本書の概要
タイトル | : | 自分を変える無意識の魔力 |
発行日 | : | 2025年1月11日 初版第1刷発行 2025年2月1日 電子第1版発行 |
著者 | : | BAZZI |
発行所 | : | SBクリエイティブ |
詳細 | : | 自分を変える無意識の魔力 |
「無意識」には魔力がある。
無意識には、あなたを変えてしまう力がある。
無意識を使いこなせば、思い通りの人生を手に入れることができる。
主要なポイント・学び
あなたは成功したいと思っているだろうか?
もし、成功していないのなら、それは何故だろう?
その答えは「無意識(潜在意識)」を活用できていないからだ。
本書では、次のことを学ぶことができる。
- 無意識を活用することで成功する理由
- 無意識を活性化させる方法
「行動の99%」は無意識に支配されている
人の意識は、顕在意識が1%、無意識(潜在意識)が99%というのが定説。
顕在意識と潜在意識の関係は、よく氷山に例えられる。

人は1日に6万回の思考を行い、最大3万5000回の決断をしていると言われている。
一つひとつの決断には、無意識が深く関係している。
これは、あなたの行動の99%が無意識によって支配されていることを意味する。
あなたは、それを信じられないかもしれない。
意識の99%が無意識が占めていることを体感できるセルフチェックがある。
簡単なので、ぜひ試してみて欲しい。
10秒間、周囲の「赤いもの」がいくつかあるか数えてください。

この先は、セルフチェックを行った後に読み進めてください。
セルフチェックが終わったら次の質問に答えてみましょう。
あなたの周りに「黒いもの」はいくつありましたか?
あなたは、この質問に戸惑ったと思う。
しかし、あなたが赤いものを探しているとき、黒いものも視界に入っていたはずだ。
それなのに、あなたはこの質問に答えることができない。
その理由は、脳が「赤いものだけ」にフォーカスしていたからだ。
あなたの意識の99%は、無意識によって支配されている事実を納得できただろうか。
RAS(Reticular Activating System)
膨大な情報の中から対象を絞り込んでフォーカスする機能を「RAS」という。
RASは自分の興味や関心のある情報だけをインプットしようとする。
そして、興味・関心がないことには反応しない。
すべての情報を受け取ってしまうと脳に大きな負担がかかってしまう。
そうならないために、RASは脳のフィルターの役割をする。
- ネガティブなことに興味・関心が向いている場合
RASはネガティブな情報をより多く拾い上げる。
- ポジティブな目標や願望に意識が向いている場合
RASは目標達成や願望実現のための情報を優先的に処理する。
無意識は、ポジティブな結果、ネガティブな結果、どちらも引き起こす。
無意識をうまく使いこなせば、望む情報やチャンスをいち早く見つけることができる。
つまり、無意識をうまく活用すれば人生を好転させることができる。
あなたは、無意識では成功したいと思っていない
人が常に抱いている欲求は、次の2つだけだ。
- 快楽を得ること。
- 苦痛を避けること。
苦痛を避ける欲求は、快楽を求める欲求より3倍以上強いとされている。
1万円をもらったときの喜びより1万円を失ったときの悲しみの方が強い。
ホメオスタシス(恒常性)
ホメオスタシスとは、生物が外部環境の変化にかかわらず、体内の状態を一定に保つための仕組み。
例えば、体温が下がると、私たちの体は震えることで熱を発生させる。
逆に体温が上がると汗をかいて冷却する。
ホメオスタシスの目的は、生きるために「昨日までの自分を保つ」こと。
人はホメオスタシスのおかげで守られている。
生命を守るホメオスタシスをコントロールする無意識がいかに重要であるかがわかる。
あなたは、顕在意識で「成功したい」と願っている。
しかし、無意識では「成功したい」と思っていない。
無意識は、苦痛を避け、変化を嫌う。
成功していない「昨日までの自分を保つ」ことで自分を守ろうとする。
無意識のうちに「自分にはできない」と制限をかけ、正しい方向への行動ができない。
そのため、人はなかなか願望を叶えることができない。
顕在意識で自分の行動をコントロールすることはできない。
だからこそ、無意識をうまく使いこなす必要がある。
無意識が自動的に夢を無理なく叶える
脳の重さは、体重の2%しかない。
それなのに脳は全身が消費するエネルギーの20%近くを使っている。
脳は大量のエネルギーを消費しようとする。
しかし、生命維持のためには脳以外にもエネルギーが行き渡らなければならない。
だから、脳は消費エネルギーを節約しようとする。
そのために物事を自動的に処理しようとする。
例えば、歯を磨くとき「どうやって歯ブラシを動かそうか」と考えなくても歯を磨けるだろう。
脳が楽をするために、人は無意識のうちにルーティンを行えるようになっている。
習慣になっているからこそ、無理なくできる。
あなたの夢の実現に必要なことも、これから習慣化させてしまえば良い。
夢の実現から逆算すれば、やるべきタスクが見えてくる。
例:
それらのタスクを歯磨きのレベルで習慣化する。
そうすれば、夢の実現へと近づくことができる。
無意識には、これまでのあなたのすべての経験や知識が詰まっている。
あなたは「ありがとう」と言われたことはあるだろうか?
