イントロダクション
タイトル | : | 頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編 |
2023年4月25日 発行 | ||
発行所 | : | 朝日新聞出版 |
著者 | : | 田村耕太郎 |
著者情報は、上記リンクからご確認ください。 |
「アホ」との戦いは、何も得られないどころか何かを失いかねない危ういものです。
しかし、戦意を見せないと「アホ」はさらに助長し「アホ」に磨きをかけていきます。
それも「アホ」が「アホ」である所以。
私は「アホ」に絡まれると、暫くそのことで頭がいっぱいになり、何も手に付かずモヤモヤして夜も眠れなくなります。
しかし、組織上の立場は「アホ」が上であるため、どうすることもできません。
私は、本書のタイトルと上記リンク先ページの商品紹介を読み、この永遠のテーマとも思える「アホとの関り方」について、知ることができるのではと希望を持ちました。
「アホとの関わり方の技術」を学びたい!
そう思い、本書を手にすることにしました。
オススメしたい人
- アホに振り回されない人物になりたい人
- 自分自身がアホになりたくない人
- 最高の思い出を持って人生の最後を迎えたい人
学べること
本書では、厄介な「アホ」との向き合い方を学び、自分の人生を取り戻すための戦略を知ることができます。
本記事では、本書の中でも特に効果的だと私が感じた内容を私の解釈で簡単にまとめています。
本書は「アホ」への対応策を詳しく教えてくれるだけでなく、自分自身をアホ化させないために必要なことも記されている、とても有益な内容となっています。
すべての内容を詳しく知りたい人は、本書を購入することをオススメします。
「アホ」の特徴
「アホ」とは、本書では次のように説明されています。
アホとは、組織や個人の成長に関係なく、意味なく他人に干渉してくる人々のことを指す。
『無題の章 アホとそうでない人物はなにが違うのか 一見いい人と潜在的アホ』より
また、本書で記される「アホ」の特徴には、次のようなものがあります。
- アホには自覚がない
- 自分が誰より優遇されるべきだと考えている
- 自分の優位性をひけらかしたい
- 寛大な人格者のリーダーに必死に接触し、取り入ろうとする
- 周りを貶めることで、自分に価値があると思い込もうとする
- 「いい人」「弱い人」を攻撃対象にし、いたぶることに快感を覚える
- 多様性を認められない
- アホは徒党を組む
アホは子分を作ります。
アホの子分は、アホの手下になった方が組織の中で楽にチャンスにありつけると思うからです。
アホは、上から子分を使って攻撃対象を横や下から攻撃します。
最初はアホでなかった人も、アホに魂を売ることによって、アホと同じことに快感を持ちます。
出会った時はアホじゃなかった人が子アホなるパターンは、あるあるですね。
「アホ」を見抜くためには
日本社会は、調和に最も重きを置くため同調圧力が強いです。
言わば、均質的な「巨大なムラ社会」と表現できます。
そのため、日本では「自分の人生を生きようとする人々」を異質なものとみなします。
そして、免疫システムのように異質なものを抹殺にかかるのです。
日本の組織人の大半は「潜在的アホ」だと思った方が良いです。
そんな日本で「アホ」を見抜く方法は、「アホではない人」を見抜けば事足ります。
本書で説明される「潜在的アホではない人」とは、次のような人を言います。
『無題の章 アホとそうでない人物はなにが違うのか 一見いい人と潜在的アホ』より
- 結果や成果に最もこだわり、常に没入して働き結果を出し続けている人
- 数字で物事を考えられ、説得力ある数字で指示を出す人
- 組織内での成功にこだわらず、大きな人生の目標を本音で語って実行に移す人
- 他人の視線をあまり気にしない人
- 他人の時間にリスペクトがある人
上記の特徴を見て、自分はアホではないと思っても安心しないでください。
アホに苦労してきた人間は、知らないうちにアホ化してしまう可能性があります。
アホは、伝染するのです。
日本は、大半の人が潜在的アホ。
自分自身もアホにならないように気をつけないといけません。
日本のハラスメント問題は深刻
日本社会では、新卒至上主義であり中途採用へのリスペクトとフル活用が遅れています。
中途採用は新卒で入った会社の待遇を上回る場所は少ないです。
そのため、せっかく新卒で入った会社だからと辞めない人が多いのです。
このように、日本社会はモビリティがありません。
また、日本社会は均質的な「巨大なムラ社会」で同調圧力が常にかかっています。
多様な意見にさらされていないので違う価値観やモノの見方を受け入れることができません。
このような環境であるため、同調圧力を破る行為をした場合、逃げ場がありません。
組織で陰に日向にイジメを受けることになりかねません。
そうならないために日本人は他者からの批判に異常に敏感です。
日本人は建設的な議論をする経験が乏しく、訓練も受けていないことにも原因があります。
感情をコントロールし、相手にリスペクトを示しながら建設的に議論することが得意ではないことから、感情的な衝突にエスカレートしやすい傾向にあります。
感情的激論を避けるため、多少納得がいかなくても立場が上の人への反論をしません。
これらの結果、組織で事なかれ主義が蔓延します。
