【要約】『思考の質を高める 構造を読み解く力』複雑を理解し要点をまとめる・わかりやすい説明の方法

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イントロダクション

タイトル思考の質を高める 構造を読み解く力
東大・MBA・コンサルで通用する思考技術は、小学校の国語で学んだ
2023年3月23日 第1刷発行
2023年3月23日 電子書籍版発行
発行所ディスカヴァー・トゥエンティワン
著者河村有希絵
著者の経歴等は、上記リンクからご確認ください。

文書を読むにしてもデータを分析するにしても、その構造を正しく読み解く力が無ければ真に正しい内容を理解することはできません。
他の本を読むうえでも、その内容をより深く理解するためには、本書は早いうちに読んでおくべきと考えました。
「構造を読み解く力」という言葉に惹かれ、読み解く力を高めたいと思い、手にすることにした一冊です。

オススメしたい人

  • 面接等で相手からの質問に対し的確に答えられるようになりたい人
  • 複雑な文章を時間をかけずに要点を理解できるようになりたい人
  • 情報や分析結果を論理的に解釈できるようになりたい人
  • 交渉相手の背景や心情を理解し意図を汲み取れるようになりたい人
  • わかりやすい報告書やプレゼン資料等を作成できるようになりたい人

学べること

本書では、小学国語の文章読解で学ぶ「構造学習」というものがあります。
「構造学習」について、本書では、簡単に言うと次のようになると説明されています。

書かれていることの背景にある、著者・筆者の意図を自分なりに構造的に紐解く思考の訓練

著者は「構造学習」をベースにした「構造の読み解く力(構造読解力)」を提唱しています。
これにより、大人でも読解を通じて論理や心情を読み解き、自身の思考を組み立てることができるようになります。

「構造読解力」は次の3つのメソッドで構成されています。

  1. 論説文章を読んで、論理を読み解く
  2. 物語、情緒的文章を読んで、人の心情を読み解く
  3. 思考を組み立てて、解釈する/アウトプットする

アウトプットに関しては、1と2を総合して文章やプレゼンを組み立てることです。
この記事では、アウトプットの前提となる「文章の構造を読み解く」「人物の心情を読み解く」に焦点を置き、私が実践した内容を記載しています。
本書で紹介される「構造読解力」の内容と魅力が伝わってくれると良いなと思います。

本書では「ごんぎつね」等の文章を教材を使い、優れた解説付きで「構造読解力」を鍛えることができます。
より高度な技術を身につけたいと思う方は、本書を購入して読んでいただくことをオススメします。

文章の構造を読み解く

「文章構造の読み解き」について、次にその工程を提示します。

  1. 段落に番号を振る
  2. 内容にまとまりのある段落をまとめて文章を分ける
  3. 文章のテーマが何かを大きくつかむ
  4. テーマに向かって、段落のまとまりごとの要点を整理する
  5. 段落間の関係を図示するなどして文章の構造を考える
  6. 文章がどのような文脈でそのテーマに対して答えて結論を出しているかをつかむ

ここでは、その一例を示したいと思います。
次の例文を使ってやってみましょう。

素晴らしい発明

  1. ある日、小学生のプコは、クラスメイトと一緒に実験をしていた。彼らは、アルミ箔をたたんで何度も繰り返すと、硬くなることに気づいた。
    「もし、これを機械的にやったら、大量に製造できるかもしれないね!」と、プコは考えた。

  2. プコは、自宅に帰ってからも、アルミ箔をたたむ実験を繰り返し、その結果をノートに書き留めた。そして、彼は自分の部屋で、小さな機械を作り始めた。

  3. 数日後、プコは完成した機械を使って、アルミ箔を自動的にたたき始めた。その結果、硬いアルミ板ができあがり、彼は大喜びした。
    この発明がきっかけで、プコは世界的に有名な発明家になり、多くの人々が彼の発明品を利用するようになった。

  4. プコは、自分が行った実験と、自分で作った機械を通して、大切なことを学んだ。それは、何かを実現するためには、自分で考え、試行錯誤し、挑戦し続けることが必要だということであった。
    彼は、自分が子供の頃から繰り返し行ってきた、試行錯誤の積み重ねが、大きな成果を生むことを実感したのであった。

1.段落に番号を振る

「段落に番号を振る」は、既に行っています(以下、「形式段落」と言います)


2.内容にまとまりのある段落をまとめて文章を分ける

続いて「内容にまとまりのある段落をまとめて文章を分ける」を行います。
文章を文脈的な意味のまとまりである「意味段落」にまとめます。

  1. プコの発明とは何か?
  2. プコの実験と彼の成功の秘訣
  3. プコが学んだ重要なこと

意味段落Aに相応するのは、形式段落Iです。
形式段落Iは、プコが発明を思いついた瞬間を描写しています。
つまり、プコの発明に関する情報を提供しています。

意味段落Bに相応するのは、形式段落I,II,IIIです。
形式段落Iは、プコが発明を思いついた瞬間を描写しています。
形式段落IIは、プコが発明を試作品に変えるためのアイデアを思いついたプロセスを描写しています。
形式段落IIIは、プコが実験を開始し、成功するまでの過程を描写しています。
つまり、これら3つの形式段落は、プコが実験を行って成功した秘訣についての情報を提供しています。

意味段落Cに相応しているのは、形式段落IVです。
形式段落IVは、プコが失敗した後、再び実験を行うための新しいアプローチを考えるプロセスを描写しています。
つまり、プコが学んだ重要なことについての状況を提供しています。

