イントロダクション
タイトル | : | 営業の神様 ヤマナシさんが教えてくれたこと |
発行日 | : | 2024年6月6日 初版第1刷発行 2024年7月1日 電子第1版発行 |
発行所 | : | SBクリエイティブ |
著者 | : | 早崎 郁之 |
著者情報は、上記リンクからご確認ください。 |
営業は、内向型であり人見知りの私にとって一番縁遠い職業だと思っています。
就職活動では、絶対に避けていた職業です。
そもそも本当に売れる商品なら営業せずとも売れるはず。
そうではない商品を営業して売るためには、内向型の自分に務まるはずがありません。
しかし、社会人となり長く働いている現在では、営業のスキルというのはモノを売る以外にも、ほぼすべてのビジネスに活かされるものだという認識に変わっています。
お金のやり取りが発生しなくても、自分の意見やアイデアを提案して売り込まなければならないことは日常でよくあることです。
営業のスキルに憧れを持ちつつ、やはり敷居の高さから意識しないようにしている。
本書と出会う前は、そんな風に過ごしていたと思います。
本書の表紙には、次のように書かれています。
「いつでも、どこでも、何でも売れる!」
「自信がなくても、才能がなくても、愛があればうまくいく!」
「自信がなくても、才能がなくても」とは、つまり私のことですね。
なんといっても「営業の神様」が言うのだから間違いありません。
自分にとって一番縁遠いと思っているスキルに触れることで、何かが変わるかもしれない。
そう思い、本書を手にすることにしました。
オススメしたい人
- 自分は営業に向いていないと思っている人
- 営業職で成果を出せずに悩んでいる人
- 人生が「なんだかうまくいかないな」と感じている人
学べること
営業というと、どんなイメージを持っているでしょうか?
ノルマがあって、売上という目に見える数値で評価が決まるのでプレッシャーを感じる。
売上のために、相手が欲しいと思っていないモノを何としてでも欲しいと思わせて売らなければならない。
このように思っている人が多いのではないでしょうか。
※ 私の勝手なイメージです。
そんな営業について、本書は「営業とは聖業である」と説明しています。
聖業である営業に携わる営業マンに求められるのは、「愛のセールス」。
本書では「愛のセールス」という営業手法について学ぶことができます。
ここでは、本書で説明する「愛のセールス」について私の解釈で簡単にまとめています。
営業とは?
はじめに、営業という職業が一般的にどのように捉えられているかを確認しておきましょう。
確認する先は、愛…ならぬAIです。
営業について、次のようにChatGPTに質問してみました。
営業とは、どんな仕事かを簡単に説明してください。
営業は、企業の商品やサービスを顧客に販売する仕事です。
主な業務内容には、顧客との関係構築、商品やサービスの提案・説明、契約の交渉、アフターサービスの提供などが含まれます。
目標は、売上を増やし、顧客満足度を高めることです。
つまり、営業とは、ざっくり定義すると次のようになります。
営業の定義
営業は、会社の商品やサービスを売る仕事です。
そして、営業の目標は、次の2つです。
- 売上を増やす
- 顧客満足度を高める
以降で、本書の内容について触れていきたいと思います。
愛のセールス
営業の目標の1つは、「売上を増やす」です。
つまり、そのためには会社の商品やサービスを誰かに買ってもらわなければなりません。
しかし、いらないモノをわざわざお金を出して買ってくれる人はいません。
だから、営業マンは会社の商品やサービスを「欲しい」と思わせる必要があるのです。
そのために営業マンは顧客となる人のニーズに合う提案ができなければなりません。
しかし、「売上を増やす」ということを先行して目標に掲げて営業してもうまくはいきません。
顧客のニーズに合う提案をするためには、当然ながら相手のニーズを聞き出す必要があります。
ですが、自分の利益や成功を考えながら営業をしても相手のことを知ることはできません。
