【要約】月に向かえ! Shoot for the Moon 最新心理学が明かす「アポロ計画」を成し遂げた人たちのマインドセット

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あらゆる「不可能」の乗り越え方ーー人類史上最大の偉業「アポロ計画」。
本書が伝えるのは、あなたが目指す月(目標)に到達するための「勝利の法則」。

本書の概要

タイトル月に向かえ! Shoot for the Moon 最新心理学が明かす「アポロ計画」を成し遂げた人たちのマインドセット
発行日2024年10月18日 初版第1刷発行
2024年10月18日 電子書籍版発行
著者リチャード・ワイズマン (著), 本多 明生 (翻訳)
発行所ディスカヴァー・トゥエンティワン
詳細月に向かえ! Shoot for the Moon 最新心理学が明かす「アポロ計画」を成し遂げた人たちのマインドセット

アポロ計画ーー1969年、宇宙飛行士のニール・アームストロングは人類ではじめて月面に降り立った。
人間が38万キロメートルを超える宇宙空間を旅し、遠く離れた過酷な世界に着陸し、さらに地球に無事帰還したのだ。

このプロジェクトの中心的役割を果たしたのは管制官たち。
宇宙飛行士になれるような勇敢で英雄的な人がアポロ計画に不可欠だったのは間違いない。
しかし、宇宙飛行士だけではこの偉業を成し遂げることはできなかった。
実は、地上で働く管制官たちがこの大事業の成功の中心的存在だった。
そして、管制官たちは若くて驚くほど平凡な人たちだった。

驚異的な偉業の背後にある心理学
インタビューとミッションのアーカイブ、学術的な研究を組み合わせて分かったこと。
それは「勝利の法則」と呼ぶことができる夢を実現するために重要な心理学的法則。

主要なポイント・学び

なぜそれが重要か?ーーここで得られる学びは、普通の人々が人類最大の偉業を達成した方法。
管制官は、経験豊富な科学者やエンジニアではなかった。
最も有名な大学を卒業した経歴の持ち主はほとんどいなかった。
普通の人々が人類最大の偉業を達成した方法を理解すれば、あなたもすごいことができる。

革新的で独創的なアイデアを出す方法

アポロ計画では、月軌道ランデブーと呼ばれる月着陸アプローチが採用された。

月軌道ランデブー方式
指令船と月着陸船の2つのパーツから構成される宇宙船を打ち上げる。
宇宙船は、宇宙空間を通過し月の軌道を周回。
宇宙飛行士は月着陸船に乗り月面に向かい、探査後、月着陸船で月から離陸。
月の周回軌道で指令船と再会し、月着陸船を分離して地球に帰還する。
ジョン・フーボルトによって生み出されたアイデア。

当初、ヴェルナー・フォン・ブラウンのチームのエンジニアは、1つの巨大な宇宙船を月に送るという既存のアイデアを強く支持した。
そのアイデアは問題を抱えていたにも関わらずにだ。

それは何故か?ーー自分たちで考えたアイデアだったからだ。
エンジニアは、第二次世界大戦で弾道ミサイルの開発に加わっていた。
そのため、巨大ロケットに憧れを抱いていた。
彼らは自分にとって愛着のあるアイデアを手離すことを過度に嫌った。

しかし、ジョン・フーボルトは違った。
彼は、既存のアイデアに疑問を投げかけ別の解決策を探った。
そして、周囲から変人扱いを受けるかもしれないと思いながらも諦めなかった。
数ヶ月の交渉と検討の末、重要な意思決定者たちは彼のアイデアを受け入れた。

情熱の力を活用する

新しいアイデアを生み出すには天性の才能が必要か?
その疑問の答えはNOだ。
創造性は後天的に高められる。

1つの問題に対して複数の解決策やアイデアを生み出す思考プロセスを「拡散的思考(divergent thinking)」という。
この拡散的思考は、イノベーションや発明に中心的な役割を果たす。
生涯発達的変化を調べた研究によれば、幼児たちは驚くほど創造的である。
しかし、9歳から10歳くらいになるとパフォーマスが急降下する。
このパフォーマンスの低下に現代の教育システムが関係しているという仮説がある。
子どもたちは、成長すると遊び、想像することをやめる。
正解が1つしかない問題を提示され、その正解を見つけることを求められる。

誰しも子どもの頃は創造的だった。
ならば、創造性を取り戻す方法は簡単だ。
自分の心にいる子どもを活用すればいい。
そのためのキーワードは「情熱」。

「情熱」には、人を高みに駆り立てる力がある。
隠された情熱を掘り起こすには、幼少期によくしていたことを思い出すといい。
趣味や興味、自分が夢中になれる活動をヒントにしよう。

想像できないほど優れたアイデアを生み出す

なぜそれが重要か?ーー成功にはアイデアやプランが必要である。
成功への道のりが明白である場合は、同じ方法を選べばいい。
しかし、不可能と思われることを実現しようとするときは違う。
伝統を捨てて、もっと革新的な方法を生み出すことが重要となる。

