【要約】『REAPPRAISAL(リアプレイザル) 最先端脳科学が導く不安や恐怖を和らげる方法』

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タイトルREAPPRAISAL(リアプレイザル)
最先端脳科学が導く不安や恐怖を和らげる方法
発行日書版第一刷 2023年10月11日発行
電子書籍版 2023年9月29日発行
発行所実業之日本社
著者内田 舞
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

本書の表紙には「不安や恐怖を和らげる方法」と書かれています。
生きるだけでも大変な世の中、その方法はすべての人に求められる技術であると思えました。
上記リンクから本書の紹介ページを読んでみると次の内容がありました。

  • 感情に囚われてしまう
  • 不安が強い
  • 何でも悪い方に考えがち
  • 気分転換が苦手
  • 自己肯定感が低い

これは、私にも当てはまるところがありそう!

今よりもきっと楽に生きられる思考法を学ぶことができるという本書。
最先端脳科学が導く内容であれば、きっと確かな方法のはず。
そう思い本書を手に取ることにしました。

オススメしたい人

  • 嫌な感情をできるだけよい感情に変えたい人
  • 自己肯定感を高めたい人
  • ネガティブ思考のため「生きにくい」と感じている人

学べること

本書のタイトルにある「リアプレイザル(Reappraisal)」とは、科学的根拠(エビデンス)のある心理療法である「認知行動療法」の中の対処法の一つです。
本書は「嫌な感情を抱いた際に、それをできるだけよい感情に変えていく」方法について教えてくれます。

「リアプレイザル(Reappraisal)」とは、日本語では「再評価」という意味です。

ここでは、本書の内容を私の解釈で簡単にまとめています。

脳はなぜ不安や恐怖を感じるのか

「不安」とは、心落ち着かずに恐怖や緊張を感じる状態です。

「新しい職場でうまくやっていけるだろうか」
「明日は大事なプレゼンだ。失敗したらどうしよう」

と、このように私たちはさまざまな場面でストレスや不安を感じます。
うまくいってほしいと思えば思うほど、ふだんの実力を発揮できなくなります。

「不安なんか感じなかったらいいのに」

と誰しもが思ったことがあるでしょう。
しかし、それは簡単なことではありません。

なぜなら、「恐怖」や「不安」という感情は、生存本能から生まれたものだからです。
文明時代ではなかった頃の人間は、猛獣や感染症などの危険に晒された過酷な環境下で生きていました。
危険が伴う状況で生きるためには、考えるより先に反射的に命を守る行動ができなければなりません。
不安という感情は「これから悪いことが起こるかもしれない」という危険を察知し、心身共に備えるためのアラーム信号のようなものです。
「恐怖」や「不安」などのネガティブな感情は、生存本能が関係しているものであるため簡単には撥ね除けられないのです。

感情に支配されないためにできること

ネガティブ思考は、遺伝要因を含む生物学的な要因の影響が大きいと考えられています。
しかし、ネガティブ思考は変えることができます。
私たちの脳は、経験したり学習したりすることで、「ある対象=危険」という認識を変えることができます。
その方法は、段階的に「これは強い不安を感じなくてもいいものだ」と脳が情報を得る機会を増やしていきます。
少しずつ「嫌だ」「不快だ」という感情とつながっている行動や場所に関して、少しずつ「怖くない」という記憶を積み重ねていきましょう。

脳は可塑性を持っており、まさにこの可塑性を利用してネガティブな感情をポジティブな方向に向けるような考え方を築く手法が「再評価」です。
経験や学習は再評価のプロセスの一つになります。
また、再評価は練習を繰り返すことでもっとうまくできるようになります。

再評価とは──感情に支配されない自分を作る

「再評価」は、心理療法や精神科の治療などで用いられる「認知行動療法」の手法の1つです。

認知行動療法
認知行動療法とは、「学習理論に基づく行動療法」と「精神分析的な心理療法」から発展した認知療法です。
最もエビデンスが集積している心理療法で、認知行動療法をする前と後で脳機能が変わるということが多数の研究論文で示されています。
うつ病をはじめ、不安障害や強迫神経症、不眠症など多岐にわたる症状に治療効果や再発予防効果が認められています。
最近ではビジネスパーソンやアスリートのメンタルヘルスなど広範囲な領域で認知行動療法の考え方が取り入れられています。

アメリカで大ブームになっている「マインドフルネス」も認知行動療法のテクニックの1つです。

再評価
「再評価」とは、ネガティブな感情が生まれた背景にはどのような考えがあって、その考えはどのように構築されたのだろうか、と見つめ直す思考過程のことです。
そのやり方について説明していきます。

