イントロダクション
タイトル | : | 一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方 |
発行日 | : | 2022年11月10日 初版発行 2022年12月15日 第4刷発行 |
発行所 | : | サンマーク出版 |
著者 | : | 加藤 俊徳 |
著者情報は、上記リンクからご確認ください。 |
脳の働きから言えば、大人脳は、学生脳より上
本書によると、脳の働き方から言えば、若い頃の脳よりも大人になってからの脳の方がレベルが上なんだそうです。驚きですよね。
一体いつから大人になって記憶力が落ちたと錯覚していた?
と、私も本を読む前までは、鏡●水月を使われたのかと疑うくらい自然とそう考えていましたが、本当に錯覚に陥っていたみたいです。
加藤先生は、脳内科医、医学博士、加藤プラチナクリニックの院長をされている方で、本の内容は十分に信頼性があり、きっと我々、読者の学びをサポートしてくれること間違いありません。
オススメしたい人
- 大人になってから学び直したい人
- これから大人になる人
きっと、この本を読む前の私のように、大人になってから「資格取得を目指して勉強したい」と、やる気が湧いてきたとしても「若い時のようには、なかなか覚えられないだろうな」と思い直して挑戦する前に諦めてしまったり、諦めはしないけど、若く始めることに比べてどこかハンデを負った気持ちを抱えて勉強を開始する人は少なくないのでと思います。
この本は、そんな人たちに特にオススメしたいです。
また、人間は誰しも生きていれば年齢を重ねていくものです。そのため、これから大人になっていく若い人たちも知っておいて絶対損にならない内容となっています。
本の終わりには、「年代別 脳の取り扱い説明書」がついていて、現在の自分の年齢に合わせてすぐに実践できることも載っています。
この本は、むしろ若い人にとっての方が年齢を重ねながら実践できることが多いため有用だと言えると思います。
学べること
大人になってからの脳「大人脳」と若い時の脳「学生脳」の違いを知り、大人になってからの効率の良い大人の勉強法を知ることができます。
詳しい内容は、是非、本を買って読んで欲しいのですが、いくつか私の体験や考えを交えながら簡単にご紹介したいと思います。
ストレスを溜め込まない
この本では、脳の中で部署のような役割を果たす場所をそれぞれの役割に基づいて「脳番地」として名づけ説明してくれます。
この脳番地の内、記憶の調整役である「記憶系脳番地」の中枢を担う海馬はストレスに弱く、ストレスが原因で海馬を含めた記憶系脳番地の働きが弱くなるそうです。
これは、なんとなく体感として知っている人も多いのではないでしょうか。
私も通勤中のバスの中で学習のため本を読んでいるのですが、仕事のストレスが溜まっていると一所懸命覚えようとしても、まったく頭に入ってこないことがあります。
「ストレスを溜めない」というのは重要ポイントです。
「覚えよう」より「理解しよう」
大人になると学生時代と変わり、丸暗記ができなくなります。
そのことが「年齢とともに記憶力が落ちる」と錯覚してしまう原因になっているそうなのですが、この本当の理由は記憶力が衰えたわけではなく、大人になって記憶の仕組みが変わったことが理由で起きていることだとこの本では説明されています。
どうやら記憶の仕方には「意味記憶」と「無意味記憶」があるらしく、子どもが知らない言葉をすぐに記憶するのは「無意味記憶」の方です。
年齢を重ねて様々な経験や情報に触れるようになると、脳の「無意味記憶」へのルートより「意味記憶」のルートが優勢となっていくことで、知らない言葉に対し、記憶するより先に疑問が湧いてくるようになるそうです。
ここまで読んで、
「え?無意味記憶の方がいいじゃん!」と思った人もいると思います。正直、私も思いました。
しかし、安心してください。ちゃんと「意味記憶」を使って上手く記憶する方法がこの本には書かれています。
「意味記憶」は、先ほどの知らない言葉の例で言うと「その言葉を自分だったらどう使えるか」を理解してから記憶する仕組み。
