【要約】『瞬考 メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す』AIを使いこなす究極スキル

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イントロダクション

タイトル瞬考 メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す
発行日2023年6月5日 第1刷発行
発行所かんき出版
著者山川 隆義
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

上記の本書の紹介ページを見ると「YOASOBIはなぜヒットを連発できるのか?」とあります。
そのヒットの秘訣をビジネスにも活かせる内容なら読んでみたいと思いました。
さらに表紙には「AIを使いこなす究極のスキル」とあります。
AIは、今後もすごいスピードで進化していくことは間違いありません。
「AIを使いこなす」ことは、ビジネスパーソンの必須スキルです。

これは、読むしかない!

・・・そう思い、私は本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • 人から信頼され、意見を求められる存在になりたい人
  • 仮説構築能力で最高レベルのアウトプットを生み出したい人
  • 「この人と一緒に仕事をしたい!」と思ってもらえる存在になりたい人
  • ビジネスプロデューサーとなり「勝ち組」になりたい人

学べること

世の中は、インターネットによって、モノだけでなく、人も含め、あらゆるものがつながっています。
本書では「つながった時代」と呼んでいます。
「あらゆるものがつながっている」ということは、そこには少数の「選ぶ側」と圧倒的多数の「選ばれる側」が生まれることになります。
「選ぶ側」は、物事を実現していく「ビジネスプロデューサー」です。
「選ばれる側」は、物事を実現していくにあたって、その一部を担当する「スペシャリスト」です。

本書は「選ぶ側」である新しい時代の職種「ビジネスプロデューサー」になる方法を伝授してくれます。
「瞬考」とは、そのための重要なスキルです。
ここでは、本書の内容について私の解釈で簡単にまとめたものを掲載しています。

「ビジネスプロデューサー」となり「勝ち組」になるためには、「瞬考」を完璧にマスターする必要があります。
本記事を読んだだけでは、「瞬考」の真の魅力や実力をお伝えするには不十分です。
そのため、「勝ち組」になりたい人は、本書を購入して読んでもらうことが必要です。

瞬考のポイント

「瞬考」とは、仮説を一瞬ではじきだすための思考法です。

瞬考の要諦
次の6つが本書でたびたび登場する重要なポイントです。

  1. 求められる仮説とは「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」
  2. 仮説構築をするためには、事実が起きたメカニズムを探る必要がある。メカニズム探索では、「歴史の横軸」「業界知識の縦軸」そして、その事実が起きた「背景」を意識する。
  3. 導き出した仮説を「メカニズム」として頭の中に格納し、それらをアナロジーで利用する
  4. 事例などのインプット量が仮説を導き出す速度と精度を決める
  5. 「一を聞いて十を知る」人ではなく、「一を聞いて十を調べる」人が仮説を出せるようになる
  6. あらゆる局面でエクスペリエンス・カーブを意識する
『第2章 一瞬で仮説をはじき出す「瞬考」 瞬考のポイント』より

この6つの重要ポイントを一括で鍛え上げる方法があります。
それは、本書で「四季報丸暗記」と呼ぶ方法です。
「四季報丸暗記」とは、会社四季報の10年分の情報を丸暗記することです。
「四季報丸暗記」では、本記事の内容や、本記事では触れきれない大事なこともインプットすることができます。

YOASOBIはなぜヒットを連発できるのか?

例えば、あなたが新米の音楽プロデューサーだったとします。
「YOASOBIを超える音楽ユニットのコンセプトを来週中に考えてください。」
そう言われた時、あなたは瞬時にこのお題に対する仮説を出せるでしょうか?


YOASOBIという音楽ユニット
2020年、YOASOBIの「夜に駆ける」は、その年のBillboard Japan Hot 100の年間首位を獲得しました。
YOASOBIは、トップアーティストとしての地位を築き、その後もヒットを連発しています。

YOASOBIの楽曲の制作方法
一般的に、アーティストは自身の経験をもとに作品を作ることが多いです。
YOASOBIは、それとは異なり「小説を原作」にして楽曲を作っています。

小説は、オンライン上にも多く公開されています。
つまり、楽曲の「原石」が無限に転がっていると言えます。
このことから、YOASOBIには「ネタ切れ」という概念がありません。
若者が作る小説をネタにすることで、若者だけが持つ感性を取り入れた楽曲製作が可能です。

YOASOBIのMVの制作方法
YOASOBIは、アニメーションをつけて配信しています。
「夜に駆ける」のアニメーションは、当時、東京藝術大学に在学中だったクリエーター・藍にいなが製作したものです。

