【要約】『リバース思考 超一流に学ぶ「成功を逆算」する方法』独創性を開花する実用的な戦略書

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タイトルリバース思考 超一流に学ぶ「成功を逆算」する方法
発行日2023年11月6日 第1刷発行
発行所かんき出版
著者ロン・フリードマン
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

上記リンクで商品紹介を読むと次の内容が書かれています。

スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツのライバル関係には、シェイクスピアの代表作の要素がすべて含まれている。

スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツのような超一流から学ぶ『「成功を逆算」する方法』。
本書は、ストーリーテリングの手法を用いており、そこから学べる「リバース思考」とは、どういったものなのでしょうか。

すごくおもしろそう!

そう思い、本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • 新しいモノをつくる創造性を深めたい人
  • 世の中のヒット作品の仕組みを知りたい人
  • アイデアを実現するプロセスを知りたい人
  • 大きな成功を手にするスキルのトレーニング方法を知りたい人

学べること

本書には、「成功をマネして分解し、再利用する思考法」が書かれており、リバース・エンジニアリングの手法と必要なスキルを学ぶことができます。

非常に優れた偉業を達成するための秘訣として、次の2つの見方があります。
それは、「才能」と「訓練」。
ところが偉業の達成には、もう1つの秘訣があります。
それが、「リバース・エンジニアリング」です。
ここでは、本書の内容の一部について、私の解釈で簡単にまとめています。

リバース・エンジニアリングとは

本書は、リバース・エンジニアリングを次のように説明しています。

表面に現れていることの裏側を見て、隠れた仕組みを見出すこと

リバース・エンジニアリングは、優れた先人の作品を解剖して自身の作品の完成度を高めていく分析ツールとして長く役立っています。

リバース・エンジニアリングは、製品やソフトウェアがどのような設計になっているかを調べ、そこから改変方法を見出していく技術です。
製品の設計図やソースコードがない場合でも、その動作原理を解明することができます。

リバース・エンジニアリングのプロセスは、次の2つです。

  1. どのような設計になっているかを調べる
  2. そこから改変方法を見出していく技術

リバース・エンジニアリングは、作家や画家、音楽家、写真家、料理人等の様々な分野の成功事例の分析に役立っています。

たとえば、成功している実業家にも同様のことがいえます。
成功している実業家が長けていることは、創造性や知性、やる気だけではありません。
それは、「パターン認識力」です。
大実業家は、長年の経験により、成功するビジネスにはパターンがあることを学んでいます。
成功している実業家は、過去の成功事例と現在の市場で起こっている変化を結びつけて、利益になる機会を見極める能力がずば抜けているのです。

成功するビジネス戦略は、業界を問わず適用することができます。
そして、成功するビジネスパターンが最もよく読み取れるのは、大きな利益を上げている他企業のビジネスモデルです。
自分たちの発明がコピーされてしまうのは悔しいものでしょう。
しかし、業界全体のレベルを上げるものであると考え、競合他社の知的財産を共有している業界もあります。

創造性に対する誤った考え方

リバース・エンジニアリングは、自作品の制作アプローチに影響を与えるものです。
たとえば、クリエイティブな分野の専門家は、模倣、盗作といった避難に非常に敏感です。
そのため、リバース・エンジニアリングによって、つい模倣になってしまい盗作になるのではという懸念が生じます。

しかし、こうした見方は創造性についての考え方が間違っています。
創造性は、アイデアを組み合わせるところから生まれるものです。
新しいアイデアや新鮮なものに出会ったとき、人は最も創造性が高まるのです。
創造性は、単独で生まれるものではないのです。

創造性をもたらすカギは、次の3つです。

  1. 積極的に経験する姿勢
    好奇心旺盛な人は、外部との接触を断っている人よりはるかに創造的です。
     
  2. オリジナリティは創造性と同一ではない
    ビジネスの世界では、特定の考え方に囚われることで先発者が、よりクリエイティブで大胆なライバルに抜かれる例があふれています。
     
  3. リバース・エンジニアリングは新しいスキルの獲得に役立つ
    リバース・エンジニアリングは、自分の創造力と訴求範囲を効率よく向上させることができます。

リバース・エンジニアリングは、ただ他者の作品を模倣する行為のことではありません。

これらのことがわかる説明を以下でしていきます。

模倣から始めることで独創性が開花する

次の内容は、「コグニティブ・サイエンス」誌に掲載された興味深い論文で掲げられた疑問です。

絵の才能のないAさんとBさんは、絵のワークショップに参加します。
AさんとBさんは、別々のグループに振り分けられます。

Aさんのグループは、3日間ひたすら課題をスケッチして練習します。

Bさんのグループは、1日目は課題をスケッチ、2日目はプロの絵画の模写、3日目は自分の課題のスケッチに戻ります。

そこで問題です。
ワークショップの最後には、AさんとBさんはどちらがよりクリエイティブになった可能性が高いでしょうか?

