イントロダクション
タイトル:時間最短化、成果最大化の法則
2022年11月15日 プリント版第1刷発刊
2022年11月15日 電子版発行
発行所:ダイヤモンド社
著者:木下勝寿
ビジネスパーソンとして成功している人とそうでない人の違いは「社会人になった最初の上司がどんな人だったか」ということが最も影響しているという有名コンサルティング会社の調査結果があるそうです。
では、ビジネスパーソンとしての命運は、運まかせの上司ガチャに委ねるしかないのでしょうか。
ーいいえ。違います。安心してください。
本書は一流の上司を得る代わりに、どんなことが起きても対応可能な武器を伝授してくれます。
私は「時間最短化、成果最大化の法則」というタイトルに惹かれて「そんな法則があるのなら是非知りたい!」という思いから、本書を手にすることにしました。
オススメしたい人
- これから社会人になる人
- すべての社会人
学べること
本書を読めば、良い上司に恵まれなかったとしても、本書の「思考アルゴリズム」によって短時間で成果を上げ続けるスーパービジネスマンになれるでしょう。
ここでは「新社会人に特に知って欲しい」と私が思う内容に厳選し、簡単にまとめてご紹介します。
社会人として成功し続けたい人は、すべての「思考アルゴリズム」を習得するために本書を購入し読んでいただくことをオススメします。
思考アルゴリズム
「思考アルゴリズム」とは「考え方のクセ」です(「思考アルゴリズム」は著者による造語)。
成果が上がる「考え方のクセ」と、成果が上がらない「考え方のクセ」が存在します。
もし、成果が上がらない「考え方のクセ」があったとしても、自身でそれに気づくことは難しいことです。
そして「考え方のクセ」を変えようとすることは、さらに困難なことです。
ーだから「考え方のクセ」を変える努力は必要ありません。
ただ、あなたの脳に「正しい思考アルゴリズム」をインストールすれば良いのです。
そうすれば、短時間で成果を上げられるようになります。
「思考アルゴリズム」は「考え方」なので、インストールすればすぐ使うことができます。
ちなみに本書は再現性の観点から有益な個所を「45の法則」にまとめられていて、1日1法則インストールすれば45日で脳が書き換えらるようになっています。
短時間で成果を上げ続けるための黄金法則
「成果」は、その人が持つ「スキル」だけから生まれるものではありません。
本書によれば「スキル」はどれだけ磨いても新人とベテランで「1 : 3」と3倍までしか差がつきません。
しかし「思考アルゴリズム」では「1 : 50」と50倍の差がつきます。
短時間で成果を上げ続けるための黄金法則とは「スキル」と「思考アルゴリズム」の掛け算です。
つまり「成果=スキル×思考アルゴリズム」です。
「新人」と「ベテラン」と「成果を上げ続ける人」を比べると、150倍の差をもって現実世界に現れます。
「成果=スキル×思考アルゴリズム」の黄金法則
スキル 思考アルゴリズム 成果 新人 1 × 1 = 1 スキル 思考アルゴリズム 成果 ベテラン 3 × 1 = 3 スキル 思考アルゴリズム 成果 成果を
上げ続ける人3 × 50 = 150 「思考アルゴリズム」次第で150倍の差がつく!