YOASOBIの「楽曲のヒットの法則」
原作は小説、アニメーションはアニメーター、作詞作曲はAyase、歌い手はikura というように、すべてのパートが分業されています。
YOASOBIは、かつてのアーティストが直面していた楽曲製作の課題を分業体制によって解決したのです。
優良なクリエーターとつながっていると、小説、アニメーションは、世界中から募集できます。
そして、その中から「最高のもの」を選択することができます。
一度大きなヒットが出ると、世界中のクリエーターからオファーが来る可能性があります。
自分の能力だけでなく、世界中の能力を使い、YOASOBIはこれからもヒットを出し続けるでしょう。
ちなみに、K-POPでは既に世界中のクリエーターから作詞・作曲等を募集してスクリーニングを行っています。
BTSのような世界レベルのアーティストになると、世界中から音楽の提供があります。

「YOASOBIを超える音楽ユニットのコンセプトを来週中に考えてください。」
この問いに対し、上記の内容が頭に入っていれば、何らかの仮説が湧いてくるような気がしないでしょうか。
その理由は、ありていに言えば「知っている」からです。
知っていることは、すぐに思いつけるのです。
「知っている」ということは、インプットが行われた結果です。
この重要性に気づくことが、瞬考ができるようになるための第一歩なのです。

また、同じようなアーティストを作り出そうとする際、世界中のクリエーターとつながり、彼らが生み出す作品を「統合」できる優れた存在が決め手になるという仮説を考えられるでしょう。
この存在こそが「ビジネスプロデューサー」です。

「ビジネスプロデューサー」と「スペシャリスト」

「選ぶ側」 と 「選ばれる側」
「スペシャリスト」とは、前述のとおり物事を実現していくにあたり、その一部を担当する存在です。
「市場価値を高めるために、スペシャリストを目指そう」という論調があります。
自分の人生に真剣に向き合おうとするビジネスパーソンは、スペシャリストとしての技量を高めようとしています。
しかし、時代は加速度的に変化しています。
仮に努力の末、スペシャリストとしてトップのポジションをとれたとしても、自分の専門分野が、急に不要になってしまう日がくるかもしれません。
また、昨今のChatGPTをはじめとする生成AIの出現により、その仕事をする存在が必ずしも人間である必要がなくなる可能性もあります。
これが「選ばれる側」のリスクです。

「ビジネスプロデューサー」とは、「つながった時代」のビジネス世界において、物事を実現するために必要なアクションを最小限の単位に因数分解し、その最小単位に必要なスペシャリストを当てはめていく存在です。

極端な話、世界規模でトップオブトップのスペシャリストを探し、彼らをキャスティングして最高のアウトプットを生み出すビジネスプロデューサーの勝ち組と、誰の力も借りることもできず、単体で、スタンドアローンで最低レベルのアウトプットしか生み出せない負け組の二極化していくことが予想されます。
「勝ち組」となるためには、「ビジネスプロデューサー」を目指さなければなりません。

ビジネスプロデューサーへの道のり

「瞬考」と「ビジネスプロデューサー」は、切っても切り離せないものです。
ビジネスプロデューサーは、人、モノ、金など、あらゆる資源を集め、統合していく必要があります。
その起点になるものが「瞬考」です。

人をキャスティングしようと思った場合、他人から次のように思ってもらえるようにならなければなりません。

  • 「この人は面白い」
  • 「この人がやろうと思うなら手伝いたい」
  • 「この人であれば自分のネットワークを紹介したい」

そのためには、自分自身にも実力がなければなりません。
他人の心を動かせるような「相手が知らなくて、かつ、知るべき」仮説を瞬時に唱えられる実力がなければなりません。
力を貸してくれた人と一つ一つの仕事を丁寧に完遂していくことで、ネットワークがコツコツと積み重なっていきます。
ネットワークが広がっていくと「この問題はこの人に聞けば、一瞬で解決できそうだ」というような仲間が増えていきます。
そうしながら「誰が、何を知っているか(解決できる、得意な分野)」を把握していきましょう。
そうすることで、言わば「バーチャル知識ネットワーク」が構築され拡張されていきます。

問題への向き合い方について、本来、自分の頭脳だけで解決策を考えます。
この場合、問題の特定に長い時間を要するかもしれません。
ですが、「バーチャル知識ネットワーク」が構築されている場合、その問題解決に長けた人に電話一本かけるだけで、たった数分で問題の特定だけでなく解き方まで一瞬でわかってしまうのです。
両者の差は永遠に埋まることはありません。

しかし、現実論として、ほとんどの人は、いきなりビジネスプロデューサーになることはできません。
まずはスペシャリストとしての最低基準の要件を満たした人材を目指すことがスタート地点となります。
最低基準の要件とは、「丸投げされても成果を出せる人」になることです。
この最低基準の要件を満たしたスペシャリストになることによって、周囲の人は自分の話を聞いてくれるようになります。
そして、コミュニケーションによって信頼を得ることによりネットワークは構築されていくのです。