東京大学の研究チームは、上記シナリオに似た実験を行いました。
その結果は、次のとおりです。

答えは、Bさんです。

模写をすることが、好奇心と受容性を刺激し自身の作品に思ってもみなかった新鮮なタッチを生んだのです。

クリエイティブなアイデアを自分の外側に求めるプラス作用

「模写」のプロセスを細かく見てみましょう。
作品の観察には、神経を集中して取り組まなければなりません。
細部や予想外のテクニックにも注意を向ける必要があります。
さらに、その作品の作者の意図をじっくり考えるようになります。
そうすることで、自分の従来のやり方への疑問が生じてきます。
それが自分自身の作品をクリエイティブにする新しい扉を開くことにつながるのです。

反対にクリエイティブなアイデアを自分の内側ばかりに探す場合、自分の作品に固執して創造性が損なわれてしまうという研究結果があります。

このように「模写」のプロセスは、作品を注意深く分析し、要素を見極めて、もう一度再構築します。
具体的には他者の作品を分解し、その公式や方法論を抽出します。

そのことにより、自分の思考の幅を広げて創造性を開花させるようになります。
この実験では、他者作品の模写を行うと、刺激されたのは被験者の創造性だけではないことがわかりました。
模写した作品とは何の関係もないアイデアも刺激されて、それによって描画さらに独創的になったのです。

リバース・エンジニアリングの共通プロセス

リバース・エンジニアリングのためには、優れた作品に現れている特徴から公式や方法論を推測することが必要です。
この「パターンを検出する能力」は、人間よりコンピュータが得意としています。
コンピュータが持つパターン認識エンジンは、大きく分けて4つのパートで構成されています。

  1. 収集
  2. 比較
  3. 分析
  4. 予測

ここでは、この「プログラム的アプローチ」からリバース・エンジニアリングの共通プロセスを学びます。

収集

歴史を見れば、各界の超一流は夢中で自分の好きな作品を集めていたらしいことがわかります。
これは、パターン検出のために設計されたコンピュータ・プログラムが最初に行う動作「収集」に一致します。
最高のアイデアは、巨匠たちの作品の中にあります。
巨匠たちの域に到達する道のりは、彼らの匠の技を認識するところから始まります。

各界の超一流は、他者作品の影響を消化して、執拗に追求し、自分の中に蓄積していきます。

比較・分析

サンプルを集めたら、次に行うことは「比較」、そして「分析」です。
あるサンプルから次のサンプルへと異なる要素を洗い出していきます。
優れたサンプルの数が多ければ多いほどそこにある共通点を見つけやすくなります。
優れた作品を見るときに重要なのは、自分の心に響く理由を解明する努力です。

また、1つの作品を深く掘り下げて研究するというやり方があります。
たとえば、複数の媒体を使って深く掘り下げて研究するというアプローチがあります。
公式や方法論を見破りたい作家がいる場合は、オーディオブックを試してみるという方法です。
このような「視点を変えてみる」という戦略に使える方法がたくさんあるほど良いです。
違いを生み出している主な特徴を見つけやすくなります。
一歩下がって隠れた構造を見えやすくする戦略を「ズームアウト」といいます。

この「ズームアウト」のための2つの方法を紹介します。

  • リバース・アウトライニング
  • アイデアを数値に変換する
リバース・アウトライニング

ズームアウトを完璧に捉えるアプローチといえる、リバース・アウトライニングと呼ばれる方法があります。
このリバース・アウトライニングの価値は、クリエイティブな分野の広い範囲に及びます。
ここでは、出版されている優れた作品の隠れた構造を解き明かすことを例に説明します。

