【要約】『1%の社長しか知らない銀行とお金の話』金融機関から無担保で融資の受け方”実践”銀行交渉術

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タイトル1%の社長しか知らない銀行とお金の話
発行日2024年1月6日 第2刷発行
発行所あさ出版
著者小山 昇
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

「個人でする借金と会社がする借金は違う」と聞いたことがあります。

でも、それってどういうこと?

残念ながらちゃんと説明することができません。

社会人として、ちゃんと説明できたほうがいいよね?

そもそも、「会社経営におけるお金の話」というものを、きちんと学んだことがありません。

本書なら、他の人が知らないすごい内容まで知ることができるかも!

そう思い、ちょっとお値段高いのを気にしつつ本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • 社長
  • 金融機関で働く人(特に法人営業に携わる人)
  • 財務部門で働く人
  • 銀行交渉術を学びたい人

学べること

本書では、「会社のお金の増やし方」を学ぶことができます。
具体的には、「銀行交渉術」によって融資を受ける方法を知ることができます。
その内容は、現役支店長が「銀行員による銀行についての暴露本」にも近いと感嘆するほどのものです。
本書の使い方は、交渉の場で利用できる実用的なものです。
たとえば、金融機関の営業マンに本書を渡して「ここに書かれていることは本当か?」と聞くのです。
これで融資が決まることもあるのだとか。
銀行交渉術に強くなれば、「ピンチをチャンスに変える強い会社」をつくることができます。
ここでは、本書の「会社経営でする借金」について、私の解釈で簡単にまとめています。

会社経営では、借金は悪いものではない

「借金」と聞いて、どのような印象をいだくでしょうか。
世間一般的には、「借金は悪いもの」と考えられています。

私も借金は、極力したくないものだと思います。

たしかに、個人の立場なら、その考えは正しいです。
しかし、会社経営では、違います。

「お金持ちは、基本的に悪い借金をせず、いい借金をする」という話を聞いたことがあります。
会社経営でも同じことなのでしょうか?

借金は、成長のための資金

「融資を受けないこと」は、「会社を成長させないこと」と同じです。
組織が成長を止めて硬直化した状態では、「時代の変化に対応できない」などの弊害が生じます。
無借金にこだわると、現状維持さえ難しくなります。
利益を出すため、事業を拡大するため、社員に夢を与えるためであれば、積極的に借金すべきです。

「無借金経営」とは、企業に有利子負債が一切ない状態を指します。
「無借金であれば会社は倒産しない」と考えているとしたら、キャッシュフローに対する認識が甘すぎます。

!?

会社が赤字でも、お金が回っていれば倒産しない

財務の安全性、健全性を高めるために無借金経営を目指すのは、一見、正しい判断のように思います。
しかし、倒産は、「手元資金がなくなるとき」に起こります。

会社は、赤字だから倒産するのではありません。
会社が赤字でも、お金が回っていれば倒産しないのです。

黒字でも現預金がなければ倒産します。

え?

「黒字倒産」とは、商品が売れて帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、支払いに必要な資金が不足し、倒産することです。

黒字倒産の例

  1. 利益が100出ます
  2. 会社が上げる利益の40%は税金に
  3. 残りの30%を予定納税として納付

この現金が、売掛金になっていたら……資金難で倒産

※売掛金
商品の売上代金を後日受け取れる権利のこと。
儲かっても現実的には手元にお金があるわけではない。

手元にお金がないので給料は払えないし、支払いもできません。

経営で一番大切なのは、「利益を上げること」ではありません。
「無借金経営をすること」でもありません。
事業を継続していくためには、運転資金や設備資金といった資金需要が常に存在します。
経営で一番大切なのは、「お金を回し続けること」です。

金融機関からお金を借りて「緊急支払い能力」を高める

多くの経営者は、「借金をしない会社が良い会社、借金をする会社はダメな会社」と考えます。
しかし、これは大きな間違いです。
金融機関からお金を借りて「緊急支払い能力」を高めておくべきです。

