イントロダクション
タイトル:東大の話し方
2023年2月14日 プリント版第1刷発行
2023年2月14日 電子版発行
発行所:ダイヤモンド社
著者:高橋浩一
著者によると「東大」の人は、口ベタでも人を動かすことがうまい人が多いそうです。
人と話すことが苦手でも思い通りに物事を進めることができる理由は、何なのでしょうか?
本書は、幼少期から口ベタで対人恐怖症だった著者が、苦手を克服し現在に至るまでに大きく役立ったという東大で培った「話すしくみ」について紹介しています。
(著者データは、上記リンクからご確認ください)
私は内向型なので、この「話すしくみ」を知ることで、人と話すことに対するハードルを少しでも下げることができればと思い、この本を手にすることにしました。
オススメしたい人
- 対人恐怖症の人
- 人と話すことに自信がない人
- 人にお願い事をすることが苦手な人
学べること
多くの東大生が身につけているという人を動かす技術を学ぶことができます。
本書では、詳しい説明の他に『「東大の話し方」 実践編』を読むことができ、そこでは手厚く13個の具体例(気になる人をデートに誘う 等)を示してくれます。
状況ごとにどの選択肢を取れば良いのかがわかりやすいので「東大の話し方」を身につけたい方は、購入してじっくり場面を想像しながら読むことをオススメします。
「相手や場の状況に合わせて」伝える
本書によれば、人は「3つのタイプ」に分けることができるそうです。
このタイプの見極めが「話すしくみ」を使う大事なスタートです。
相手が次の「3つのタイプ」のどれに当てはまるかを見極めましょう。
- 「論理タイプ」の人の特徴
- 「理屈として正しいかどうか」を大事にするタイプの人。
- 数字に強く、ロジックによる説明を求める。
- 口癖は「要するに」、「根拠は」。
- 「感情タイプ」の人の特徴
- 「好きかどうか」など、感情や感覚を大事にするタイプの人。
- 喜怒哀楽が激しく、大げさなジェスチャーをする。
- 口癖は「俺は好き」、「なんかイヤ」。
- 「政治タイプ」の人の特徴
- 「自分の身が安全かどうか」を大事にするタイプの人。
- リスクをとって行動することへの強い恐れがあり、決断を先伸ばししようとする。
- 口癖は「社長の考えでは」(立場のある第三者の意見を重視する)、「リスクが高い」。
人のタイプは、状況によって変わるので、その時々によって相手がどのタイプになっているかを見極めるようにしましょう。
「地雷を踏まずに」伝える
相手のタイプを見極めたら、相手に合わせた話の仕方をしましょう。
それぞれのタイプの人にやってはいけないことを押さえておきましょう。
- 「論理タイプ」の人にやってはいけないこと
- 時間を無駄に奪う。
- 「損している」(割に合わない)と感じさせる。
- 中身のをともなわない「形式」や「建前」を押し付ける。
- 「感情タイプ」の人にやってはいけないこと
- ノリや雰囲気を合わせない。
- 大量の情報や文書を送りつける。
- 本音を隠し、第三者の意見やロジックだけでドライに話す。
- 「政治タイプ」の人にやってはいけないこと
- こちらのペースで早急に結論を迫る。
- リスクに対する不安を感じさせる。
- 感情で揺さぶる。
重要なのは、相手の脳とケンカしないことです。
「相手がほしい言葉を基本パターンにのっとって」伝える
相手にお願い事を聞いてもらうためには、地雷を回避するだけでは不十分です。
相手に動いてもらうためには、相手の脳が「イエス」を出す「理由」を作りに行かなければなりません。
それぞれのタイプごとに動く「ツボ」があります。
- 「論理タイプ」が動くツボ
- 相手にとっての「メリット」を伝える。
- 相手の過去の発言と「一貫性」のある理由作りをすると「ノー」を言いづらくなる。
- 「感情タイプ」が動くツボ
- 「本音」を明かすことで共感を生んで相手を動かす。
- 「一緒にいい関係を築きたい」等「一体感」で説得力が増す。
- 「政治タイプ」が動くツボ
- 「みんなの意見」を提示してリスクを軽減する。
- 「権威」がある第三者を引用して安心感を与える。
「ツボ」を見つけるのは難しそうに思えますが、相手の話やリアクションに、どの「ツボ」を押せば良いかのヒントが必ず潜んでいます。
焦らず継続的な人間関係を築き、普段から「ツボ」を意識する練習をしておくと徐々にコツを掴むことができます。
「減点されない形で(ノーと言わせないスタイルで)」伝える
相手を動かそうと思うなら、相手の脳にブロックされないことが重要です。
そのために使うのが4種の「枕詞」です。
- 太陽メッセージ(ポジティブな言葉で切り出す)
「このあいだは手伝ってくれてすごく助かったよ。またお願いしたいのだけど…」
お願い事をするときは、相手が受け入れやすいポジティブな言葉を使って警戒心を持たせず「まずは話を聞いてみよう」という状態を作り出しましょう。
- 相談モード(相手の力を借りる)
「ちょっと相談なんだけど…○○○の件、△△△にしませんか?」
実態として「指示」や「お願い」であったとしても、「相談」の形をとることで反射的にガードされることを防ぐことができます。
- 限定(「~だけ」で重みをもたせる)
「あなただから○○○をお願いしたいのですが」
限定の言葉は、相手の脳に重要な情報だと思わせ、生存本能により「この情報をスルーすると危険が及びかねない」と相手を動かしやすくします。
- NOキャンセリング(想定される断り文句を打ち消す)
「お忙しいのは承知のうえでのお願いですが…」
今お願いしたら「こんな言葉で断られそう」と予測できる場合、真逆の言葉を会話の頭につけて想定される断り文句を打ち消しましょう。
「枕詞」→「理由」ときたら後は「具体的なお願い」を伝えるだけです。
勇気を出して、相手に「何を」「いつまでに」「どうして欲しいか」を明確に伝えましょう。
読んだ感想
「もっと早く読みたかった」
本書を読み終えて、もっと早く本書に出会えていれば、人と話すことに対する苦手意識が現在よりもっと薄らいでいたのかなと思いました。
たしかに紹介されている「東大の話し方」自体は難しいわけではありません。
きっと、多くの人が理解できる内容だと感じました。
「東大の話し方」を不自然にならずに使えるようになるためには経験を積む必要がありそうなので、実践するなら早ければ早いほど良いと思います。
「説得力がある」
おそらく、私自身は「論理タイプ」の傾向にあると思います。
もし、自分がお願いされる立場であれば「こういう話し方をされると、たしかに断りにくいな」と思うところがあり、説得力を感じました。
「苦手なタイプがわかる」
私は「論理タイプ」の傾向だと思いますが、状況によって「政治タイプ」の顔をする時もあると思います。
しかし「感情タイプ」には、ちょっと共感できません。
思い返してみると、これまで「何故か話が嚙み合わない」、「何故かわかりあえない」人のタイプは「感情タイプ」だった気がします。
正直、「感情タイプ」の相手には、自分がこの「東大の話し方」を使えている姿を想像することができません。
しかし、「こういう考え方の人もいるんだな」と知ることが出来たことに価値を感じています。
「感情タイプ」を相手には、これまでの自分の話し方をしても通用しないことがわかったので、不要な衝突を避けることができそうです。
今後は、少しずつ「感情タイプ」の人にも寄り添った話し方ができるようになれると良いと思っています。
本書は、口ベタであることにコンプレックスを持っている人には、もちろんオススメですが、対人関係を現在よりもっと良くして円滑に物事を進めたいと思う人にもオススメしたい一冊です。