1つのアイデアに夢中になる誘惑に抗う

人が特定の問題を解決する際、以前に学んだ方法や経験に固執し、より効率的な新しい方法を見過ごす心理現象を「アインシュテルング効果(Einstellung effect)」という。
革新的なアイデアを考え出そうとするとき、最初のアイデアに固執してはいけない。
適切なアイデアに出会ったと確信するまで複数の代替案を出すように自分に強制しよう。

少ないほうが豊かである

資源、時間、労力、資金、人は利用できるものが多いほど革新的になれる。
そう考える人は多い。
しかし、研究によれば、それは逆である。
人は予算や資源が半分になったり締め切りが突然早くなったときに革新的なアイデアを思い浮かべる。
創造性は「少ないほうが豊か」になる。

皆がやっていることの逆をやる

クリエイティブになるためには、皆がやっていることの逆をやればいい。
これは「逆転の発想(Vice Versa Thinking)」として知られる発想法だ。
逆転の発想を活用して、伝統に決別して新たな新境地を切り開こう。

リラックスして気軽に過ごす

人は連続して問題に取り組むより途中で休憩を挟んだ方が創造的になれる。
これは「孵化効果(incubation effect)」と呼ばれる現象だ。
休憩時間中に脳が無意識に問題に取り組んでいることが原因だと考えられている。

孵化効果には特に良いタイミングがあることがわかっている。

  1. 休憩前に問題に取り組む
    休憩まで全力で問題に向き合えば、休憩時間の影響は一層大きくなる。
     
  2. しっかりリラックスする
    休憩時間はリラックスできて気軽な活動に充てる。
    散歩、ひと休み、入浴、瞑想、あるいは睡眠をとる。
    それから問題に戻って頭に何が浮かぶのかを確かめる。

イノベーションのためには、時間をかけて全力で問題の解決策を考えよう。
そして、もう限界だと思ったら寝てしまおう。

実行に移す勇気を見つける方法

アポロ8号のミッションは、当初は地球を周回して月着陸船をテストする予定だった。
しかし、他国との宇宙開発競争や月着陸船の完成遅れの影響により大胆な計画変更が行われた。
米国は、人類を初めて月周回軌道に乗せる計画に変更するアイデアを思いついたのだ。

管制官のグリン・ルニーは計画変更を知ったとき、こう答えた。
「ちょっと待ってください。それはまだ不可能です」

しかし、少し経つとルニーの考えは変わった。
「実に素晴らしいアイデアだ」

何年も前からこのミッションの準備をしていた。
スケジュール後半には実行する予定のことだ。

数ヶ月間で、私たちはもっと賢くなれるのか?ーーならない。
数ヶ月間で、機材はもっと良くなるのか?ーーならない。

これは、遅かれ早かれ負わなければならないリスク。
では、私たちは一体何を待っていたのか?

ルニーは自分の考えを力強い言葉にまとめた。
「月に行くと決めたならば、遅かれ早かれ、月に行かなければならない」

「闘争(Fight)」と「逃走(Flight)」

なぜそれが重要か?ーー月に向かうミッションと同じくらい、恐ろしいリスクのある決断を迫られる機会があるかもしれない。
自己啓発の達人は恐れを感じても行動することを勧める。
恐怖や不安と向き合う勇気の見つけ方を知ろう。

厳しい決断を迫られたとき、人は「闘争(Fight)」と「逃走(Flight)」の反応を示す。

逃走(Flight)

  • 恐怖から逃げる:問題を避けようとする。
  • 現状を維持する:変化よりも現状を保つことを好む。

闘争(Fight)

  • 恐怖に立ち向かう:問題に対して積極的に対処する。
  • 変化を受け入れる:リスクを評価し、不確実性も受け入れる。

収入が安定しているけど退屈な仕事を辞めて、フリーランスになろうとしている状況で考えてみよう。
フリーランスの仕事は、不確実で経済的なリスクが伴う。

逃走気質の人の場合
逃走反応が強ければ、次の2つのことが目につく。

  • 安定した収入を確実に失うこと
  • フリーランスになることで生まれるリスク

不安のせいで転職できない。
そして面目を保つために色々と言い訳をする。
逃走反応による恐怖への対処の仕方は、失敗につながることが多い。

闘争気質の人の場合
闘争反応が強ければ、変化と現状維持の双方のリスクを評価する。
フリーランスになることで不確実性を受容する可能性が高くなる。

闘争反応は成功に結びつきやすい。
その理由は、闘争反応が怖れを減らし、行動を促す。
その結果、成長と発展を促す。
闘争反応により、自分の人生を自分でコントロールすることができる。

逃走反応より闘争反応を取れるようになる方法

なぜそれが重要か?ーー行動には常に危険や代償を伴う。
行動する勇気のためには、闘争反応を取れるようになる必要がある。
そのためには「リスクを適切に評価する」ことが重要だ。

闘争反応を取れるようになるためのエクササイズ

リスクを適切に評価してベストな選択をできるようになろう。

  1. 恐れや不安を感じる決断をするときのことを考える
    たとえば、自分のキャリアを変更すること、デートに誘うことなど。
     
  2. 1年後の最高の状況を想像する
    思い切って行動した結果、大成功している状況をしばらく心に描こう。
     
  3. 1年後の最悪の状況を想像する
    思い切って行動した結果、大失敗している状況を想像できる限り書き出す。
     
  4. 最悪の状況が起こり得る可能性1~10の間で評価する
    あまり深く考えずに正直に評価する。
     
  5. 最悪の状況が現実になったとき、どのように対処できるかを自問する
    そのアイデアを書き出す。
     
    • それは本当に恐ろしいか?
    • 対処するために何ができるか?
    • 同じような状況を切り抜けた人はいるか?
       