※緊急支払い能力
緊急時の支払い能力。目安は月商の3倍以上の現金・普通預金額です。

「保険料を払いたくないから火災保険(損害保険)に入らない」と考える社長はいません。
どの会社も、「火災保険(損害保険)」に加入しています。

借入金は、「会社を潰さないための保険金」と考えましょう。
利息は、「会社が困ったときに助けてもらうための保険料」です。


支払利息額の目安は、経常利益の10%以内が健全です。

「緊急支払い能力」を高めておけば、ありえない事態にも手を打つことが可能です

多くの社長は、「業績が下がったとき」にお金を借りようと考えます。
しかし、金融機関は経営が悪化しているときは貸してくれません。
困ったときに借りられる保証はどこにもありません。
下手をすれば倒産です。
「緊急支払い能力」が高ければ、業績回復までの時間を稼ぐことができます。

なるほど。
会社経営にとっても「悪い借金」と「いい借金」があるということですね。

金融機関から借りてでも、「額をたくさん持つ」ことが正解です。

無借金経営ではなく「実質無借金経営」を目指す

目指すのは、無借金経営でも、借金経営でもありません。
「実質無借金経営」を目指しましょう。
実質無借金経営とは、現預金が借入金よりも多い状態(あるいは、現預金と借入金が同額状態)のことをいいます。

実質無借金経営

「有利子負債を返済しようと思えばいつでもできる状態」
「有利子負債がすべてなくなっても経営に必要な最低限の現預金が確保されている状態」
 が、実質無借金経営です。

『1%の社長しか知らない銀行とお金の話 はじめに』より

実質無借金経営には、次の4つのメリットがあります。

  • 「『借入れ→返済』を繰り返すことで金融機関との関係性を保てる。
    金融機関にあらたに融資を頼むよりも、時間と手間がかからない」
  • 「借入金を返済しても運転資金が残されているので経営が安定する」
  • 「資金繰りの不安がなくなるため、社長は事業に集中できる」
  • 「手元資金が増えると、金融機関から『この会社は返済能力が高い』と判断される」
『1%の社長しか知らない銀行とお金の話 はじめに』より

「実質無借金経営」は、実質的に借金はない状態でありつつ、メリットも得られるんですね。

金融機関は、どんな会社にお金を貸したいのか?

金融機関が融資したくなる条件は、おもに次の4つの条件があります。

  1. 過去に取引実績があること
  2. 返済能力が高いこと
  3. 財務体質がスリムであること
  4. 透明性が高いこと
『1%の社長しか知らない銀行とお金の話 CHAPTER 2』より

過去に取引実績があること

金融機関は、「継続性」が原則です。
そのため、取引実績の積み重ねが次の融資につながります。
一度も取引のない会社が急に融資を申し込んできた場合、金融機関は次のように考えます。

  • 「よほど追い込まれているのではないか」
  • 「融資をしても回収できない可能性がある」

お金を返済すると返済能力がある証拠となります。
金融機関からの信用が高まり「返してくれる会社には貸したい」に変わります。

返済能力が高いこと

金融機関が融資先の融資判断をする際に用いるのが、「格付け」です。
格付けは、金融機関から見た会社の評価です。
格付けの評価分類は、大きく次の4つに分類されます。

  • 安全性(健全性)
  • 収益性
  • 成長性
  • 返済能力

格付け方法は金融機関ごとに異なります。
金融機関は、「返済能力」をもっとも重視します。
つまり、「現預金を持っている」ことが重要です。

財務体質がスリムであること

財務体質のスリム化とは、次のことをいいます。

  • 売掛金や商品・原材料在庫を少なくすること
  • 余分な不動産などの資産を持たないこと

財務体質がスリムであると、格付けが上がります。
金融機関からの評価が上がるため、融資を受けやすくなります。

【財務体質がスリムな会社の決算書】……銀行が好む

  • 資産の部の勘定科目が少ない
  • 未収入金や未払金、仮払いといった「未」や「仮」のつく勘定科目がない
『1%の社長しか知らない銀行とお金の話 CHAPTER 2』より

透明性が高いこと

融資を受けたい会社は、自社の財務状況を正確に把握していなければなりません。
加えて、金融機関からの情報開示要請に応じて、次の情報等を正確に説明できる必要があります。