認知

再評価の実践に関わる「認知」について考えていきましょう。
私たちは、一人ひとり違う考え(認知)を持っています。
この違いが生まれる理由には、次の2つが影響します。

  • もともとの性格などの生物学的な要素
  • 生育環境や、出会った人、経験したことなどから形作られた価値観

そのため、同じ出来事でも認知は人それぞれ違います。

メタ認知と客観視

メタ認知とは「認知を認知すること」です。
このメタ認知は、再評価の中心的な役割を果たします。
自分の感じ方のパターンや考え方の癖、そして今自分はどんな思いでいるのかを分析します。
自分の考え方を客観視しましょう。

認知の歪み

もともとの性格や経験によって気づかれた「自分の考え方のパターン」が「間違っている」あるいは「自分に要らぬ悪影響を与えている」ことがあります。
認知の歪みは、さまざまな形で発現しますが8つのパターンが存在します。
考え方のパターンに名前がついていると、その歪みに気づき対応しやすくなります。

格闘技にも○○とか△△とか名前がついた技があります。
名前がついた技だと「今この技をかけられている」と気づけるので受け身を取ったり避けたり反応できる確率が上がるそうです。
逆に、名前がついていない技の場合は、なかなか反応できないそうです。

パターン1.All or Nothing / Black and White Thinking:全か無か、白か黒か
世の中には、白か黒かはっきりしないグレーの事象が多いです。
しかし、私たちは時として「成功か失敗か」等、2つに分けたくなってしまうことがあります。
たとえば「100点でなければ失敗」と考えてしまうと確率的に失敗の方が多くなり落胆や自責の機会が多くなります。
100点でなくても十分に役割を果たせたり、やり直せることもあります。

パターン2.Fortune Telling:予言
「将来こうなっているはずだ」と心の中で決めつけてしまうと、事が起きる前から不安でいっぱいになってしまうことがあります。
この認知の歪みのために「どうせ失敗するから努力する意味がない」と挑戦する前から諦めてしまうこともあります。
認知の歪みに気がついたら「今ここで起きていること」「感じていること」「考えていること」に目を向けることが大切です。

Fortune Tellerとは、「占い師」という意味です。

パターン3.Mind Reading:読心術
私たちは、他者が考えている事や感じていることはわかりません。
しかし、つい「相手はこう思っているに違いない」と決めつけてしまうことがあります。
たとえば、「あの人は私のことが嫌いなんだ」等、誰かの自分への思いが気になって仕方ないときは「人間、自分以外が考えていることはわからない」という端的な事実を思い出すことが重要です。
「相手には相手の思いがある」「相手が自分について抱く感情は、自分がどのような人間であるかとは関係ない」と考えられると自尊心を保って前に進むことができます。

パターン4.Catastrophizing:悲劇化する
1つ悪いことが起きたときに「きっと、これは大変な悲劇になるに違いない」と考えてしまうことです。
1つの不安が雪だるま式に増えていってしまうことがあります。
それに気づいたときは、一度立ち止まり、今わかっている情報は何なのかを見直しましょう。
そして、今わかっている中で状況に対応することを意識しましょう。
状況の中でコントロールできることに気づくこともあります。

パターン5.Labeling:ラベルを貼る
たとえば、「試験に落ちた自分はバカだ」「遅れてきた同僚は怠け者だ」と人や状況を形容する「ラベル」を貼ってしまうことをいいます。
一度「ラベル」を貼ってしまうと、その印象が頭から離れず、ラベル以外の特徴や良さが見えなくなります。
それどころか、その人の実際の問題点さえも明確に見えなくなることもあります。
そうすると問題解決のための対策を立てることが難しくなってしまいます。
「ラベルを貼ってしまっているな」と感じることがあったら、何が気になるのかをラベル以外の言葉を使って具体的に書き出してみるといいでしょう。

パターン6.Discounting the Positive:マイナス化思考(ポジティブ面が見えない)
人生の中での経験は、ポジティブなこととネガティブなことが混ざっています。
それなのに、なぜかネガティブなことの方に視線が行ってしまうことをいいます。
どんなにたくさんの肯定的な評価を受けても1つネガティブな評価があると気になって仕方ない。
何かで素晴らしいパフォーマンスをしても1つの失敗が気になって仕方ない。
このようにネガティブなことばかりに着目してしまっていると気づいたら、意識的にポジティブな要素を探してください。

