいです。
自分の人生を幸福なものにしたい―そう願うすべての人に本書をオススメします。

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