【要約】『頭のいい人が話す前に考えていること』就職活動時に求められるコミュニケーション能力を身につける

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コミュニケーション・人間関係

イントロダクション

タイトル頭のいい人が話す前に考えていること
発行日2023年4月18日 プリント版第1刷発行
2023年4月18日 電子版発行
発行所ダイヤモンド社
著者安達 裕哉
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

頭のいい人の話を聞くことは、面白いし本当にためになることが多いです。

頭のいい人が話す前に考えていることってどんなこと?

本書のタイトルを見て、とても興味が湧きました。
本書を読めば、私も頭のいい人のように話すことができるのでしょうか。
そんなことを夢見ながら、私は本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • コミュニケーションに苦手意識がある人
  • 自分らしく話し、話し方で悩みたくない人
  • 人間関係の摩擦を減らし自分の大切なものに時間をさけるようになりたい人
  • 周囲に”頭がいい人”と思ってもらいたい人
  • 就職活動の人

学べること

「頭のいい人が考えていること」を知っただけでは意味がありません。
それを知ったところでトークがうまくなるわけがないのです。
本書は、著者がコンサル22年で得た知見を一冊にまとめた一気に”頭のいい人”になるためのプログラムが記されています。
次の2部構成で、だれでも、どの業種でも、どの時代でも通用する形にまとめられています。

  1. 「知性」と「信頼」を同時にもたらす7つの黄金法則
  2. 「知性」と「信頼」を同時にもたらす5つの思考法

「話す前にちゃんと考える」ということは、どういうことなのか。
ここでは、本書の興味深いと感じた内容について私の解釈で簡単にまとめたものを掲載しています。
すべての内容を詳しく学びたい人は、本書を購入することをオススメします。

頭のよさは、ざっくり2種類に分けられる

本書では、頭のよさを社会的知性と学校的知性の2種類に分けています。

  • 学校的知性
    IQや偏差値、論理的思考、記憶力など、数字やテストで測れるもの
  • 社会的知性
    数字やテストでは測れないもの
    他者の思考を読み、信頼を得て、他者を動かす能力

社会で必要とされ、ことさら就職活動時に求められる”コミュニケーション能力”は、社会的知性の方です。
学生時代の学びは、学校的知性を身につけるものです。
通常、人は学校的知性を身につけてから、社会に出て社会的知性を身につけていく順番です。

しかし、社会で活躍していく人は、逆の学びをします。
社会的知性を身につけてから、学校的知性を復習するように学びます。
社会的知性と学校的知性を交互に学ぶことで思考を深めていくのです。

“他者とのコミュニケーションの中で知性を身につける”
本書では、このことを念頭に置いて読むことが求められます。

「知性」と「信頼」を同時にもたらす7つの黄金法則

黄金法則 その1 とにかく反応するな
「口はわざわいの元」と言うように、話す前には十分に注意することが必要です。
怒りなど感情的になることがあると、人は愚かな行動に走りやすくなります。
つまり、怒っているときに下す判断は間違っていると考えた方が良いでしょう。
人は、怒りが生まれてから理性が働くのに6秒かかると言われています。
そのため、何か言いたくなったときほど、逆に口を閉じる
冷静になって思考力が回復するのを待ちましょう。
頭のいい人ほど、感情的な自分に自覚的になり、冷静になれるのです。

黄金法則 その2 頭のよさは、他人が決める
頭のいい人というのは、周囲から”頭のいい人”と認識されている人のことをいいます。
「他者がどのように思うか」を意識することが思考の質を高める最も大切なことです。
他者とのコミュニケーションの中で知性を身につけるためには、論理的に話すようにしましょう。
また、ビジネスの現場ではローコンテクストを意識しなければ通用しません。
これらは、立場も価値観も違う他者と考えを共有するために必要なことです。
とことん相手の立場に立って考える癖をつけましょう。
人は、頭のいい人の話を聞こうとします。
頭のいい人と認められれば、結果的に自分のやりたいことも通りやすくなります。

黄金法則 その3 人はちゃんと考えてくれている人を信頼する
ただ”頭がいい”と思われるだけでは信頼は生まれません。
信頼が生まれる瞬間の心情は“この人、私のためにちゃんと考えてくれてる”です。
例えば、不動産の営業。
ノルマのために売ろうとしていることが見え見えの人から買いたいとは思わないでしょう。
仮に”頭がいい”と思った相手だとしても、そんな相手には信頼ではなく疑念が生まれるはずです。
逆に自分のことを真剣に考えてくれていると心から思えたときに、この人から買いたいと思うのではないでしょうか。
プライベートでも同じです。
“この人、私のことちゃんと考えてくれている”という心情になったとき、人はまた話したいと思うのです。

