【要約】『イェール大学集中講義 思考の穴 わかっていても間違える全人類のための思考法』

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自己理解・自己啓発

イントロダクション

タイトルイェール大学集中講義 思考の穴 わかっていても間違える全人類のための思考法
発行日2023年9月12日 プリント版第1刷発行
2023年9月12日 電子版発行
発行所ダイヤモンド社
著者アン・ウーキョン
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

いま、あのイェール大学の学生を夢中にさせる名物講義「シンキング(Thinking)」。
それは、450席の大講堂に熱心な学生がぎっしり集まるほどの人気だそうです。
超優秀な頭脳を持つエリートたちが熱中する講義の内容とは?

世界の最高峰イェールのエリートたちが熱中する講義内容を書籍一冊分のお金で知ることができるとは…
これは、絶対に読むしかありません!

そう思い、私は本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • 最新科学に基づく世界最高の思考法を知りたい人
  • 戦略的に論理的思考力を向上させたい人
  • 認知心理学を活用して世界をよりフェアな場所にしたい人

学べること

本書では、人間の思考のバイアスを理解し、対処の仕方を学ぶことによって失敗や後悔の数を減らす方法を学ぶことができます。
ここでは、本書の内容の「ネガティビティ・バイアス」について私の解釈で簡単にまとめています。
著者が教鞭をとる講義「シンキング」の狙いは、バイアスにとらわれないことで自分自身に対しても他人に対してもフェアになることです。
そして、それは世界をもっといい場所にすることにつながっていきます。
そのためには、本書を購入しすべてのバイアスへの対処法を知る必要があります。

人は「ネガティブな情報」に過剰に影響される

「ネガティビティ・バイアス」とは何か?

「ネガティビティ・バイアス」とは、ネガティブな情報や出来事を重視してしまう傾向を呼びます。
これは、非常に影響力が大きいため、人をとんでもなく不合理な判断に導くことが多々あります。
このバイアスが強すぎると、ポジティブな情報や機会を見落とす可能性があります。

「ネガティビティ・バイアス」の具体例

何か欲しいものがあって購入を検討するとき、インターネットでその商品に対する口コミを見て判断する人は多いと思います。
ここでは、スマートフォンの購入を考えていると仮定しましょう。
最初に、その商品には多くの肯定的な口コミがあることに気付きます。
これらの口コミは、製品の優れた機能や性能について述べており、このスマートフォンが素晴らしい選択であることを強調しています。
しかし、ネガティビティ・バイアスが働くとネガティブな口コミがあることに注目します。
バッテリー寿命について不満を述べていたり、カメラの性能について否定的な意見があります。
ネガティビティ・バイアスの影響を受けると、ポジティブな情報よりネガティブな情報が重要視され、不安や疑念を増幅させます。
この効果によって、スマートフォンの購入に対する慎重さが増し、決断が難しくなります。
その結果、ネガティブな情報が強調され、購入を見送ることにします。
そのスマートフォンは、本来素晴らしい製品であるにもかかわらずです。

なぜ「ネガティビティ・バイアス」は存在するのか

ネガティビティ・バイアスが存在するのは、大半の認知バイアスがそうであるように、私たちの先祖にとって有益だったからです。
私たちの先祖は、様々な脅威の中で生死の瀬戸際で生きていたため、失うことは死に直結しました。
失う可能性をなくすことを優先させるためにネガティビティ・バイアスは重要な役割を担っていました。
そして、それは現在においても同様です。
現代を生きる私たちは、ずいぶんと豊かな環境で生きているため、何かの損失が命を落とすことに直結するととらえて生活している人は少ないです。
それでもなお、ネガティビティ・バイアスが必要な理由は、このバイアスのおかげで、私たちは「正す必要のあることに注意が向く」のです。

同じものでも「得る」か「失う」かで価値が変わる

「損失回避」とは何か?

