あなたは言葉の囚人ーーチャット、メール、SNS、メモ、ビジネス文書、いつでもどこでも言葉を書き、読み、耳を傾けている。
無数の情報が氾濫するカオスは、「本当に重要なこと」に集中することを難しくさせる。
「簡潔さ」は、あなたの大切な時間、ひいては人生に最も影響するスキルである。
本書の概要
タイトル | : | Simple 「簡潔さ」は最強の戦略である |
発行日 | : | 2024年9月10日 プリント版第1刷発行 2024年9月10日 電子版発行 |
発行所 | : | ダイヤモンド社 |
著者 | : | ジム・バンデハイ、マイク・アレン、ロイ・シュウォーツ |
訳者 | : | 須川綾子 |
著者情報は、上記リンクからご確認ください。 |
テクノロジーの進歩により、私たちはいつも様々な情報にさらされている。
それなのに私たちの話し方や文章の書き方は昔のまま変わっていない。
長文至上主義ーー長い文章は知性の証しと言わんばかりに誰もが長い文章を書く。
膨大な情報量は、私たちの使える時間や選択肢を減らし、集中力を乱す。
混乱の中、言葉のほとんどが無視され浪費されている。
あなたの書いたものは、ななめ読みか、読み飛ばされる。
あなたが伝えたい重要なことに注目してもらうには、どうすればいいのか?
その解決策は、コンテンツの消費のされ方に合わせること。
その方法こそが、本書が伝える「スマート・シンプル」だ。
主要なポイント・学び
なぜそれが重要か?ーー文章に自分と相手の時間を節約する「仕組み」を取り入れる戦略。
ずっと少ない言葉ではるかに多くの内容を伝えられるようになる。
その結果、あなたの書いたものを「必読の文書」へと変える。
「スマート・シンプル」は、情報伝達を大きく向上させたいと願うあらゆる人に役に立つ。
読み手ファースト
なぜそれが重要か?ーー読み手の時間と知性に敬意を払うメッセージは心に響く。
自分の声を届けたいエゴより読者のことを第一に考える。
「伝えたい1人の相手」に語りかけるーー時間に追われる聡明で好奇心旺盛な現実の人物を想像する。
人間に向けて「人間らしく」、誠実さと思いやりを欠かさない。
伝えたいことだけを書くーーそれが読者に理解してもらうためのいちばんの近道。
言葉に言葉を重ねていけば肝心なことが埋もれてしまう。
余計なことは言わないーー饒舌になるのは、書く内容を自分自身が本当に理解していないから。
自分が伝えたいことがはっきりしていなければ、読者がそれを理解することはできない。
力強い言葉で語る
なぜそれが重要か?ーーSNSなどの競合に負けないためには強い言葉が必要だ。
具体的な言葉を使うーー強い言葉とは「具体的な言葉」。
「抽象的な言葉」は弱い言葉なので使わない。
ぼやけた言葉を使わないーー実際に起きていることを述べる。
次のような表現は、実際に起きていることを何も伝えていない。
- 「~する可能性がある」
- 「~かもしれない」
- 「~するおそれがある」
能動的な言い方にするーー能動的な言い方は「誰が何をするか」がわかりやすい。
受け身な言い回しは使わない。
歯切れのよい表現を使うーー歯切れのよい表現は、言葉に明瞭さを与える。
パンチの利いた言葉を使い刺激的に伝えることで、記憶に残りやすくなる。
関心を集めるタイトル
なぜそれが重要か?ーータイトルは、スマート・シンプル流の「ねぇ、聞いて」に当たる。
読者に「あなたの時間を割くに値する大事なことを面白い伝え方をすること」を伝える。
タイトルを長くしないーーできるだけ短い単語を使う。
7文字より5文字、5文字より3文字の方が力強い。
「冗談」「皮肉」「謎めいた表現」をやめるーーまぎらわしいだけで意味が無い。
奇抜な「造語」や、わかりにくい「ビジネス用語」もやめる。
「もっと読みたい」と思わせるリード文
なぜそれが重要か?ーー読者が冒頭しか読まない場合に備える。
読者が読み進めるよう説き伏せる力強く価値あるものにする。
タイトルと重複させないーータイトル、リード文、アクシオムは重複してはいけない。
いちばん大事なことを伝えるーー読み手の興味の引くことを単刀直入に、短い文にする。
アクシオム
なぜそれが重要か?ーーアクシオムとは、読者の思考を整理して導く道路標識のような文脈。
いまどこにいて、これからどこに向かうのかを伝えることができる技法。
効果的なアクシオムには、たとえば次のようなものがある。
- なぜそれが重要か?
- 全体像
- 数字で見る
- 結論
- さらに知る
アクシオムの使い方ーー特に重要なポイントをアクシオムではじめる。
アクシオムは太字で表記する。
読者の集中力が鈍っていても自然と注意を引くことができる。
自分に合ったアクシオムを使うーー自分の業界、人柄、スタイルを考慮する。
読者の心に響くように言い換えたり工夫する。
効率のいい構造
なぜそれが重要か?ーー整理された論理展開は、大事なことを際立たせることができる。
短く区切るーー箇条書き、図表、アクシオムを使って流れを区切る。
「箇条書き」を多用するーー重要なことを構成要素に分解して示すと読者が理解しやすくなる。
3つ以上のデータを扱うときは箇条書きにする。
「太字」を使うーー目に留まりやすくなる。
大事なことを際立たせることができる。
「さらに知る」で詳細を伝える
なぜそれが重要か?ーー「さらなるデータや背景を読者が得やすくなる工夫と配慮」をしていることを読者に伝えることができる。
「さらに知る」の使い方ーーレポートや記事、Webサイトなどへのリンクを張る。
最後に「さらに知る」を配置することでエレガントに記事を終えることができる。
「本気」で見直す
なぜそれが重要か?ーー読者に必要以上の負担を求めていないか?
スマート・シンプルを実践できているかを確認する。
削除、削除、削除ーー削除できる言葉や文がないか見直す。
削除すればするほど読者の時間の節約になる。
「副詞」「弱い言葉」「あいまいな言葉」は削ぎ落す。
自問するーー読者が1文しか読まなかったとしたら、それが本当に自分が伝えたいことか?
読者に「もっと読みたい」と思わせる内容か?
記事が他人の書いたものだと想像して、読む気になるかを考える。
最終確認ー最後に行うべきチェック。
内容を声に出して読んでみる。
- 正確さ:不可欠なニュアンスが抜けていないか
- まとまり:すべてがわかりやすく流れているか
- 人間らしさ:あなたの人柄が感じられるか
まとめ・感想
テクノロジーの進化により起きた情報の氾濫に、大昔と同じ能力で生きる私たちは対処できない。
情報に飲み込まれて息もできないーーくらいに現代人は忙しい。
いますぐ大幅な能力UPは望めなくても、意識ならすぐに変えることができる。
その変化をもたらすものこそ、本書の「スマート・シンプル」。
読み手の時間を尊重しつつ、重要なことを力強く際立たせて伝えることができる。
私たちは、いますぐ意識を変えなければならない。
「スマート・シンプル」を実践していこう。
そして「スマート・シンプル」を周囲に広めていこう。
そうすれば、みんなが幸せになれる。
「簡潔さ」は最強の戦略である。