【要約】『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる 「仕事ができる人」になる思考力クイズ51問』

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コミュニケーション・人間関係

イントロダクション

タイトル「解像度が高い人」がすべてを手に入れる
「仕事ができる人」になる思考力クイズ51問
発行日2024年3月3日 初版第1刷発行
2024年4月1日 電子第1版発行
発行所SBクリエイティブ
著者権藤 悠
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

ビジネスの分野で聴くようになった「解像度」という言葉。
本来の意味から想像して、ビジネスの場でも何を言いたいのかはだいたい理解することができます。
不自由していなかったので、特に認識があっているか確かめてはいませんでした。

しかし、それでいいのか?

書店で本書と出会い、自分の認識が正しいのか確かめてみたくなりました。

そう思い、本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • 問題発見能力や問題解決能力を磨きたい人
  • ユニークで鋭い洞察ができるようになりたい人
  • 分析力のある人間になりたい人
  • 自分の考えを相手にわかりやすく伝えたい人

学べること

「話がふわっとしている」
「既視感がある」
「ピンとこない」

こんな風に言われた、思われてしまった経験はないでしょうか。
その理由は、「解像度が低い」ためです。

この本書のタイトルにも使われている「解像度」について、ご存じの人も多いと思いますが、そうでない方のために説明しておきましょう。

解像度とは、画像を構成する要素=「画素(ピクセル)」の数(画素数)を指します。
つまり、解像度が高ければ高いほど画像は精細な高品質なものになり、逆に解像度が低ければ画像は粗くぼやけた低品質なものになります。

  • 「解像度が高い人」は、「鮮明な画像」のように物事が細かく、広く「見えている」
  • 「解像度が低い人」は、「ぼやけた画像」のように、思考が曖昧で、ほとんど何も「見えていない」

「解像度が高い人」と「解像度が低い人」では、同じものを見ても「見えている世界」がまるで違ったものになります。

そして、「解像度が高い人」は、「仕事ができる人」なのです。

解像度が高い人=仕事ができる人

本書では、会社の上位1%にいるような「仕事ができる人」になるために「解像度が高い人」になる方法を学ぶことができます。
ここでは、本書の内容の一部について、私の解釈で簡単にまとめています。

『解像度が高い人』の特徴

「解像度が高い人」とは、会社の上位1%にいるような「仕事ができる人」です。
「仕事ができる人」とは、次のような人のことをいいます。

  1. 「他の多くの人には発見できない問題」を見つけられる
  2. 「他の多くの人には気づけない解決策」を見つけられる
  3. 他の多くの人には見えない「問題」や「解決策」を「他の多くの人にも見えるように伝えられる」

「仕事ができる人=解像度が高い人」には、次の3つ特徴があります。

  1. 99%の人には見えない所まで「物事が細かく見えている」
  2. 99%の人には見えない「ユニークで鋭い洞察を得ている」
  3. 99%の人にも見えるよう、「物事をわかりやすく伝えられる」

この力は、AI時代における人間の価値でもあります。

以下では、この「解像度が高い人」の3つの特徴について説明します。

99%の人には見えない所まで「物事が細かく見えている」

「物事を細かく見ること」とは、「画素数を増やす」ことを意味しています。
そして、「画素数を増やす」ために必要なことは、「具体化思考力」です。

「具体化」とは、「1つの事柄や概念を、違うもので分ける」ことです。

具体化=1つの事柄や概念を、違うもので分ける

例えば、「生物」でこれを説明しましょう。

図 「具体⇆抽象思考力ピラミッド」
(この図は、『第2章 どうしたら解像度は高まるか?「高機能の思考レンズ」を手に入れる』に掲載の図を参考に作成しています)

生物は、「動物」「植物」「菌類」…と分けることができます。
さらに動物は、「哺乳類」「魚類」「鳥類」…と分けることができます。
こうやってどんどん分けていきます。
本書では、これを「ピラミッドを上から下に下がる」と表現します。