黄金法則 その4 人と闘うな、課題と闘え
頭がいい人は、決して論破しようとしません。
論破できたとしても、信頼されるどころか恨まれかねません。
相手を論破しようとすることは、プライベートでいきなりプロレス技をかけようとするようなものです。
頭のいい人は、議論の勝ち負けではなく、議論の奥にある、本質的な課題を見極めようとします。
議論になるのは、その人の根底に何か思いがあるからです。
勝ち負けにこだわらず、議論を前に進め、仕事を進捗させることを意識して話しましょう。

黄金法則 その5 伝わらないのは、話し方ではなく考えが足りないせい
話し方の本に書かれているテクニックを学び、口がうまくなることは悪い事ではありません。
しかし、口がうまくなることをゴールにしていると、逆効果になることがあります。
口がうまいと簡単に”賢いふり”ができてしまうからです。
中身のない政治家の「何か言っているようで、何も言っていない」発言のように、賢いふりをすればするほど、残念ながらバカに見えてしまいます。
話し方だけでは、信頼を得ることはできません。
話がうまい人と同じように話せるようになっても期待するような結果を得ることは容易ではないということを忘れないでください。
相手に話が伝わらなければ、話し方が悪かったのではなく、考えが浅かったと考えましょう。

黄金法則 その6 知識はだれかのために使って初めて知性となる
人間は、自分の知識を披露したくなるものです。
しかし、人間は自分の話ばかりしてペラペラ知識を披露している人に、知性を感じません。
そのため、話す前に立ち止まり”本当に相手のためになるのか?”の視点で考えることが大切です。
相手の立場に立つことで、知識を披露したいだけ、ただ言いたいだけの自分に気づくことができます。
頭のいい人は、自分を客観的にとらえる能力に長けているのです。

黄金法則 その7 承認欲求を満たす側に回れ
コミュニケーションにおいて、”話し上手になること”よりも大切なことがあります。
それは、人間の基本的欲求のひとつである“承認欲求をどうコントロールするか”です。
ほとんどの人間は、みな周りから認められ、称賛されたいと思っています。
裏を返せば、自分の承認欲求を抑制し、他者の承認欲求を満たすことができれば、「コミュニケーションの強者」になることが可能です。
しかしながら「自己の抑制」と「他者の承認」の両立は、簡単なことではありません。
自分の話(自己PR)で他者の承認を得ようとせず、他者の承認は、結果によって得られると強く認識する必要があります。
では、他者からの承認は、どのようなときに得られるのでしょうか。
それは、“親切にしたとき”です。
つまり、結果を出した上で、他者に親切にできる人が、他者から承認を得て、信頼されるのです。
コミュニケーションの強者は、承認欲求を満たしてもらう側ではなく、承認欲求を満たす側に回ることで、上手に信頼を得るのです。

「知性」と「信頼」を同時にもたらす5つの思考法

思考法 その1 「客観視」の思考法
物事をできるだけ正確に、客観的にとらえるために、話す前に注意する2つの認知バイアスがあります。

  • 確証バイアス
    自分の都合のいい情報ばかり集めて、自分にとって都合の悪い情報を無視する傾向のこと。
  • 後知恵バイアス
    その結果を知ったから判断しているのに、あたかもその結果を知る前から予測していたように考えてしまう心理状態のこと。

確証バイアスも後知恵バイアスも、賢いふりの典型です。
注意しないと話しが浅くなってしまい頭が悪く見えてしまいます。

話を深くするふたつのコツ

  • 自分の意見と真逆の意見も調べる
    あえて自分に都合の悪い情報にあたることで思考を掘り下げ、話を深くすることができます。
  • 信用度の高い統計データを調べる
    数字という根拠を持ちだすことです。

思考法 その2 「整理」の思考法
頭のいい人が難しいこともわかりやすく話せる理由は、物事の本質を理解できているからです。
理解しているということは、「区別」と「同定」を繰り返して整理されているとうことです。
物事を深く理解するには、どれだけ対象物を区別し整理できているかにかかっています。

結論から話す方法
結論から話すためには「重要な情報」と「その他の雑多な情報」を区別できている必要があります。
その方法は、結論が何かはっきりさせることです。
結論の定義がわからない場合は「相手が聞きたいであろう話」からしましょう。

思考法 その3 「傾聴」の思考法
「聞くこと」はコミュニケーションの基本ですが、話すことに比べて軽視されがちです。
しかし、”話をちゃんと聞く”ことは簡単ではありません。
自分が話すことよりも、相手の話を聞くことに比重を置ける人が、信頼を集めることができます。
ちゃんと話を聞ける人は、余計な口を挟まず相手の言いたいことを考えながら話を聞きます。
このような態度で聞くと、相手にも伝わり「聞いてもらっている」ではなく「対話している」という感覚になり深い信頼感が生まれます。
さらに相手から”学ぼう”という意識で聞くと、さらに相手から信頼されます。
また、相手の話を「整理」しながら聞くと、深く理解することができます。