  6. 最悪の状況を起こりにくくする方法、ダメージを最小限にする方法を考える
    そのアイデアを書き出す。
     
  7. 何も行動しなかったとき、1年後の状況を想像する
    人は行動するリスクに注目する。
    しかし、行動しないリスクは無視する傾向がある。
行動を妨げる「4つの言い訳」

その言い訳は正当なものか?ーーあなたは未知の世界に足を踏み入れる決意をしたとしよう。
しかし、脳は「そんなことはするな」と言い出す。
そうなれば行動しないことを正当化するために言い訳を始めたくなる。
その言い訳が、本当に正当なものか、怖気づいているだけなのかを判断する必要がある。

ここでは、行動を妨げる「4つの言い訳」を紹介する。
たとえば、あなたが新しいプロジェクトを始めようと思ったとしよう。
次の言い訳を始めたら、恐怖の有害な影響を避けるために正当化しようとしている可能性がある。

  1. 「時間が足りない」
    新しいプロジェクトが1番になるよう優先順位を変えよう。
     
  2. 「お金や情報、スキルが足りない」
    それは本当に欠かすことができないことか?
    完璧ではなくてもスタートを切ることは可能。
     
  3. 「いまはタイミングではない」
    スタートを切ることをただ避けていないか?
    行動を開始する期限を厳しく設定しよう。
     
  4. 「私なんかがやってもムダだ」
    経験が足りないなどと自分に言い聞かせてはいないか?
    変えることができない過去は、言い訳に使われやすい。

プロジェクトをスタートさせても一向に完成させる気にならない場合は、要注意!

「完成しない限りは失敗にならない」と考えてはいないか?
「完璧でなければ誰にも見せられない」と考える人がいる。
そう考える人は、これまでの成果を他の人に見せることができるだろうか?

言い訳せずに、つべこべ言わずに行動に移そう。

月に行くのが今日である必要はない

アポロ12号は、3名の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられた。
しかし、打ち上げ30秒後に2度の落雷に見舞われた。
アラートが大きく鳴り始め、計器は警告音で埋め尽くされた。

管制官のゲリー・グリフォンは生死を分ける決断を迫られた。

  • ミッションを中止して数百ドルを無駄にするか?
  • ミッションを継続して宇宙飛行士を危険にさらすのか?

上司であるクリス・クラフトは、グリフォンに近づいて優しく伝えた。
「グリフォン、今日は月に行く必要はないよ」

計画が無茶になりそうなときは、再検討しよう。
目標に向かうべきではないと感じたときは「今日」という言葉を付け加えよう。
将来のチャンスの扉が開けたままの状態であることを認識することができる。
無謀な決断を迫るプレッシャーを感じてはいけない。
月に2度と行けないわけではないのだ。

最終的には、グリフォンはミッションの継続を決断をした。
10日後、アポロ12号は大成功し宇宙飛行士は無事に地球に帰還した。

一度距離を取って改めて再挑戦することがベストのこともある。
時間や労力、予算の投入を自棄になって決めてはいけない。
冷静に「今日は月に行く必要はないのかもしれない」と考えよう。

まとめ・感想

僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう
アポロ11号は月に行ったっていうのに
僕らはこの街がまだジャングルだった頃から
変わらない感情、思考、行動の仕組みで生きている。

その仕組みを科学的に研究する学問が心理学だ。
その仕組みをより深く理解し活用することで、人はすごいことができるようになる。

人類が月に到達するという驚異的な偉業を成し遂げたプロジェクト「アポロ計画」。
このプロジェクトの中心的役割を担ったのは、管制官たちだった。
本書では、彼らへのインタビューから得られた魅力的な物語を知ることができる。

この物語から心理学的知見により導かれた8つのマインドセットが明らかになった。
その内容は、よくビジネス書を読む人にとってはお馴染みの「基礎」と思えるものもあるだろう。
しかし、「基礎」を軽んじてはいけない。
その「基礎」がなければ、人類は未だ月に到達できていなかったかもしれない。
「基礎」が大事だとわかっていても実践することが困難な状況はいくらでもある。
知識そのものより、読者が物語を通して感じたことと知識を掛け合わせることこそが重要。
本書は、読者に本当に価値のあることを教えてくれる。
それは、あなたにとっての月を目指すことに必ず役に立つ。

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