【要約】『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』世界の超一流企業が求める「ちゃんと考える力」

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タイトル頭のいい人だけが解ける論理的思考問題
発行日2024年3月26日 プリント版第1刷発行
2024年3月26日 電子版発行
発行所ダイヤモンド社
著者野村 裕之
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

Google、Apple、Microsoftなどの超一流企業の採用試験で出題される問題とは、どんな内容なのでしょうか。

単純に興味があります。

それらは知識や計算を必要とせず、「考える力」さえあれば正解を導ける問題のようです。
(どんな問題なのか知りたい場合は、上記リンクでサンプルを見ることができます。)

それなら、私にも解ける可能性あり!?

そう思い、本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • 超一流企業でも通用する地頭力を磨きたい人
  • 世界のエリートにも勝つ方法を知りたい人
  • 組織のどの層にいても役立つ一生もののスキルを手に入れたい人

学べること

論理的思考問題では、「コンセプチュアル・スキル」に含まれる5つのスキルを高めることができます。
「コンセプチュアル・スキル」は、経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した組織モデルにも組み込まれたものであり、経営者、管理職、現場社員といった組織を構成するすべての層において必要なスキルとされています。

しかし、この論理的思考問題は世界のエリートと呼ばれる人達にも解けないことがあります。
論理的思考は、学力が高いからと言って備わっている能力というわけではないのです。
裏を返せば、この能力を高めることによって世界のエリートたちに勝つことが可能ということです。

ここでは、本書の内容の一部について、私の解釈で簡単にまとめています。
論理的思考問題を解くために必要なコツについて説明します。

「論理的思考問題」で高められる5つのスキル

「コンセプチュアル・スキル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「コンセプチュアル・スキル」とは、さまざまな出来事に直面したときに、状況に応じて何が最適であるかを考え、正しく判断できる能力のことです。
ハーバード大学教授のロバート・カッツ氏によって提唱されました。

コンセプチュアル・スキルには、次の10の能力があります。

  1. 論理的思考
  2. 水平思考
  3. 批判的思考
  4. 多面的思考
  5. 柔軟性
  6. 受容性
  7. 知的好奇心
  8. 探究心
  9. 応用力
  10. 俯瞰力

これら10のスキルの中で、「論理的思考問題」を解くために必要なスキルは次の5つです。

  1. 論理的思考(ロジカル・シンキング)
    ―― そこからわかることは何か?
    事実や情報を冷静に見抜き、順序や法則を整理して、矛盾のない適切な判断をする力です。
     
  2. 批判的思考(クリティカル・シンキング)
    ―― 本当にそうだろうか?
    前提となる情報や、直感に対して疑問を持って考え、本質を見抜く力です。
     
  3. 水平思考(ラテラル・シンキング)
    ―― 他に何が考えられるか?
    既成概念や常識、先入観、過去の事例などにとらわれることなく、フラットな視点で自由に発想する力です。
     
  4. 俯瞰思考(俯瞰力
    ―― 全体像はどうなっているか?
    現状の視野や、細部にとらわれることなく、視座を高めて物事をとらえる力です。
     
  5. 多面的思考(多面的視野)
    ―― 見方を変えるとどうなるか?
    物事に対して、ひとつの視野からではなく、複数の立場や角度など、あらゆる側面から考える力です。

「論理的思考問題」の例

「論理的思考問題」とは、どんな問題をいうのでしょうか。
ここで、興味を持っていただけそうな問題を1つ、例として示しておきたいと思います。

問題のタイトルは「天国への道」。
いろいろな媒体で紹介されている有名な問題なのでご存じの方も多いと思います。
あなたは、この問題を論理的に考えて解答することができますか?
是非、挑戦してみてください。

残念ながら、あなたは死んでしまいました。
そんなシチュエーションを想像して真剣に考えてみてください。

天国への道

あなたの目の前に分かれ道がある。
どちらかが天国行きで、どちらかが地獄行き。

分かれ道には2人の門番が立っている。
それぞれ「いつも真実を言う天使」「いつも嘘をつく悪魔」
のどちらかだが、外見上は見分けがつかない。

あなたは2人の門番のどちらかに、
「Yes」「No」で答えられる質問を一回だけできる。

どのように質問すれば、
天国行きの道を知ることができるだろうか?