パターン7.Overgeneralization:過度な一般化
1つ、あるいは少数の事象を全体に通じる法則かのように過度に一般化して当てはめてしまうことをいいます。
たとえば、1人の男性に浮気された人が「男性は浮気するものだ」とすべての男性にその特徴を当てはめてしまう等です。
この認知の歪みの理由は、同じトラウマを経験しないように脳が自己防衛機能を働かせているためです。
この認知の歪みに気がついたら、少しずつ「例外」を探してみましょう。
「似ているものすべてが怖いわけではないかもしれない」という可能性を感じることが出来たら認知の歪みは少しずつ修正されていきます。

パターン8.Personalization:個人攻撃だと勘違いして受け止める
私たちは、すべての事象が自分とどこかつながっていて、少しでも身に覚えがあることは「自分のことなのでは」と考えてしまいがちです。
しかし、そう思っても実際は自分とは関係ないことも多いことを覚えておく必要があります。
「自分が攻撃されているはずだ!」と仕返しをしたくなったときは、まず一呼吸しましょう。
「自分への攻撃じゃなかったとしても、同じ返答をするだろうか」と冷静に考えてから、反応するように意識するといいでしょう。


認知の歪みは、放っておくとネガティブな考えに頭の中が多い尽くされてしまいます。
自分にとって悪影響を及ぼす認知があることに気づくには、何よりも自分が抱いた感情を見逃さないことです。

再評価の基本プロセス

認知の歪みは、誰もが経験し、必ず感情を強く揺さぶるものです。
感情は、瞬時に浮かんできてしまうものですが、感情の下にある「認知」の分析と改善を試みるのが再評価の基本です。
認知の歪みは、長く持ち続けるほど強くなってしまいます。
しかし、何歳になっても遅くないので、再評価を意識してみましょう。

それでは、具体的にどのように再評価を行えばいいかを説明します。
再評価の基本プロセスとは、次のとおりです。

  1. 自分の中のネガティブな感情に気づく
  2. 一度立ち止まる
  3. 「感情」「考え」「行動」の三つに分けて見つめ直す

このように再評価とは、案外シンプルです。
もともと私たちが日常的に無意識にやっていることです。
この無意識にやっている再評価を「意識的に再評価の機会を増やしていく」ことに意義があります。

書き出して整理する
慣れないうちは、悲しい気持ちや怒りの気持ちが湧いたその場では再評価することは難しいです。
そのため、まずは少し時間が経って落ち着いた段階で振り返ってみるということから始めるといいでしょう。

おすすめの方法は、感情のままにメモ書きする等でアウトプットすることです。
グルグルと頭の中を堂々巡りしている思いをとにかく脳の外に出すことが大事です。
これにより冷静に見つめ直すことで自分にとって大事なことが整理されていくことがあります。

恐怖の感情が沸き起こるトラウマの出来事は、自分の安全が脅かされる状況です。
そのため、脳は危機管理のため「忘れちゃいけないこと」として深層心理に残そうとします。
すぐに闘争・逃走行動がとれるように嫌な感情を何度も何度も呼び起こします。

「書き出す」ということは、忘れても必要なときに読み返すことが可能となります。
そのため、脳に「忘れてもいい」「常にリマインドせずとも大丈夫」というメッセージを送ることができます。
書き出している最中は悲しい思いをしますが、その後はトラウマ体験の日常生活への影響を少なくする効果もあります。
コツをつかんでくると、感情が湧いてきたときに再評価を取り入れることができるようになります。
だんだんとネガティブな感情に支配されにくくなっていきます。

立ち止まることの大切さ
脳は、「瞬時に好きか嫌いか」「安全か危険か」を瞬時に判断して感情を呼び起こします。
しかし、すべての感情に反応して行動を起こさなければならないわけではありません。
「感情に従って行動すべきか」と一瞬「立ち止まる」ことが大事です。
不安や怒りといった感情は、波のようなものです。
一度高まってもその後だんだんと小さくなっていきます。
波が岸についたなと思ったら、自分の感情について見つめ直しましょう。

脳の感情を司る偏桃体が活性化しているときは、「考える」ための前頭前野などの大脳皮質の働きが抑制されます。
そのため感情の波が高い位置にあるときは、判断力や考察力が鈍るので悪い判断をしてしまう危険があります。
そんな状態で不安を解消するために起こした行動に後悔してしまうこともあるでしょう。
だから、まずは一呼吸置くことが大切です。
感情の波が少し収まり岸に着くまで、外の空気を吸う等して意識的に気分転換しましょう。