ネガティビティ・バイアスは、さまざまな判断に影響を及ぼします。
その影響はお金に関する決断にも及びます。
「損失回避」とは、ネガティビティ・バイアスの一側面です。
ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーが提唱した「プロスペクト理論」によれば「人は獲得するか失うかによって、同じ金銭価値のものの扱いが変わる」とされています。
そこから「損失回避」という概念が生まれました。

「損失回避」は、誤用されるケースが多いので気をつけましょう。
たとえば「人はリスクを取りたがらない」という意味で間違った使い方をする人がいるので気をつけましょう。

「損失回避」の具体例

コインを投げて、表が出たら100ドル貰えますが、裏が出たら100ドル支払わなければならないゲームがあるとします。
勝った場合に貰える金額は100ドルで、負けた場合に支払う金額も100ドルです。
この場合、ほとんどの人が参加したがりません。
そのため、このゲームの内容を少し魅力的に変更し「表が出たら130ドルを貰える」とします。
50%の確率で100ドル失い、50%の確率で130ドル得られます。
期待値は、15ドルです。
このゲームを繰り返し行えば、最終的には平均15ドル手に入ることになります。
ところが、このルールになっても、ゲームに参加すると答える人はほとんどいません。
人はネガティブな影響をポジティブな影響とは比べ物にならないほど重く受け止めてしまいます。

「自分のもの」になった瞬間、惜しくなる

「保有効果」とは何か?

「保有効果」とは、自分が所有しているものに対して過度に価値をおく傾向がある概念です。
つまり、同じアイテムや資産が手放される際には、その価値が手に入れた時よりも高く感じられる現象です。

「保有効果」の具体例

配信登録制のストリーミングサービスを、30日間の無料トライアルを利用して開始したとします。
キャンセルは簡単にできることを確認済で、無料トライアル期間だけ楽しむつもりで無料期間の終了日を忘れないようにしています。
それから最初の1週間で、ライブラリから様々な映画を視聴して楽しみます。
一度自分のものとして使い始めたことにより手放したくない心理が働きます。
すると、加入を続ける合理的な理由が頭をよぎり始めます。
登録前にお目当てだった映画をすべて視聴し終わっても、まだまだ魅力的に思えるコンテンツがたくさんあります。
月額料金も自分にとってたいした負担ではありません。
こうしてコンテンツが手元にあることが、損失を回避することと結びつき、契約を続けてしまいます。

人の選択は「切り取り方」で決まる

「フレーミング効果」とは何か?

「フレーミング効果」は、情報を「ポジティブなフレーム」と「ネガティブなフレーム」の二つの異なる視点で提示することに関連しています。
同じ情報でも、それがポジティブにフレームされた場合とネガティブにフレームされた場合、個人の意思決定に異なる影響を与えます。

「フレーミング効果」の具体例

フレーミング効果の影響力はとても強く、文字どおりの意味で生死を左右しかねません。
ある医療処置の情報を2つの異なる方法で提示するケース。
ポジティブなフレームでは、「この処置を受ければ90%の患者が生存できます」と伝えます。
ネガティブなフレームでは、「この処置を受けなければ10%の患者が死亡します」と伝えます。
それぞれの方法で提示したケースの影響は次のとおりです。
ポジティブなフレームの場合、多くの人は処置を受けることに賛成する傾向があります。
生存率が高いことが強調されているため、処置を受けることで生命を守るチャンスがあると認識されます。
ネガティブなフレームの場合、同じ情報を逆に提示することで、多くの人が処置を避ける可能性が高まります。
死亡率が強調されるため、処置を受けないことでリスクを回避できると認識されます。

※この場合は、患者には両方のフレーミングを提示すべきです。
患者の判断は、ネガティビティ・バイアスとポジティビティ・バイアスのどちらの影響も受けてはなりません。

「ネガティビティ・バイアス」に対抗する

取れる戦略はふたつ

ネガティビティ・バイアスのいちばんの代償は、人を誤った選択に導くことです。
大量の称賛を2,3個のネガティブなレビューで相殺したばかりに、人生を一変させてくれたかもしれない本を買い逃すかもしれません。
しかし、ネガティビティ・バイアスは本能に深く組み込まれているため、その存在を意識したからといって、バイアスがもたらす有害な事態を必ずしも避けられるようにはなりません。
それでも対策ができないわけではありません。
ネガティビティ・バイアスに対抗する戦略は2つであり、次のケースで活用できます。

  • 「損失回避」によって選択を誤ったとき
  • 「保有効果」が生じたとき

ポジティブな質問をするか、ネガティブな質問をするか?