どんなささいなことでも、人から感謝されたことがあれば大丈夫。
あなたには、大きな価値が眠っている。
無意識を味方につけて「やること」を習慣化しよう。
この習慣化を妨げないためには脳への負担を軽くすることが重要。
マインドフルネス(Mindfulness)
マインドフルネスとは、「今、この瞬間」に集中し、自分の感覚や感情を冷静に観察できる心の状態。
無意識は、マインドフルネスな状態でこそ、活性化しやすくなる。
マインドフルネスには、数多くの効果が期待できることが研究により実証されている。
ここで注目したいのは、次の2つの効果である。
- ストレスの低減
- マルチタスク脳からシングルタスク脳に切り替えられる
ストレスの低減
ストレスの低減により緊張が和らぎリラックスした状態になる。
過去のトラウマ、未来に対する不安がない状態になることで「今」に集中できる。
マインドフルネス状態になるとα波やθ波が優位になる。
θ波は記憶力を高めてくれる脳波の1つ。
ここで特に注目したいのは、α波が出ることによるメリット。
α波は、気分がリラックスしているときに出る脳波。
α波が優位な状態では、自律神経が整い思考が活性化する。
あらゆる夢をプラス思考で捉えられるようになる。
現代人は、α波やθ波を出す機会が減っている。
そのため、意識的にマインドフルネスな習慣を取り入れることが重要である。
マルチタスク脳からシングルタスク脳に切り替えられる
現代社会では、やるべき(と思い込んでいる)タスクが多い。
生産性を高めるため、多くの人がマルチタスクになりがちである。
しかし、人間の脳はマルチタスクには向いていない。
マルチタスクの実際は、脳が猛スピードで複数のタスクを連続的に切り替えているだけである。
このタスクを切り替える際にエネルギーを大量に消費させてしまう。
脳に負荷をかけると疲労し判断力や集中力が落ちる。
自律神経のバランスが乱れ、心身の不調が現れる。
「今」に集中できず、過去や未来に意識が流れやすくなる。
そのため「マルチタスク」をやめて「シングルタスク」に切り替える必要がある。
無意識を活性化できるのは「今」に集中できる「マインドフルネス」な状態である。
マインドレスネス(Mindlessness)
マインドレスネスとは、簡単に言うと「心ここにあらず」の状態。
つまり、マインドレスネスはマインドフルネスの逆である。
現代社会の環境は、人をマインドレスネスの状態にする。
例:
マインドレスネスは、私たちの判断能力を奪い、可能性を狭める。
マインドレスネス状態を解消するためには、まず、その状態になっている自分に気づく必要がある。
気づいた後は、現状を把握できた自分を褒め、それからの行動を整えていけばいい。
マインドレスネス状態では、過去や未来に意識が流されてしまう。
そして、たいていネガティブなほうに意識が引っ張られている。
これは危険を回避しようとする脳の機能の1つ。
しかし、行き過ぎるとネガティブ感情を増幅させるループに陥る。
シングルタスク&マインドフルネスで生きることを心がけよう。
そのためには、私たちが抱えすぎている様々な「過多」を捨てなければならない。
「不安過多」を解消する
「不安過多」を解消するおすすめの方法は「時間観」を変えること。
時間の流れを「過去 → 現在 → 未来」と捉えることを止める。
これを真逆の「未来 → 現在 → 過去」と捉える。

時間の流れを「過去 → 現在 → 未来」と捉えると過去の経験に縛られる。
過去の失敗などのネガティブな経験を引きずってしまう。
これは、未来はこれまでの経験の延長上にしかないという考え方だ。
この時間観では、未来への不安の感情が湧いてきてしまう。
不安を感じることで脳のリソースは減っていく。
願望実現からどんどん遠ざかってしまう。
時間の流れを「未来 → 現在 → 過去」と捉えると過去に囚われにくくなる。
なぜなら、過ぎ去り遠ざかっていった出来事は、一切関係ないからだ。
そして、これからやってくる未来は「今」この瞬間に自由に選ぶことができる。
安心感が生まれ、あなたの無意識はどんどん新たな挑戦をしたくなる。
「今、この瞬間」の行動で未来を変える。
過去が自動的に未来を決めるのではない。
自分が望む未来から逆算し「今」の自分が変えられることにフォーカスしよう。
願望実現のためには、自分に足りない能力に目を向けるのではなく自分の強みや長所にフォーカスすることが重要だ。
「情報過多」を解消する
どのような情報でも無意識に浴び続けると思考停止状態に陥る。
脳は消費エネルギーの節約のため「何も考えなくていいんだ」と誤解してしまう。
または「面白いか面白くないか」だけで判断してしまう。