かっこ悪い感情や考えも受け入れる
自分の感情を見つめ直すと、自分ではあまり認めたくないものもあると思います。
しかし、どんなかっこ悪い感情であっても受け入れることが大切です。
そして、そんなかっこ悪い感情を抱く自分に少し優しくなってあげましょう。
自分の思いを否定することは、かなりのエネルギーを要します。
だから、自分のかっこ悪い感情を認識し、受け入れて考えましょう。
そうすることで、自分や自分の大切なことのためにエネルギーを使うことができるように気持ちを切り替えることができるようになります。

再評価の過程において、まずは状況や感情を認識し「受け入れる」ことが大切。
この過程にも「ラジカルアクセプタンス」という名前がついています。

自尊心を高める「内的評価」

「外的評価」と「内的評価」という2つの評価軸に関して説明します。

外的評価
「外的評価」は、外から向けられる評価のことです。

内的評価
「内的評価」は、自身の達成感や成長、生きがいを軸にした自分自身の評価のことです。


外的評価は、さまざまな要因が関わり、時には努力とは無関係にアップダウンします。
そのため、外的評価にフォーカスしてしまうと心がとても不安定になりやすくなります。
一方で内的評価は、外的評価が低かったからといって、それまでの努力や達成感が消えてなくなるわけではなく、すべて自分の財産として残ります。
外的評価だけでは行き詰ってしまうこともありますが、内的評価は裏切りません。
自信を無くしたとき、嫌な思いをしたときは、外的評価ではなく内的評価を軸に自身の人生や経験を眺めてみましょう。
内的評価は、自尊心を育てます。
自尊心があればあるほど再評価しやすくなります。
ぜひ再評価のプロセスに組み込んで活用してください。

読んだ感想

生きていると様々な感情を抱くことがあります。
時として怒りや悲しみといった嫌な思いを抱くこともあります。
不安や恐怖を感じても立ち向かわなければならないこともあります。
本当に生きるということは、大変なことです。
でも、生きているとたまに嬉しいことや楽しいことがあったりします。
それがあるから頑張って生きているわけで、嫌な気持ちになることは極力回避していきたい。
そう思うのは、きっと私だけではなく多くの人が同じはずです。
そのため、本書に書かれていることは、多くの人に求められる知識だと思います。
特に、生きづらさを感じている人には、いますぐ読んで欲しい内容です。

本書に書かれていることは、内容としては難しくないので誰でも理解できると思います。
しかし、実践することには非常に難しさを感じています。
感情が高まったときの「一度立ち止まる」が難しいです。
「立ち止まらなきゃ」と、そう思ったときには時遅しで勢い余って停止線を超えてしまいます。
しかし、本書によれば、コツさえつかめば感情が湧いてきたその場で再評価を取り入れることができるようになるそうです。

諦めずに「一度立ち止まる」を心掛けて頑張りましょう。

嫌なことがあったら「書き出す」という方法は、他の書籍でも紹介されていました。
しかし、書き出すことによって脳に「忘れても大丈夫」というメッセージを送ることになるということは始めて知ることができました。
嫌な記憶というのは、本当に何度も何度も頭の中でフラッシュバックされますよね。
あれを減らすことができると、かなり生きやすくなるのではないかと思います。
これは良い方法だなと思いました。
しかし、一方で学習法として「書いて覚える」という方法がありますよね。
少し調べてみると、この学習法には「正しい派」と「間違い派」があるそうです。
本書には、次のように書かれている内容がありました。

自分に合った方法は何だろうと考えて、取り入れては修正してと、試行錯誤してみてください。

「書いて忘れる」も「書いて覚える」も、それぞれ1つの方法です。
本書には、色々な内容が書かれています。
いろいろと試してみて自分に合った方法を探すのが良いみたいです。

本書を読まないと知ることができなかった方法がたくさんあります。
その中から自分にあった方法を探してみましょう!

本書には、本記事で触れたこと以外にも、メンタルヘルスを良好に保つための方法や、メンタルヘルスが崩れてしまったときのためのレジリエンスの育て方等を学ぶことができます。
著者や有名アスリートのエピソードの紹介があるため、とてもわかりやすいと感じました。
また、脳と感情の関係の奥深さを感じることができ、とても興味深く読み進めることができました。

本書には、生きづらさを感じながらも、それでも生きる私たちに救いとなる知識がたくさん詰まっています。
人生を自分らしく生きるための方法を、本書から学んでみてはいかがでしょうか。

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