悩んだときに、まず相談すべき人ーーそれは自分。
あなたらしい生き方の答えを知っているのは、あなた自身。
あなたが心から本音ですべてを話せるのも、あなた自身しかいない。
自分の「軸」を言語化することで、自分と話すことができる。
本書の概要
タイトル | : | こうやって頭のなかを言語化する。 |
発行日 | : | 2024年12月10日 第1版第1刷発行 |
著者 | : | 荒木 俊哉 |
発行所 | : | PHP研究所 |
詳細 | : | こうやって頭のなかを言語化する。 |
言語化力ーーそれは、生きる力。
本書のテーマである「頭のなかを言語化する」は、自分を学ぶ行為。
漠然とした不安を感じていないか?
自分を学ぶことが、その不安を消すことができる、たった1つの方法。
- 自分はどういう人間なのか?
- 何を大切にしているのか?
- 本当は何に悩んでいるのか?
どんな資格よりも、まず「自分」を学べ。
言語化することで、これまで気づかなかった自分の思いをつかめるようになる。
主要なポイント・学び
なぜそれが重要か?ーー自分という存在は、なかなか話してくれない。
その理由は、考えたり、感じたりしていることは「言葉」という形になっていないから。
- なんとなく、めんどくさい。
- なんとなく、しっくりこない。
- なんとなく、不安だ。
何を話していいのか、自分でもわかっていない。
自分にちゃんと話してもらうためには、方法が必要だ。
人には、その人だけのオリジナルの辞書がある
なぜそれが重要か?ーー人が無意識に発している言葉には、必ず意味がある。
言葉には、その人ならではのものの見方や考え方が潜んでいる。
物事に対する考え方や価値観は、人の数だけある。
たとえば「仕事」という1つの言葉をとっても人によって意味が違う。
その人だけのオリジナルの辞書がある。
Aさんの辞書
しごと【仕事】 生活のために仕方なくやること
Bさんの辞書
しごと【仕事】 自己実現の方法
使っている言葉に思考のクセが出る。
カウンセリングの世界では、相手の「言葉に関わる」聞き方をする。
対話で発せられる言葉を1つずつ言語化する。
相手の「辞書をつくる」イメージを強く持つことが重要。
そして、それは自分との対話でも同じ。
「自分は、この言葉を、どんな意味で使っているのだろう?」
自分だけのオリジナル辞書をつくっていく感覚で自分に問いかけよう。
そのためのコツを説明していく。
言語化につながる聞き方のコツ
なぜそれが重要か?ーー「話して良かった」と思われるか「話すんじゃなかった」と思われるか。
その違いは「聞き方」にある。
言語化につながる聞き方のコツは、3つある。
- 「できごと→感じたこと」の順番で聞く
- アドバイスしようとしない
- 言葉の意味を深める問いかけをする
「できごと→感じたこと」の順番で聞く
まずは過去の印象的な「できごと」を思い出してもらう。
頭の中にある思いや意見といった「感じたこと」は抽象的であり「言葉」になっていない。
だから直接「感じたこと」を聞いても言語化できない。
具体的な「できごと」からなら抽象的な「感じたこと」の解像度を上げやすい。
アドバイスしようとしない
頭のなかの抽象的な思いや意見を言語化する目的なら「聞くことに徹する」べき。
ムリに納得させようとしたり、決めつけようとしない。
相手の語りを促す関わり方をする。
言葉の意味を深める問いかけをする
自分が発する言葉の意味を改めて考えてもらうような問いかけをする。
答えは、いつも自分の中にある。
頭の中を言語化すれば自分の軸や大切な価値観が見えてくる。
言語化の習慣化
なぜそれが重要か?ーー言語化力を身につける1番の近道は、習慣にすること。
言語化を習慣にすると、常に自分の思いや意見が最新の状態になる。
そうすれば、処理速度が上がり一瞬で思考をまとめたり決断することができるようになる。
言語化ノート術ーー「ためる」→「きく」→「まとめる」の簡単3ステップ。
そして、おまけのステップ「そなえる」を紹介する。
この方法では、ノートとペンを使う。
- 【ためる】「できごと + 感じたこと」をメモする
- 【きく】頭に浮かんだ言葉をノートに書き出す
- 【まとめる】現時点での「結論」を1行で書く
- 【そなえる】今後の「行動」まで言語化しておく
自分の頭のなかを言語化しやすいよう好きなようにアレンジしてかまわない。
言語化することによって、新しい自分の発見につながることもある。
【ためる】「できごと + 感じたこと」をメモする
心が動いた「できごと」に対して「感じたこと」をセットでメモする。
例:プレゼン終了。テンションが上がった。
1日1つを目標に、短いメモを残そう。
スマホのメモアプリ等、自分がメモしやすいツールを使おう。
【きく】頭に浮かんだ言葉をノートに書き出す
ステップ①のメモした日の夜、3分間の時間をとろう。
「できごと + 感じたこと」に「のはなぜか?」を足して問いをつくろう。
例:プレゼン終了。テンションが上がった。のはなぜか?