それでは、願望実現からはますます遠ざかってしまう。
大切なのは「自己決定」の姿勢。
そのためには、情報を脳に入れる段階で「厳選する」ことが重要。
現代社会で生きる私たちの脳は情報の洪水にさらされている。
情報を発信する側の人は、人間の心理を巧みに読み解くプロである。
どうすれば「これが欲しい!」と思ってもらえるかを熟知している。
知らない間に洗脳されていたとしても、無理がないことだ。
この事実を知った今、意識的に身を守る選択をすることが大切だ。
メディアが発信する情報にはネガティブな情報が多い。
不安にさせられ、RASが勝手にネガティブな出来事を探してしまう。
その結果、無意識に意味もなくTVを見続けてしまう。
これが情報を発信する側の狙いだ。
また、TVはドラマ等によって願望を仮想現実の中で満たしてくれる。
脳は、バーチャルな情報と現実の区別がつかない。
心が満たされれば、現実で幸せになろうとすることを無意識に放棄してしまう。
情報には、目的を決めて取捨選択し、受け身ではなく能動的に接することが重要だ。
「人付き合い過多」を解消する
私たちは、人間関係が増えるほどマインドレスネス状態になる。
日本人特有の繊細な人間関係では「気遣い」は想像以上の負荷となっている。
真の価値ある人間関係だけに保つことで、心の負担を減らすことができる。
「人脈は多いほうがいい」と感じているかもしれない。
しかし、それはただの思い込みでしかない。
自分にとって本当に意味のある人間関係を築くことが大切。
人間関係は、量より質。
目標達成をお互いにサポートし合える関係は特に重要。
うわべだけのお付き合いは、お互いに脳のリソースを無駄遣いし続けることになる。
マインドフルネス状態になることで、心に余裕が生まれる。
そうすれば損得勘定のない、純粋な関係を築くことができるようになる。
ミラーニューロン理論
私たちは、他者の行動、感情、思考を無意識にマネしていることが多い。
例えば、ルームメイトが筋トレを頑張っていれば「自分も頑張ってみようかな」となる。
これは、ミラーニューロンの影響によるものである。
ミラーニューロン理論を知ることで、自分の人間関係をより大切にするようになる。
ミラーニューロンを味方につけると、環境の力によって自動的に願望実現に近づくことができる。
自分が尊敬し目指す人物と頻繁に接すると良い。
成功者の日々の過ごし方を知ることは、自分自身のスキルやマインドセットの向上に繋がる。
しかし「身近に目指すべき人物がいない」という人もいるだろう。
安心して欲しい。
ミラーニューロン理論は、バーチャルな関係性においても有効である。
例えば、YouTubeやブログの発信を通して成功者の思考パターンや行動パターンを身につけることが可能である。
まとめ・感想
原始人は、獣や魚を捕まえたり木の実や貝を集めたり、自分で食料を獲得する必要があった。
そして、野獣に襲われる等の危険と常に隣り合わせだった。
何かあった時に素早く反応できるように、常に「今」という瞬間にフォーカスしていた。
「あのとき、魚を捕まえることができなかった」と過去を何度も思い出すこともない。
食事のとき、現代人のようにスマホを見るなどのマルチタスクをすることもない。
そんな余裕はどこにもなかったからだ。
私たちの祖先は無意識の優れた使い手だった。
人間の脳の構造は、その頃とほぼ変わっていない。
私たち現代人にも当然に備わっている能力ということだ。
つまり、無意識を活性化させることは誰にでもできるということだ。
本書では「人間らしさ」を取り戻すことの重要さを伝えている。
そのために現代社会に流されずに考え行動することが重要である。
現代の日本という恵まれた環境にいながら原始時代のいいとこどりするハイブリッドな生き方だ。
本書では、現代社会で無意識を活性化させるためにできる行動や思考法が詳細に書かれている。
もし、あなたに叶えたい願望があるなら必ず本書を手にすることをおすすめする。
私が特に気に入った内容は「正解を求めすぎない」こと。
現代社会では、どうしても効率化を意識してしまうし、させられる。
そのため、常に手っ取り早く正解を求めてしまいがちになる。
しかし、その正解とは誰にとっての正解だろう?
それは本当に自分にも当てはまる正解だろうか?
もし、自分には当てはまらない「誰かの正解」だけを続けても「自分の正解」にはたどり着けない。
自分で試行錯誤することが真の正解への近道。
「失敗は成功の母」と言うように失敗は歓迎するべきだ。
本当の意味での失敗など存在しない。
言い換えれば、自分に起こることは「すべてが正解」。
あなたも本書に書かれた内容を試行錯誤し「あなたの正解」を見つけて欲しい。