「頭のいい人だけが解ける論理的思考問題
第1章 論理的思考のある人だけが解ける問題
論理的思考8 裏の裏まで考えられるか?」より


それでは、解答について解説します。

↓↓↓↓↓↓

解答と解説

天使は、必ず真実を言います。
悪魔は、必ず嘘を言います。
天使と悪魔を見分けることはできません。
そして、質問できるのは1回のみです。
そのため、

「天使に聞いても悪魔に聞いても正解を教えてもらえる質問」

である必要があります。

天使と悪魔が話すのは、真実と嘘。
真実と嘘は、コインの「オモテ」と「ウラ」のようなものです。
そして、「ウラ」の裏は「オモテ」ということです。
ということは、嘘の嘘は真実に変わります。

もし、質問した相手が悪魔だとしても真実を引き出すためには、このような形で質問文を作らなければなりません。
そのためには、「二重質問」という手法を使います。
二重質問とは、2つの質問を合体させて1つの文にする聞き方です。

この質問文を作ることができれば、相手が天使でも悪魔でも関係ありません。
正解は、次のように聞きます。

正解

「『この道は天国行きですか?』と尋ねたら、あなたは『Yes』と答えますか?」

この質問で本当に天国への道がわかるか検証してみましょう。

質問した相手が「天使」だった場合

あなたの質問尋ねた道が
「天国行き」
の場合の回答
尋ねた道が
「地獄行き」
の場合の回答
この道は、天国行きですか? Yes No
と尋ねたら、あなたは『Yes』と答えますか? Yes No

「Yes」と答えが返ってきたら、訪ねた道は天国行きです。
「No」と答えが返ってきたら、訪ねた道は地獄行きであるため別の道が天国行きです。

質問した相手が「悪魔」だった場合

あなたの質問尋ねた道が
「天国行き」
の場合の回答
尋ねた道が
「地獄行き」
の場合の回答
この道は、天国行きですか? No Yes
と尋ねたら、あなたは『Yes』と答えますか? Yes No

「この道は、天国行きですか?」の質問に対し、訪ねた道が天国行きなら悪魔は「Yes」をひっくり返して「No」という答えを作ります。
「と尋ねたら、あなたは『Yes』と答えますか?」の質問では、悪魔は「No」をひっくり返して「Yes」と答えます。

「この道は、天国行きですか?」の質問に対し、訪ねた道が地獄行きなら悪魔は「No」をひっくり返して「Yes」という答えを作ります。
「と尋ねたら、あなたは『Yes』と答えますか?」の質問では、悪魔は「Yes」をひっくり返して「No」と答えます。

「Yes」と答えが返ってきたら、その道は天国行きです。
「No」と答えが返ってきたら、その道は地獄行きであるため別の道が天国行きです。

検証の結果、相手が天使でも悪魔でも同じ結果を得ることができることがわかりました。
「二重質問」のテクニックは、嘘つきにも真実を言わせることができる論理の神秘と言えます。

本書では、さらに難易度を上げて、この「天使」と「悪魔」に「人間」を加えた問題が掲載されています。
「人間」は、気まぐれで真実も嘘も言います。

ぜひ、本書で詳しい問題文を読んで挑戦してみてください。

次からは「論理的思考問題を解くためのコツ」について紹介していきます。

「論理的思考問題」を解くためのコツBEST5

「論理的思考」を使って問題を解くためのコツ BEST5

  1. わかっている情報を手がかりにして、ひとつずつ仮定しながら論理を構築する。
  2. 「書かれていないこと」に惑わされず、論理的に思考して思い込みを排除する。
  3. 情報の見方を変えて別の情報を得るために、情報の逆や反対を考える。
  4. 手がかりにならない情報からも新たな考えを導き出し、解決の糸口を見つける。
  5. わかっている情報の性質を揃えることで共通点やパターンを見つけ、論理的な解を導く。