アホは自分の優位性をひけらかしたいためにハラスメントを行いますが、こういった環境だからこそ、アホは安心して攻撃対象に決めた人をいたぶるのです。
海外でもパワハラやセクハラはありますが、日本ほど深刻な問題にはなりません。
海外では、キャリアアップのステップを目指して3~4年で職場を変えることが普通です。
そのため、ハラスメントが酷ければ辞めるだけなのです。
なるほど。
日本は、特にアホが生息するのに適した環境なんですね。
「アホ」と戦わずに戦う
アホと戦うことは容易ではありません。
昔からアホが駆逐されないことには、理由があります。
生まれながらに資金力、権力、発信力等の何もかもを持ち合わせたスーパーヒーローでもなければ無理です。
戦わずに戦う戦略的な道を選びましょう。
いちばん効果的なのは反応しないこと
アホは、いたぶっている相手の苦悩が何よりの大好物です。
そのため、アホにはこのエサを与えてはいけません。
悔しがることも、八つ当たりすることも、やせ我慢する姿を見せることもしてはいけません。
図太くいたぶりがいのないドアホだと思わせることが必要です。
「無の境地」でスルーできるように心を整えましょう。
以下では、そのための方法を説明します。
目的に集中する
アホには自覚が無く、厳しく叱責したとしても改善することはありません。
怒ることは、相当なエネルギーと時間を費やすします。
人生は有限です。それゆえに時間は人生最大の財産です。
理不尽なことに我慢し、ストレスや不幸をため込み、アホに売り渡すためにあるものでは決してありません。
時間は自分の人生を謳歌するために使うべきです。
あの世にはお金も家も名誉も何も持っていくことはできません。
持っていけるのは思い出だけです。
人生の最後に最高の思い出を持って死ぬことを目的にしてください。
そのために、常に学び続けましょう。
そこにアホがつけいる隙はありません。
アホを含め、誰に対してもリスペクトを持つ
アホだろうが何だろうが、他者に対してリスペクトを持つことには意義があります。
自分との違いを受け入れ、それを理解し、敬意を持ちましょう。
同調圧力が強く、違いを受け入れられない日本社会にはリスペクトが足りません。
それが、アホを生みやすい環境にしています。
距離を感じさせず、フレンドリーに接しながらリスペクトを忘れない。
それが、素晴らしい組織の人間関係のあり方です。
敵意しか持たないアホも、周りから敬意を持たれれば人間として進歩するかもしれません。
有害な”アホ”から身を守る「モビリティ」のススメ
アホのいたぶりをスルーする「無の境地」の根拠として、モビリティを持っていることが大事です。
「いざとなれば、現在の職を辞しても何も困らない」そう思えればアホの攻撃も気ならなくなります。
モビリティで社内のアホから身を守る
アホとの関係を絶てない唯一の理由は、その職場から動くことができないからです。
アホをスルーするため、アホから逃げるため、モビリティを持つことが良いです。
そのためには、目の前のことにしっかり集中しましょう。
結果を出して正当な評価してもらうことができれば、アホからブロックしてくれる人が現れます。
もし、実際の評価をすることなく社内イジメを優先させる組織であれば、その組織を飛び出す覚悟が必要です。
いざという時のために準備をしている迫力はアホに伝わります。
アホの行動に変化を与え、いつしかアホから距離を置くようになるはずです。
読んだ感想
日本社会の調和を重んじるところを、ある種の美徳のように感じているところがありました。
そのために生まれる同調圧力がアホを生みやすい環境を作っているということに衝撃を受けました。
日本社会にアホが蔓延りやすい理由にとても納得しました。
日本に海外の情報が入りにくい構造も、国民に気付かせないために「大いなるアホの意志」が働いているのではないかと思えてしまいます。
日本社会がアホを生みやすい環境になったのが先か、それとも、アホが勢力拡大のために日本社会をこの形にしたのが先か。
そんなしょうもない事を考えてしまいました。
本書を読み、「アホと戦わずに戦う方法」こそがアホに対する唯一の反撃方法だと思いました。
備えとしてモビリティを持ち、そのことで心に余裕を持ち、他者をリスペクトすることで良い人間関係を生む。
目的を持って自分自身を高め続け、アホを遠ざけることでアホから「いたぶる快感」を奪う。
これこそ、まさに「賢者の反撃」と呼ぶにふさわしい!
また、時間の貴重さについても再確認できました。
アホに傷つき、アホに怒り、アホに悩まされる時間など私達には無いのです。
それこそアホの思う壺です。
人生の最後に最高の思い出を持っていけるようになることを目的に生きていきましょう。
あの世に持っていけるのは思い出だけ!
本書には、自分がアホになる可能性を減らす方法も書かれています。
それがまた有益な内容でした。
その内の1つが「本を読むこと」です。
読書って素晴らしいですね!
本書の内容は、アホとの向き合い方を学び、また、自分自身にアホが伝染ることを予防する方法も学ぶことができます。
そして、それは自分自身を高めることに繋がります。
アホも読めば何かを察するかもしれません。
厄介なアホに関わられると本当に苦しい思いをします。
そんな思いは本当に誰にもして欲しくないです。
そのため、アホも含めたすべての人に本書をオススメいたします。