そのため、大人になってからは、「覚えよう」より「理解しよう」と頭を働かせるのが良い方法だそうです。
私は、英語学習をしていて色々な学習コンテンツに触れているのですが、たまに「この表現は、深く考えずに”これはこういうもんだ”と覚えましょう」という説明を見聞きしたことがあります。
しかし、そうは言ってもなかなか覚えられません。
ここに「無意味記憶」と「意味記憶」の違いが出ていたのかもしれません。
(そのコンテンツ作成者さんは、若い方でした)
学習コンテンツを選ぶ際、「無意味記憶」と「意味記憶」のどちらを優先して作られているか、ということを考えることが、自分に合ったものを選ぶヒントにもなるかもしれません。
好きを近くに置く
ポジティブな感情のとき、海馬は活発に働き、入ってきた情報を「これは重要だ」と判断し長期記憶に入れてくれるそうです。
また、脳は、騙されやすいという特徴があるそうです。
その特徴を生かして脳を騙してハッピーな気持ちで勉強に取り組むことにより学習速度が2倍から4倍になるという行動上のデータがあると、この本では紹介されています。
しかも、これは「勉強そのものを好きなれ」という難しい話ではないんです。
例えば、好きなカフェに出かけて勉強することで「大好きなカフェ」+「勉強」とセットにすることでもその効果を出せてしまうのです。
勉強中は自分の好きな香りのアロマオイルを使ったり、好みの環境づくりで、そんなにすごい効果を発揮できるならすぐに実践したいですね。
なかなか身につかなくても焦らない
脳が新しい情報を受け入れて好意的に動き出すには、それなりの時間が必要ということです。
この本では、その時間はおおよそ75時間程度と書かれています。
私の場合、覚えたいことをなかなか覚えられないと上達が感じられずモチベーションが下がってしまうことがよくあるのですが、そんな時間も脳にとっては必要な時間だとわかれば焦らず頑張り続けることができそうです。
アウトプットを意識しながら勉強する
記憶力がいいというのは、覚える力も重要ですが、それ以上に大切なのは、使いたいときにいつでも覚えたことを引き出せる能力です。
ということで、この本ではその能力を高めていくための方法も書かれています。
私は英語学習をしていますが、相手が英語で話してたことを瞬時に理解したり、自分が言いたいことを瞬時に英語で話したりできることを目標にしています。
英会話で相手が話した単語をいちいち「えーと」と考えていては、会話なんて成立するわけもなく、それは私が考える理想とは程遠いものです。
覚えたことを引き出す能力を高めていく方法として、
常にアウトプットを意識した勉強法を心がけることが大切
と、この本には書かれています。
英語学習でもアウトプットが大事だと色々な学習コンテンツで言われています。
しかし、それは、ずっとスピーキングやライティングのことだと思っていましたが、この本によれば、心が動くこと(感情系脳番地)もアウトプットの一種のようです。
しかも、
感情系脳番地は、脳の前後に位置し、インプットとアウトプットの両方に関わっている
そうです。
感動する映画や音楽を題材に楽しみながら英語学習ができれば、インプットとアウトプットの両方の効果が得られたりするのでしょうか。もし、そうであれば凄いことです。
読んだ感想
本のタイトルだけ見ると
「え?脳の話だし難しい話なんじゃないの?」と思ってしまいそうです。
実際、難しい話なんだと思いますが、この本では、脳内の役割を果たす場所を擬人化して難しい話を優しく説明してくれるのでとてもわかりやすいです。
さらに活字だけではなく、マンガにして面白く説明してくれる箇所もあって、まったくストレスなく読むことができました。
この本の脳の表紙にも書かれているとおり
脳の最盛期は50代
年齢によって、何かを学ぶことを諦めていた という人でも、この本を読むことで180度考えが変わって、むしろ「のびしろしかないわ」と思える人もいるのではないでしょうか。
学び直しをする大人にとって希望が持てる内容だと思いました。