出版物におけるズームアウト

ストーリーの各セクションの主要なポイントを1文にして一覧化します。
すると、内容の論理的整合性を確認したり、話をドラマチックに展開していく等のパターンを発見することができます。
それは、その作品を構成するための「設計図」です。
この「設計図」を見れば、ストーリーの流れを効率よく把握することができます。
情報を1文にまで思いっ切って削ぎ落すことは、内容を抽象化することにも役立ちます。
ストーリーからパターンを捉えるためには、その抽象化が重要です。

アイデアを数値に変換する

ズームアウトしてパターンを見つけるためのツールは、リバース・アウトライニング以外にもあります。
それが「アイデアを数字に変換する」という方法です。
近年、データサイエンティストが音楽、書籍、映画等のヒット作の特徴を数値化するようになってきました。
数字に変換して比較を行えば、ヒット作と普通の作品の違いを知ることができます。

特徴を数値化する方法

すべては特徴を数値化することから始まります。
では、どのような項目を数値化すればいいのでしょうか。
この際、重要なことは好奇心を持ち続け、数値化できるものは片っ端から数値化していくことが求められます。
特徴を見極めるためには、測定値が多いほうが特定しやすいです。

コンテンツの構造や内容、視聴者の感情の動き等、数値化できるものは色々ありますね。

予測

サンプルを収集して重要な差異を数値化して類似点を特定したら、次に行うことは「予測」です。
非常に優れたサンプルに隠されたパターンに則った予測が可能となります。

自分の作品を作る際、その数値化した結果をもとにするというアプローチが可能となります。
また、すでに自分の作品があるならヒット作と比較することで、改良が必要な点を正確に特定することができます。
何かまったく独創的なものを生み出さなければというプレシャーを感じる必要がないということは朗報です。

しかし、これには1つ問題があります。
それは、成功事例をリバース・エンジニアリングして自分の作品をつくるだけではオリジナルには及ばないということです。
他の人でうまくいったやり方を単純にコピーしても結局は失敗します。

そのため、自分の能力と感心、状況をうまく引き立てて、成功へと導く適切なやり方を見つけなければなりません。
具体的には、実績のあるパターンを利用しながらも完璧な模倣を避け、そこに独自のひねりを加えるのです。
自分なりのひねりを見つける方法は、2つあります。

  • 複数のアイデアを融合する
  • 他で効果の出ているアプローチを拝借する

今日私たちが当たり前のように享受する技術革新の多くは、多種多様な分野から拾ってきた幅広いコンセプトのマッシュアップにすぎません。

「複数のアイデアを融合する」では、そのアイデアを文化的主流の外にインスピレーションを求めることが奏功です。
それから、そのジャンルのファンがいちばん気に入っている要素を取り込みます。
ただし、これには自分が受けた影響を自分なりの形でうまく配置する能力が求められます。

これが、長く愛される作品をつくる秘訣です。

読んだ感想

本書は、PART1「リバース思考とは」、PART2「アイデアを現実にする方法」の2部構成となっています。
ここでは、PART1「リバース思考とは」の内容のみに触れています。
本書を読む前は「リバース・エンジニアリング」と聞くとIT業界でのイメージが強かったのですが、本書を読んで世の中の多くの分野で使われていることがわかりました。
また、企業や技術者が使うものと思い込んでいたのですが、もっと身近で活用できるものなんだと意識を変えることができました。
世の中には多くの優れた作品がありますが、その数だけ自分のコンテンツを良くする可能性があることに気が付くこともできました。
本当に本書を読んで良かったと感じています。
本書はストーリーテリングの手法が使われており、様々な興味深いエピソードを知ることができるのも魅力の1つだと思います。

PART2「アイデアを現実にする方法」については、コンテンツ量の理由により触れることができなかったのが残念です。
リバース思考に役立つ内容なのは間違いありませんが、リバース思考に留まらない素晴らしい内容でした。
自分のスキルアップのための方法が様々な角度から説明されています。
これにもストーリーテリングの手法が使われており、詳細を感じ取りながら理解できるように書かれています。
そして、その内容はとても濃いです。
そのため、本書に書かれている内容は1度読んで習得できるものではありません。
これは、日常でスキルをトレーニングしながら長く付き合っていく本です。

PART1は、自分が関わる分野で新しいモノをつくりたいと思う人にとって貴重な内容が書かれています。
PART2は、万人に価値がある内容が書かれています。
それらの内容がまとめられた本書は、すべての人にオススメしたい1冊です。

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