営業のもう1つの目標は、「顧客満足度を高める」ことです。
この「顧客満足度を高める」という目標を見失っては、相手のニーズを聞き出すことはできません。
できているつもりでも、相手の本当のニーズを聞くことはできないのです。
ノルマが課されるため、自分の利益優先になってしまうことは自然なことかもしれません。
しかし、そんな状態で営業してもうまくいかないのは当然のことなのです。
「愛のセールス」を構成する4つの哲学
「愛のセールス」は、次の4つの哲学で構成されています。
- お客様を愛する
- 商品を愛する
- 営業を愛する
- 自分を愛する
この「愛のセールス」は、営業の神髄といえます。
そして、すべてのビジネスに共通する成功哲学、人生哲学と言っても過言ではありません。
お客様を愛する
「愛のセールス」では、次のことを徹底して行わなければなりません。
顧客の話を完全受容、完全肯定する
顧客の話を完全受容、完全肯定することが重要です。
誰も自分に対してどこか否定的な人からモノを購入したいとは思いません。
顧客よりも顧客の夢や欲求について前のめりになって一緒に考えることが必要です。
そのことで得られることは、次の2つです。
- どんな愛が欠乏しているのか
- スーパーウォンツ
この2つのことを相手から聞き出すために必要なことは、愛を持って接すること。
相手のことを取引相手としてだけで見ていてはそれはできません。
親友になる気持ちで、相手の話を聞きましょう。
営業とは、相手に「あなたのことが知りたい、教えてください」と願う行為なのです。
どんな愛が欠乏しているのか
どんな人であっても痛みを抱えています。
自分の真の願いや欲求を叶えることに不安を感じています。
それが、「愛の欠乏」です。
学歴があって頭もいい、完璧で何でも持っているように見える人でもそれは同じです。
スーパーウォンツ
あなたが何かの商品やサービスを購入する場合、そのモノ自体を欲しいと思って決めるでしょうか。
おそらく、そうではないでしょう。
その商品やサービスを手にした自分を想像して購入を決めていると思います。
それは、誰でも一緒です。
商品やサービスを通して「なりたい自分」になることを目的に購入するのです。
この「なりたい自分になること」という真の欲望を、本書では「スーパーウォンツ」と呼びます。
人が本当に望むことは、「誰かに愛されたい」、「認められたい」ということです。
商品を愛する
営業マンであっても自分が扱う商品やサービスに自信を持てない人は少なくありません。
しかし、自分が買いたいと思わない商品やサービスの良さが顧客に伝わるわけがありません。
「魅力がわからない」、「必要性を感じない」と思うモノでも必ず良い点があります。
「自分がその商品やサービスの最初のお客さんになりたい」
「家族や親友、恋人のような大事な相手にその商品やサービスをすすめたい」
そのように考えられるようになりましょう。
その方法こそが「商品を愛する」です。
具体的なやり方を説明します。
- ノートを用意する
- ノートを開き、縦に点を100個打つ
- そこに自分が見つけた商品やサービスの良い点を100個書く
「自分が見つけた」ということが重要です。
つまり、商品やサービスのカタログに載っていることではなく、自らの体験から得られた情報であることが重要です。
親友の良いところを見つけ出すように、商品のことを愛すれば必ず100個見つけることができます。
良い点を100個見つけるためのコツは、次の4つです。
- 商品を我が子のように愛してよく見る
- 物事は視点を変えれば欠点にも美点にもなる
- 短所や欠点にばかり目を向けない
- 長所や特性に意識的に目を向ける
このコツを「美点凝視(びてんぎょうし)」といいます。
あなたにとって欠点に思えることも、顧客の事情によっては美点になり得ます。
その逆も然りです。
顧客の個人的な事情を教えてもらうためには、「お客様を愛する」が必要です。
「お客様を愛する」、「商品を愛する」のどちらが不十分でも「愛のセールス」は成り立ちません。