瞬考の土台となるのは「インプット」

仮説を出す際、インプットの重要性は、YOASOBIの例で示したとおりです。
インプットすることは、仮説構築力の源泉です。
インプットを怠り情報が頭に入っていない状態では、全体像が見えず仮説が湧いてくるはずがありません。
つまり、YOASOBIの例のように、瞬考のためには当該分野のインプットを多数しなくてはなりません。

瞬考とは、さまざまなデータを頭にインプットし、そのデータを頭の中に並べながら、世の中や業界がどのように動いているのかの全体像を把握し、打ち手を考えることです。
データをインプットすることで、頭にランドスケープが描けなければなりません。

「一を聞いて十を知る」ということわざがあります。
「十を知る」ことができるのは、多くのデータが頭に入っているからであり、すなわち仮説をすぐに出せるからと考えます。
「一を聞いて十を知る」人は、既にたくさんのことを知っている人ということになります。
しかし、どんな人間でも初めから博識であるわけがありません。
「一を聞いて十を知る」人の正体は、「一を聞いたら、その周辺知識まで目を向けて十を調べる習慣がある人」なのです。

インプットには、事例を含みます。
事例のインプットを増やすことによって、それらの共通部分、非共通部分が見えやすくなります。
差分が見えやすくなれば、そこからメカニズムがわかるようになります。
また、すべての物事には「背景」があります。
事例をインプットするときに、その背景について思考することも大事です。
背景にも「なぜそうなったのか」というメカニズムが隠されています。
それを見つけることができれば、課題の原因に対処する打ち手を考えることに役立ちます。

そして、メカニズムがわかれば、アナロジー(ある事柄をもとに他の事柄をおしはかって考えること)が使えます。
アナロジーを使えば未来を予測することも可能です。

このようにインプットしたデータをもとにメカニズムを見つけ、そのことを起点にして豊かな発想が可能となります。

読んだ感想

当ブログの話ですが、以前はアイキャッチ画像にはフリーで公開されている画像を使わせていただいておりましたが、少し前から生成AIにお願いしています。
つまり、本ブログの作成は、生成AIとの分業体制で行っております。
分業体制というところは、YOASOBIと同じです。
「だから何?」と思われるかもしれませんが、言ってみたかっただけで特に意味はありません。

生成AIに良い指示を出すためには、Promptの書き方が重要です。
この指示出しがうまくできないと自分のイメージに近い画像を描いてくれません。
ちなみに今回のアイキャッチ画像は、「アイドル」をイメージして描いてもらっています。

何を言いたいのかというと、AIにはPromptを書き換えて何度も何度も違う指示を出して動いてもらうことが可能ですが、人間相手に同じことをしたらブチ切れられること間違いなしだと思います。
AIと人間を比べたとき、生成スピードの他にこの「指示出しの気軽さ」についてもAIが勝ってしまうところだと感じています。
これからどんどん人間の作業がAIに置き換わっていくのでしょう。
これが「選ばれる側」のリスクです。
スペシャリストの立場として、AIを敵視するのではなく例えば「絵筆をうまく扱う技術」を「Promptを上手く扱う技術」に置き換える等してAIとうまく付き合っていくことが必要になっていくのかもしれません。
(そうは言っても、苦労して習得した技術を簡単に置き換えなどできないと思いますが…)
AIと良い関係を築き、AIに良い指示を出すためにスペシャリストとしても仮説構築能力は重要です。

現在ではまだまだ人間が行った方が良い作業の方が多いと思います。
人間に作業を行ってもらう場合も本当に良いものを作るためには試作を繰り返して何度も何度も挑戦するということはあるでしょうが、さすがにAIにするような見切り発車的な指示はできません。
人間が動く場合は、それだけでコストがかかります。
試行錯誤のコストを減らすために、指示を出す人に求められることは、早い段階で最終形態に近い効果的なアウトプットイメージを築き上げることだと思います。
まさに「瞬考」の技術です。

データ分析はAIの得意分野なので「瞬考」自体もAIがしてくれる時代がいつかやってくるのかもしれません。
ですが、現在のChatGPTのように非エンジニアでも利用できる一般化されたサービスとして誕生するのは、まだまだ遠い未来のことだと思います。
さらに人と信頼関係によってネットワークを築き、拡張していくことをAIができるようになるのは、さらにもっともっと先のことになるでしょう。
そのため、ビジネスプロデューサーという職種はとても生命線の長いものになると予想されます。

本書では、YOASOBIの事例以外にもゲームや半導体等、複数の事例が掲載されているため、読めば「瞬考」の使い方や効果をよりイメージしやすくなると思います。
また、事例は各企業が戦略で鎬を削る内容でもあって純粋に面白いと感じました。
誰かに話したくなる内容です。
最高のアウトプットを生み出していきたいと考えるすべての人に本書をオススメします。

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