3.文章のテーマが何かを大きくつかむ

続いて「文章のテーマが何かを大きくつかむ」を行います。
するとテーマは次のようになります。

成功への道を開く方法



4.テーマに向かって、段落のまとまりごとの要点を整理する

続いて「テーマに向かって、段落のまとまりごとの要点を整理する」を行います。
すると次のようになります。

  1. プコの新発明
  2. 発明のアイデアの思いつき
  3. 実験と失敗の連続
  4. 成功への道


5.段落間の関係を図示するなどして文章の構造を考える

次に「段落間の関係を図示するなどして文章の構造を考える」を行います。
すると次のようになります。

文章全体の流れを上から下へと示しています。
形式段落IからIVまでがそれぞれの順番に繋がっている様子が表されています。


6.文章がどのような文脈でそのテーマに対して答えて結論を出しているかをつかむ

次に「文章がどのような文脈でそのテーマに対して答えて結論を出しているかをつかむ」を行います。

この文章は、プコの新しい発明に挑戦する姿勢と、失敗を通じて成功にたどり着くことの重要性を示しています。
具体的には、プコが発明を思いつき、実験を重ねる中で失敗を繰り返し、最終的には成功への道を見出すというストーリーが描かれています。
これにより「成功への道を開く方法」とは「失敗を恐れずに挑戦し、諦めずに努力し続けること」であると結論を出しています。

人物の心情を読み解く

相手の立場に本当に立とうとするならば、可能な限りその相手の背景や経験を知り、推し量り共感する必要があります。
そのためには「人を読む力」が重要となります。
「人を読む力」は、構造学習的な物語の読解を通じ、人を読むことの疑似体験をすることで鍛えることができます。

次に「人読み力を鍛える方法」を提示します。

  1. 主人公になりきる
  2. 主人公以外の人物になりきる

ここでは、その一例を示したいと思います。
主人公や気になる脇役の心情を口語で書いてみます。
次の例文を使ってやってみましょう。

プコとプニのおいしい冒険

ある日、小グマの男の子のプコは森で新しい友達に出会いました。彼女の名前はプニでした。プコとプニはとても仲良くなりました。

ある日、二人はお腹が空いていることに気づきました。プコは甘いミツバチの巣を探しに行こうと提案しましたが、プニは甘いベリーを探しに行こうと提案しました。

最初は互いの提案に反発しましたが、プコはプニの提案を聞いてみることにしました。プニもプコの提案を聞いてみることにしました。

プニが見つけたベリーはとても美味しく、プコが見つけたミツバチの巣はとても甘かったです。彼らはそれぞれの食べ物を分け合って楽しんだのです。

二人は話し合うことで、良い解決策を見つけることができました。プコとプニはとても仲良くなり、二人でいろいろな冒険をすることになりました。


1.主人公になりきる

感情移入しやすい主人公の気持ちを想像して口語で文章にする方法です。
次の文章の場面でのプコの気持ちを書いてみましょう。

最初は互いの提案に反発しましたが、プコはプニの提案を聞いてみることにしました。

私は、次のように考えました。

プニは出会ってから新鮮で興味深い話をたくさんボクにしてくれたよな。
ボクが提案しているミツバチの巣の味には自信があるけれど、プニが提案するベリーも気になってきたぞ。
もっとプニの話を聞いてみよう。何よりプニはこんなにいいヤツなんだから。


2.主人公以外の人物になりきる

主人公への感情移入は比較的容易なので脇役になりきってみるのも良い方法です。
次の文章の場面でのプニの気持ちを書いてみましょう。

プコが見つけたミツバチの巣はとても甘かったです。

私は、次のように考えました。

わぁ、すごく甘いミツバチの巣!こんなに甘いハチミツの巣をが採れる素敵な場所を探せるなんて、プコくんはすごいなぁ。ありがとう、プコくん!

物語では、主人公の「敵かな?味方かな?」なポジションのキャラクターが登場することがあります。
本書では、そんなキャラの背景や気持ちは想像しがいがあるとオススメしています。

読んだ感想

上記では、本書から学べることを、本書に無い例文を使い実践した内容を記載いたしました。
ただ文章を読むだけに比べて、深く内容を理解することができることを実感することができました。
要点を分かりやすく整理できていると思います。
この形までもっていけるとインプットもかなり楽になるのではないでしょうか。
また、誰かに「これは、どんな話?」と質問されたときでも的確に説明(アプトプット)することができる状態になっていると思います。
少しでも「構造読解力」の魅力が伝われば幸いです。

私は、曖昧ですが小学校で「構造学習」の授業を受けた記憶があります。
その時は「構造学習」の内容が「何故必要なのか」わからずに授業を受けていたと思います。
おそらく、そこまで複雑な文章に出会い、そして、それを理解しなければならない場面に遭遇したことが無かったためかもしれません。
「構造学習」の内容は、小学生等の早い時期に知ることに意味はあることだと思います。
しかし、その真価に気が付くことができるのは、ある程度、大人になった後なのかもしれません。
「構造学習」の内容は、大人になってからでも十分に学ぶ意味があります。
「構造学習」は、どんな複雑なものでもその構造を手順を踏んで読み解くことにより理解することができることを教えてくれます。
(それだけに小学国語で行う内容であるのは驚きでした)
大人になってからの学び直しを可能とする本書は、多くの人にとって価値あるものだと思います。

本書は、この記事で示したような簡単な例文ではなく、もっと複雑な構造の文章を使った「文章構造の読み解き」を行い、その方法や魅力を伝授してくれます。
また、日ごろの読書を訓練に活かす方法等も教えてくれます。

是非、多くの方に読んで欲しいと思える、おすすめの一冊です。

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