3分間で5つ以上を目標に問いに対する言葉をどんどん書き出そう。
キレイに書く必要はない。
頭に浮かんだ「生の言葉」をそのまま文字にすることが大事。
【まとめる】現時点での「結論」を1行で書く
ステップ②で書き出した内容から、問いに対する「結論」をまとめる。
自分だけの辞書をつくっていく感覚だ。
「結論」は、現時点のものでいいので素直にまとめてみよう。
まとめ方のコツは次のとおり。
- 印象的な言葉をピックアップする
- 同じ言葉や似た意味の言葉を見つけて、○で囲む。
- ○で囲った言葉を参考に、今の自分にしっくりくる1行にまとめる。
違和感があれば、後日いつでもブラッシュアップできる。
時間を置いて「寝かせる」ことで、よりしっくりくる表現が見つかることもある。
特定の出来事から導いた結論を、より広い意味で捉えてみよう。
このように普遍化すれば他の場面にも応用することができる。
【そなえる】今後の「行動」まで言語化しておく
ステップ①~③では「できごと(What)」と「なぜ感じたか(WHY)」を言語化した。
さらに、追加でこれからどうしたいか「行動(HOW)」を言語化する。
過去に経験したことと同じような場面に未来で遭遇することもある。
行動まで言語化されていると、いざというときの対応力が一気に高まる。
あなたに起こるプラスの変化
プラスの変化は、言語化がうまくなるだけじゃない。
プラスの変化は、次の2つ。
- 相手に伝わりやすくなる
- 質の高い思考が手に入る
相手に伝わりやすくなる
「言語化」と「伝え方」の関係は、料理にたとえれば「伝え方はレシピ、言語化は食材」。
レシピがあっても食材が十分でなければ美味しい料理はできない。
同じように伝える技術があっても、伝える内容が言語化されてないなら相手に伝わらない。
伝え方を工夫しても言語化がうまくなることはない。
「言語化」がうまくなれば、伝え方がうまくなる。
伝え方のテクニックで「結論から話す」というものがある。
自分の中に「結論」が言語化されていれば、自然と「結論から話す」ことができる。
料理にたとえれば、食材が良ければ、それだけで料理は美味しくなる。
質の高い思考が手に入る
思考の質を高めるためには、思考の具体化と抽象化が必要となる。
「言語化ノート術」の「ためる→きく→まとめる」は、まさに抽象化の流れ。
「言語化ノート術」では、自然と具体化と抽象化を行き来する思考に取り組むことになる。
言語化力の向上に終わりはない
なぜそれが重要か?ーー人は、一生完成しない。
言語化力は、どこまでも伸ばすことができる。
「言語化ノート術」で取り組んだテーマなら頭の中に既に結論があるので瞬時に決断できる。
しかし、取り組んだことがないテーマに対してはどうだろう?
それは難しいかもしれない。
だからこそ「言語化ノート術」の習慣化をおすすめしたい。
継続は言語化力なり。
「言語化ノート術」を続けていくと、自然と問いを立て、理由や結論を言語化するクセがつく。
これを「言語化体質」という。
言語化力は、日々の準備の積み重ねで決まる。
まとめ・感想
自分はどんな人間か?
自分自身のことなのに実は言葉にできないことは多い。
自分は、何が好きで、どんなことを大切にしたいのか。
たしかに「それ」が存在する感覚はある。
けれど、「それ」は抽象的で、掴もうとすると霞のように消えて見失ってしまう。
そんな感覚にならないだろうか。
もし「それ」を具体的な言葉にできたなら。
それは、人生の指針と成り得る。
物事を「なんとなく」で選ぶことがなくなる。
自分のために、はっきりとした意思をもって選択できるようになる。
それは、きっと自分という人間の存在感が増す感覚だろう。
答えはいつも自分の中にある。
それなら、答えを自分自身に聞くのが早い。
本書の「言語化ノート術」は継続の難しさはあるが、やることは実にシンプルだ。
自分の人生を何処に走らせれば幸せを感じられるのか?
現在の方向性は、本当に自分にとって好ましいものなのか?
どんな知識よりも、まず「自分」を学ぶことを優先すべき理由がわかる。
「自分」の学び方は、本書を読むことで深く理解することができる。