  • 資産・負債の状況
  • 事業計画書
  • 業績見通し
  • 進捗状況

お金の使い方や事業計画書等を明確にすることが、金融機関からの「貸しても大丈夫」の評価につながります。

無担保でも融資を受けることができる

多くの社長が「お金を借りるときは、担保を差し出すのが当たり前」と考えています。
しかし、担保を提供しなくてもお金を借りることができます。

私も担保は必ず必要なものと考えていました。

金融機関が担保を取るのは、「信用していない」からです。
金融機関から信用を得ることができれば、無担保で融資を受けることが可能です。

※担保
他人に与えるかもしれない不利益に対して、それを補うもの。
担保には、物的担保と人的担保がある。

※物的担保
抵当権や質権など。
抵当権は、不動産(建物や土地)に設定する担保物件。

※人的担保
保証人や連帯保証人など。

※根抵当権
上限額(極度額)を決め、その設定金額の範囲内であれば、何度でも借入れと返済を繰り返すことができる。
返済が完了しても抵当権は外れないのが特徴(抵当権は、完済した時点で担保が外れる)。

根抵当権には、メリットとデメリットがあります。
金融機関側は、根抵当権のメリットを説明します。
しかし、デメリットの方が大きいと考えられます。

根抵当権のメリット

根抵当権には、次のメリットがあります。

融資のたびに設定登記しなくてもよい

その分、手間と手数料がかかります。
抵当権では、融資のたびに設定登記しなければなりません。

定められた上限まで反復借入れできる

急いで追加融資を受けたいときに審査の時間を削減できます。

根抵当権のデメリット

根抵当権には、次のデメリットがあります。

根抵当権を解消する場合、複雑な手続きが必要である

根抵当権では、借入金を完済しても自動的には解消しません。
借り手側と貸し手側双方の合意がなければ解消されません。
金融機関が解消に応じないケースのあります。
抵当権の場合、借入金を完済すると自動的に解消します。

他の金融機関に融資を申し込んだとき、「担保価値がない」ものとみなされてしまう

根抵当権は、極度額(上限額)の範囲内で担保するものです。
たとえば、極度額が1億円に設定された不動産を担保に、1000万円しか借りていないとします。
その場合でも、「1億円の融資を受けているもの」として担保価値が評価されます。

最初にお金を貸した金融機関には、1番抵当権が設定されます。
2番目にお金を貸した金融機関に2番抵当権がされます。
1番抵当権が優先されるため、2番抵当権は回収のリスクが大きいです。
「2番抵当権でもいいので融資したい」と考える金融機関は稀です。

根抵当権ではなく抵当権で借りましょう

金融機関側に立って考えると、根抵当権にしておけばライバル銀行の参入を防げるのです。

抵当権を設定する場合は、根抵当権ではなく抵当権で借りましょう。
根抵当権がついていると、担保価値が残っていても他行から借りることが難しくなります。

読んだ感想

融資は、会社を守る保険に入るのと同じ。
会社経営において、融資を受けることの重要性を知ることができました。
本書は、財務的な業務に携わっていない私でも理解しやすい内容で読みやすかったです。
用語については、本文中で説明が入るので自分で別途調べる手間もなく、読み手のことを考えた構成になっていると思います。
加えて、「小山昇の”実践”銀行交渉用語集」という付録付きで「あの用語の意味は何だっけ?」となってもすぐに調べることができるようにもなっています。
銀行交渉の直前でも使えそうです。

「どの金融機関からお金を借りたらいいのか?」
「金融機関からの評価を上げるにはどうしたらいいか?」
「無担保で融資を受けるためには、どんな準備をしたらいいか?」
「銀行交渉の実例を知りたい!」

本書では、他にも会社経営で必要となる、いろいろなお金の話を学ぶことができます。
本書の内容が、本当に1%の社長しか知らないものなのかはわかりません。
そうだとすれば、残りの99%の社長も絶対に知っておいた方が良い内容といえるでしょう。
なかなか他では知ることができない大変貴重な内容だと思います。

お金さえあれば、どん底のときでも、天はすべてを奪いません。
また、有頂天になっているときも、天はすべてを与えてくれません。
どのような場合でも、お金があれば必ず道は見つかります。

『1%の社長しか知らない銀行とお金の話 CHAPTER 2』より

この言葉を見て、まさにそのとおりだと感じました。
これに同意する会社経営者は、特に必読の内容であることは間違いないでしょう。

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