ピッパの法則
「ピッパの法則」とは「ピッ」と思いついたら「パッ」とやることです。
やるべきことが起こった時「後でやろう」としてはいけません。
選択肢は「その場ですぐやる」か、すぐにできない場合は「いつやるかをその場で決める」です。
簡単なものは「パッ」と終わらせてしまいましょう。
時間がかかるものは「パッ」といつやるかを決めてスケジュール帳に書き込みましょう。
タスクを滞らせず次々とこなしていけるので、キャパを激増させることができます。
例えば、「業務にかかる時間が短い人(以下、Aさんと言う)」と「業務にかかる時間が長い人(以下、Bさんと言う)」がいたとします。
「業務にかかる時間」は、その仕事の初心者を除くと社会人としての経験値はほとんど関係ありません。
では、AさんとBさんの差はどこで生まれるのでしょうか。
ー答えは、Bさんは、Aさんに比べて実業務への着手までのアイドルタイムが長いのです。
例えば、打合せをしてからその実務に着手する場合、AさんとBさんには次の違いがあります。
Bさんの場合
- 「後でじっくり考える」ことを前提に打合せをしている
- 打合せ直後に実業務に着手しない
- やろうとしたときに「思い出す」のに時間がかかる
(記憶が不鮮明なので仕事の精度も低くなる)
Aさんの場合
- 打合せが終わった直後に実務に着手する前提で打合せをしている(ピッパの法則)
- 打合せ段階で、すべて明確になるまで詰める
- 打合せ直後に実業務に着手する
(確認済情報が多いので精度も高い)
この場合、Aさんのようにアウトプットをイメージしながら打合せをしなければなりません。
Bさんのように「後でじっくり考えよう」という「考え方のクセ」は撲滅しなければなりません。
打合せ後、すぐに着手できない場合は、メモを書きましょう。
メモは、1時間後の自分への貴重なメッセージとなります。
完全に忘れても読めばわかるレベルで丁寧に書いてください。
業務量が多すぎると記憶が追いつかなくなることがあります。
そのため、覚えることは諦めた方が賢明です。
自分の頭脳のリソースを「記憶する」に割くのを止めて、すべて「思考する」ことに集中させます。
メモ、スケジュール帳、デジタルツール等を使いこなし、記憶に頼らず必要な時に正確な情報を確認できる状態を作る仕事の仕方をしましょう。
優先順位のダブルマトリックスの法則
短時間で成果を上げ続けるためには「すぐやるかどうか」だけでなく「優先順位のつけ方」も重要です。
「優先順位のつけ方」は、「重要度」と「緊急度」で分けます。
例えば、「重要度」と「緊急度」がそれぞれ異なる4つのタスクがあった場合、次のように優先度をつけます。
一般的な優先順位のマトリックス
緊急度 高 低 重要度 高 1 2 低 3 4 限られた時間、マンパワーの中で上位2個までしかできないとすると、緊急度「高」よりも、重要度「高」を優先するほうが成果につながる
「緊急度より重要度を優先すると成果が上がる」と覚えて優先度をつけるようにしましょう。
この優先度でタスクを片付けていかないと、いずれ「重要度は低いが、緊急度が高いタスク」に常に忙殺され「忙しいが成果は低い」人になってしまいます。
では、重要度も緊急度も高いタスクばかりの場合は、どうすれば良いでしょうか。
その場合の「優先順位のつけ方」を示したものが、次の2段目のマトリックスです。
応用:すぐ終わるものが最優先
重要度&緊急度 高 低 かかる時間 短 1 2 長 3 4
- 得られる「結果」の量が増える。こなせる案件量が圧倒的に増える
- タスク管理の手間が減る(「発生→タスク管理→実行」が「発生→実行」になる)
- その案件がすむことで次の仕事が生まれ、全体最適となる
- 記憶が鮮明なうちにやると、短時間で漏れのない精度の高いものができる。後でやろうとすると、いったん記憶から消え、実行タイミングで思い出しながらやるため効率が悪い。精度も下がる
※後工程があるものは、さっさとあなたの工程をすませて次の工程にバトンを渡すことが重要
ここでも「アイドルタイム」をいかになくするかを重視して考えます。
すぐ終わるものを最優先にした方が上記の引用の中で示される理由の通り成果が上がります。
「重要度&緊急度は低くても、短時間でできるものを先にやる」と覚えて優先度をつけましょう。
読んだ感想
私が、新社会人として最初に勤めた会社は、とんでもないブラック企業でしたが、幸い、直属の上司には恵まれたようで本書の内容については仕事を経験する中で自然と身につけることができたものも多くありました。
現在はかなり古い体質の業界ですがホワイトな仕事に転職できたおかげで、かなり環境が改善されました。
しかし、仕事面で上司として尊敬できる人は残念ながら組織全体を見渡しても片手で足りるほどの数しかいません(人間として良い人は、たくさんいるのですが…)
どんな上司に巡り合えるかは本当に運でしかなく、良い会社に就職できたからといって良い上司から良い学びを得られるとは限りません。
私は本書を読んで、これから社会人になる人に必ず読むことをオススメしたい内容だと強く思いました。
本書を読んでいる場合とそうでない場合で「上達」や「成長」のスタートダッシュにかなりの差が生まれることは間違いありません。
自力で本書の内容を獲得するためには時間がかかるし大変なことです。
そんな苦労をせずとも正解を教えてくれる本があるのに読まないという手はないです。
私自身は、本書を読んで、これまでの自分の「思考アルゴリズム」を再確認すると共にブラッシュアップさせることができました。
また、成功のために現時点から一歩踏み出すための「思考アルゴリズム」も知ることができ、読んで良かったと思います。
本書は、新社会人だけではなく、すべての社会人にオススメしたい一冊です。