「批判的思考」を使って問題を説くためのコツ BEST5

  1. 当たり前の情報を疑い、あらゆる情報を検証して考える姿勢を持つ。
  2. 情報の少なさに飛びつかず、「まず考えてみる」という姿勢を大切にする。
  3. 直感に頼らず、明らかに正しいと思えることもしっかり考えて検証する。
  4. 疑問や不確かさがあるときこそ、しっかり検証して極端な場合を考えることで「例外」に気づく。
  5. 時間軸を俯瞰して考える際には、未来だけでなく「過去」にも目を向けて現在を正しく把握する。

「水平思考」を使って問題を解くためのコツ BEST5

  1. 「無理だ」と決めつけずに、可能性を柔軟に考える。
  2. 先入観を捨てて新しい視点を見つける。
  3. 問題の「悪い要因」にも目を向けて新しい発想を得る。
  4. 変えられない部分を明確にし、それ以外の点で自由な発想をする。
  5. 押さえるべきポイントを把握し、柔軟な発想で解決策を考える。

「俯瞰思考」を使って問題を説くためのコツ BEST5

  1. 状況を俯瞰し、キーとなるポイントを見つけることが重要。
    他の情報も考慮し、全体像を把握することで問題を理解する。
  2. 情報や可用性を洗い出し、地道に考えることが必要。
    答えに至る過程を急がずに慎重に行う。
  3. 図に落とし込んで情報を整理し、関係性を把握することで、不明な事実を推測する。
  4. 過去や未来を含めて全体を俯瞰し、情報を整理して真実に迫る。
  5. 情報を俯瞰するだけでなく、他の情報と組み合わせて隠された意味を見出す。

「多面的思考」を使って問題を説くためのコツ BEST5

  1. 複数の視点を考慮し、「相手の視点を考える」ことが基本。
  2. 考える視点を段階的にズラすことで、多面的な視野を持つ。
  3. 他者の行動の裏にある思考や意図を考慮し、新たなヒントを見つける。
  4. 他者の視点から「先読み」し、状況を自分に有利に進める戦略を考える。
  5. 複雑な問題には、理想の未来から逆算し、選択肢を絞り込む戦略を取る。

読んだ感想

「論理的思考力が大事」とは、いろいろなところで言われています。
書店に行けば、その手の本がたくさん置いてあることからも、それがわかります。
本書も論理的思考をテーマに書かれた本ですが、その他の本とは決定的な違いがあります。
それは、論理的思考力を使っての最高の知的トレーニングを行うことができるという点です。
本書の表紙には、「読むほどに賢くなる」と書かれています。
これは、まさにそのとおりで問題に挑み考えていくことで、自分の論理的思考力が高まっていくことを実感することができます。

読めば読むほどレベルアップしていく感覚を、ぜひ感じて欲しいです。

本書では「コンセプチュアル・スキル」のうちの5つ。
論理的思考、批判的思考、水平思考、俯瞰思考、多面的思考を磨くことができます。
自分の得意な思考については仕事などを通して自覚していることもあると思います。
しかし、苦手な思考についても自覚している人は少ないのではないでしょうか。
本書に掲載される問題について頑張って考えることは、自分が苦手とする思考に気づくことにもつながります。

私は、批判的思考、多面的思考が苦手なようです。

それがわかれば「苦手を鍛える」「苦手は他人に任せる」など、建設的な行動ができるはずです。

各問題には、解説も載っているので、どのように考えればいいかを学ぶことができます。

中には、自分にとっては予想外すぎて「そんなのあり?」と思うものもありました。

すべての文章問題を解くにあたって最も重要な力があります。
それは本書で紹介される、どの思考力でもありません。
その重要な力とは、読解力です。

本当は自力で解けるはずの問題も、問題の内容を正しく理解できなければ解くことができません。
正直、本書の問題文は、もう少しわかりやすい文章で書いて欲しいという気持ちになりました。

問題を解けなかった悔しさからの感想かもしれませんが…
読解力も含めて試される問題なのかもしれません。


あなたも本書を読んで、問題を解きながら楽しく論理的思考力を鍛えてみてはいかがでしょうか。
「問題を解くなんて、めんどう」と思う人もいるかもしれませんが、探偵になったつもりで楽しく挑めるものもあるので身構えるのではなく気軽にリラックスして読んで欲しいと思います。

各問題には、難易度が設定されています。
その時の気分で選んで楽しむことができます。

本書を読み終わった後には、超一流企業でも通用する地頭力が身についているかもしれません。

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