思考法 その4 「質問」の思考法
相手の話を深く聞き、本質をつかむ方法として「構造化面接」と呼ばれるインタビュー術が参考になります。
これは、Googleが面接の精度を上げるために取り入れている手法であり、質問はたったの5種類です。

  • 導入質問1 ”過去に行った行動”についての質問
    「直面した状況にどのように対応したか?」
    「将来の行動を最もよく予測するのは、同じような状況下での過去の行動である」という考え方に基づいています。
  • 導入質問2 ”仮定の状況判断”に基づく質問
    「仮に~このような状況に置かれたとしたら、どのようにしますか?」
    「人の意図が実際の行動と密接に結びついている」と言う考え方に基づいています。

導入質問をした後、以下の3つの質問で導入質問の回答について深堀りしていきます。

  • 深堀り質問1 状況(シチュエーション)に関する質問
    「そのとき、どのような状況でしたか?」
  • 深堀り質問2 行動(アクション)に関する質問
    「そのとき、何をしましたか?」
  • 深堀り質問3 成果に関する質問
    「行動の結果、どのような変化がありましたか?」

この質問術により、短時間で相手のことを深く知り本質に迫ることができます。
また、面接以外の場面でも、プライベートでも大いに力を発揮してくれます。

思考法 その5 「言語化」の思考法
「とりあえず電話で」と考える人がいますが、それはメールが面倒だからです。
メールを送るには、一度話をまとめて言語化する必要があります。
言語化のために支払うコストを、言語化コストと言います。
「とりあえず電話で」をしてくる人は、話がまとまっていないことが往々にしてあります。
「とりあえず電話で」が楽なのは、言語化コストを電話を受けた側にも負担してもらえるからです。
電話を受けた側は、電話をかけた側が話す内容を整理し、より深く聞くために質問する必要があります。
また、意見を求められたら即座に意見をまとめて言語化しなければなりません。
これにも大変な労力がかかります。

コミュニケーションの際、常に言語化コストをどちらが支払っているかを意識しましょう。
相手に言語化コストを支払ってもらっている限り”頭のいい人”とは思われません。
逆に自分が負担する側に回ることで、相手に好意を持ってもらえます。
言語化コストを積極的に負担する姿勢を持ちましょう。

読んだ感想

本書に書かれている内容をプログラム同様にはじめからおわりまで順番に着実に実行していくだけで、相手から”頭のいい人”と思ってもらえる内容となっていて、タイトルに偽りなしと感じました。

実際のところ”頭のいい人”と周囲から認識されている人が、話す前に本当は何を考えているかは、私がそうではないので想像もつきませんが、きっとこれを実践することで同じ結果を得られるということなのだと思います。
これを体系立てて誰でも理解できるように説明している本書は、本当にすごいと思います。

本書の内容をソフトウェアに例えると、それを実行するハードウェアは自分自身になると思います。
このソフトウェアは、様々なハードウェアに対応していますが相応のスペックが要求されます。

スペックが低いと動かない!?

動かないってことはありませんが、本書の内容を効率よく実行するためには、学校的知性と社会的知性が求められます。
実践しながら社会的知性を磨き、実践するために学校的知性を磨き、行ったり来たりして自身のスペックを高めていくことが必要だと感じました。
表紙の右下端に書かれている「話すたびに頭がよくなる思考術」には、そういう意味もあると私は解釈しています。
本書を読み終えた直後、この感想を書いているのですが、学生時代にもっと真面目に勉強しておけば良かったと後悔の念に駆られているところです。

就職面接で、これを実践して質問に回答することができたら間違いなく一目置かれると思います。
これから就職活動をする人は、是非、本書を読んで欲しいです。
「思考法 その4 「質問」の思考法」でも触れた「構造化面接」の手法は、精神医療の分野や米国政府がすでに取り入れているものだそうです。
これは、通常の面接より入社後のパフォーマンス予測精度が高いそうです。
つまり、逆に考えると面接対策を楽にすることができるのではないでしょうか。
通常の面接ではどんな質問が飛んでくるかわからないので、予測して対策するのは大変です。
しかし、「構造化面接」の5種類の質問にさえしっかりと対策をしておけば、どんな質問が来ても応用を利かせてうまく答えることができるようになるのではないでしょうか。
本書には、実際に面接でのやりとりの例が載っているので参考になると思います。

「構造化面接」の手法のプライベートでの活用例として”婚活”をイメージしたやりとりも本書には記載されています。
本書は要所で会話の例が記載されていて、内容を具体的に理解することに役立っています。
当然ですが、本記事は本書の内容のすべてに触れているわけではありません。
本書には、本記事で触れていない重要でおもしろい話がたくさん掲載されています。
周囲から信頼される”頭のいい人”になりたいと望む人は、本書を実際に手に取って読んでいただくことをオススメいたします。