「フレーミング効果」をもう一歩踏み込んで活用すれば、心のなかで自分につぶやく内容の切り取り方を変えられるようになります。

「損失回避」への対策

「損失回避」によって良い機会を逃さないためには、まず「ネガティブな要素を気にしすぎていないか?」と自問します。
そして、そう思う場合は、ネガティブな要素は除外し、ポジティブな要素に注目してフレーミングしましょう。
その際、たとえば、次のような言葉やメッセージを使います。

  • 「これを利用することで、コストを削減し、費用を節約できます。」
  • 「この製品は、問題を解決し、将来の損失を防ぎます。」

「どの選択肢を退けるか」という視点ばかりでなく、「どれを選ぶか」についても考えてみましょう。
そうすることで、損失回避からくる不安を和らげ正しい選択ができる可能性が高まります。

「保有効果」への対策

所有物に対する感情的な結びつきを軽減するために、冷静な評価を行います。
たとえば、「クローゼットが衣類であふれかえる様を何とかしたい」という状況なら、すべての服を床に積み上げましょう。
そうすると、その瞬間から自分の所有物ではなくなります。
保有効果の影響はなくなり、何かを「失う」というフレーミングから何かを「得る」というフレーミングに心理を反転させることができます。
大きな服の山から新たに服を買うのだと自分に言い聞かせてから、一着ずつ吟味し判断していけば整理は簡単になるでしょう。

読んだ感想

本書を読むと、私たちは本当に様々なバイアスや思考の不具合の影響を受けて日常を送っていることがわかります。
論理的に考えているはずなのに思考の不具合が起こる理由は、認知能力が高度に進化してきたことが原因ということで、この思考の不具合の解決策というのは非常に難しいそうです。

本書の事例紹介は、身近なものが多いので「まさかそんなところでバイアスが働いていたか」と驚きもありました。

バイアスや思考の不具合は、知って注意するだけでは避けられません。
実際、事例紹介を通して自分の思考や行動パターンを振り返ると、バイアスがどれだけ抗い難いものなのかを感じることができるでしょう。
本書では、科学的なリサーチに基づき、日常の多種多様な場面で働いてしまうバイアスや、それが引き起こす思考の不具合の理由を知ることができます。
「自分がコントロールできないことは何か」を知るということの重要性がわかります。
そして、それを知った上で思考に思考を重ねることが重要です。
たとえば、本記事で紹介した「ネガティビティ・バイアス」に「フレーミング効果」を活用して対抗する内容なんて、ためになるだけじゃなくて面白いですよね。
本書に掲載される内容は、これらの思考について詳しく知ることができることはモチロンですが、他にも「確証バイアス」や「自己中心性バイアス」等、多数のバイアスや思考の不具合について学ぶことができます。
詳しくは、本記事の上下に設置した本書の紹介ページでご確認ください。

たとえば、こちらの意見に対して反対の意見をぶつけるために相手がたくさんの情報を持って反論してきたとしても慌てず、

それって、確証バイアスですよね。

と相手に優しく教えてあげましょう。
そして、そう言うからには、自分も確証バイアスに気をつける必要があります。

本書の内容を理解すれば、他者の不安を利用した事業や投資戦略が思いつくかもしれません。
他者の意見を操りたいときにも役に立つでしょう。
しかし、それは著者の願いとは異なります。
著者は、認知心理学の活用によって、より良い世界が広がっていくことを願っています。
思考のエラーが避け難いことを知れば、犯してしまいそうな過ちについて予備を用意しておくことができる可能性があります。
備えがあれば、相手の失敗に寛容になれるかもしれません。
相手も本書の内容を知っていれば、互いに優しくし合えるかもしれません。
人や物やお金、様々なことに様々な場面で複雑に働いてしまうバイアスと思考の不具合について知って、対策することで世界はより良くなっていきます。
自分を卑下するべきではなく過信するべきでもなく、フェアでなければなりません。
他人に対してもフェアであるべきです。
みんなでより良い世界にするために本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

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