営業を愛する
営業の仕事を愛せなければ、成功なんてできるわけがありません。
「売上を増やす」という目的に偏り、自分の扱う商品やサービスを不要不急のモノだと思いながら売るようになってはいけません。
そのようになればなるほど、うまくいきません。
営業は、これまで説明してきた内容のとおり、とても尊い仕事なのです。
営業は、顧客を自分の大切な親友だと思い、自分が愛する商品やサービスを通して相手の人生を心から良くしたいと考えて行動する聖業といえます。
営業マンは、愛をもって顧客の「なりたい自分」を一緒に探して、その実現を手伝う仲介者なのです。
自分を愛する
「愛のセールス」では、「営業は、愛」だといいます。
営業という職業に愛を抱き、顧客に愛を抱き、商品に愛を抱くことが求められます。
しかし、ここまでの内容を読んで、
「他人や商品、ましてや仕事なんて、そんな風に愛せない。」
と思う人もいるのではないでしょうか。
その原因は、自分自身への愛が足りていないのかもしれません。
人は、自分を愛する以上に自分以外を愛することはできません。
自分に対する愛が上限であり、それ以上には自分以外を愛することはできないのです。
成功したいという気持ちがあるのなら、自分を愛してください。
自分の幸せを心から願ってください。
自分を愛せる人だけが、すぐ隣にある成功にたどり着くことができるのです。
そのためのカギとなるのが、親しい人への不満、感謝、後悔などの感情です。
それらの感情を通して自分自身を見つめ直すのです。
そうすると、自分は本当は「どうしたかったのか」、「どうして欲しかったのか」、「どうしてあげたかったのか」、「どうしてしてあげられなかったのか」、自覚していなかった自分自身に気づくかもしれません。
そんな自分自身の素直な気持ちを感謝と謝罪の念をもって親しい人に伝えましょう。
自分が愛されていることがわかれば、自分も自身を愛することができるようになるでしょう。
読んだ感想
本書は、ストーリーテリングの形式をとり、読者はストーリーによって感情に働きかけながら学ぶことができます。
大事な学びの部分は、章の区切りで主人公が作中で取ったメモという形で簡潔にまとめられています。
そのため、小説の部分は安心してストーリーに没頭して問題ありません。
小説としても、しっかり面白く飽きがきません。
なんならちょっと感動させてくるため目頭が熱くなる部分すらあります。
通勤中のバスの中で読んでいた私はちょっと困ったことになりました。
そのため、周囲が気になる場所で読書する人は、気をつけてもらった方がよいかもしれません。
主人公の思考や行動を知ることで、本書の学びをどのように実践すれば良いのかの具体例を知ることができます。
是非、本記事の内容で満足せずに本書によって深い学びにつなげていただきたいと思います。
本書で説明する「愛のセールス」は、4つの哲学によって構成されています。
その1つであり、「愛のセールス」の根本となり得るのが「自分を愛する」だと考えています。
どうすれば「自分を愛する」ことができるのか。
上記の説明では私の解釈で書いた部分も多分にあるので、次のように思った人もいるかもしれません。
「ちょっと何言ってるかわからない。」
このようにサンドウィッチマン的な返しをする人もいるでしょう。
しかし、安心してください。
本書では具体的でわかりやすい方法が説明されています。
その手順のとおりに主人公が行う具体例もあるので、必ず理解できるはずです。
とても大事なところです。
ストーリーを読んだ感情とともに効果を理解して欲しいと思いました。
そのため、あえて曖昧な説明にしています。
本書で学べることは、私が本書を手に取った目的を果たし、確かに営業に役立つ内容でした。
しかし、それは営業に限らず、ビジネスに限らず、もっと大きな人生という枠組みで役立つものでした。
本書は営業をテーマにしていますが、得られるものは人生を成功に導く大切な教えです。
本書を読んで、すぐ隣にある成功に1歩近づいてみてはいかがでしょうか。