このように「具体化」とは、「似ているけれども、違いのあるものを分ける」ことです。
つまり、これが「物事を細かく見る」ということになります。

99%の人には見えない「ユニークで鋭い洞察を得ている」

「ユニークで鋭い洞察を得ている」とは、「画像幅を広げる」ことを意味しています。
そして、「画像幅を広げる」ために必要なことは、「抽象化思考力」です。

「抽象化」とは、「違うもの同士の共通点を見つける」ことです。

抽象化=違うもの同士の共通点を見つける

すなわち、抽象化思考は、共通する要素「本質を正しく見極める能力」であると言えます。
例えば、「具体⇆抽象思考力ピラミッド」で示した「具体化⇆抽象化」の例の「サイ」「ライオン」「ゾウ」でこれを説明しましょう。

図 「具体⇆抽象思考力ピラミッド」
(この図は、『第2章 どうしたら解像度は高まるか?「高機能の思考レンズ」を手に入れる』に掲載の図を参考に作成しています)

サイ、ライオン、ゾウの共通点は、「哺乳類」です。
さらに哺乳類、魚類、鳥類の共通点は、「動物」です。
このように共通点を見つけて「具体化」の逆をしていきます。
本書では、これを「ピラミッドを下から上に上がる」と表現します。

この「抽象化」が「鋭い洞察」につながる理由は、少し説明が必要でしょう。
「鋭い洞察」とは、複数の成功例から共通点を見つけることで導き出されるものなのです。
ポイントは、1つ1つの成功例の見えやすい表面ではなく、すべての成功例に共通する見えづらい部分を見つけようとすることです。

99%の人にも見えるよう、「物事をわかりやすく伝えられる」

「物事をわかりやすく伝えられる」とは、話す相手に応じて「具体(的な話)」と「抽象(的な話)」を調整しながら話す力があることを意味しています。
そして、その力のために必要なことは、「具体⇆抽象思考力」です。

「具体⇆抽象思考力」とは、「具体化」と「抽象化」を行き来することです。

具体⇆抽象思考力=「具体化」と「抽象化」を行き来する力

つまり、「具体⇆抽象思考力」には、「具体化思考力」「抽象化思考力」の両方を使いこなせなければなりません。

人は、誰もが同じ解像度で世界を見ているわけではありません。
相手の解像度に合わせた話をしなければ、たとえ何一つ間違ったことを言っていなくても伝わりません。
「物事をわかりやすく伝えられる」とは、「具体⇆抽象思考力」レベルを相手と合わせるということなのです。
この解像度の合わせ方のポイントは、相手の「具体に合わせる」ということです。

「解像度が高い人」になるための思考法のコツ

上述のとおり、「解像度が高い人」になるためには、次の3つの思考力を鍛える必要があります。

  1. 具体化思考力
  2. 抽象化思考力
  3. 具体⇆抽象思考力

人は、問われることによって、思考を深める生き物です。
この3つの思考も「問う」ことによって加速させることができます。
本書では、この3つの思考力を鍛える方法として「クイズ形式」を採用しています。

ここでは、本書で紹介される思考法のいくつかのコツについて説明します。
このコツを使って様々なものに対して瞬時に解像度を高めるトレーニングをしましょう。

「具体化思考」のコツ

「具体化」とは、「似たもの同士の違い」を見つけることです。
そのために「具体化思考」は、「具体⇆抽象思考力ピラミッド」を使い「ピラミッドを上から下に下がる」をやっていきます。

「具体化思考」では、次のコツがあります。

  • 「具体⇆抽象思考力ピラミッド」の階層を深くする
  • 相違点探し
「具体⇆抽象思考力」ピラミッドの階層を深くする

抽象的な概念を対象に解像度を高めたい場合、「具体⇆抽象思考力ピラミッド」の頂点に対象物を据えて下段となる内容を考えます。

例えば、「原因分析」のために解像度を高めたい場合、「具体⇆抽象思考力ピラミッド」を5段階に分解します。
ここまで分解できたら、次は原因がどこにあるのか見ていきます。
そうすれば「本当の原因」を突き止めることができるでしょう。
必要に応じて、数値化して見ていくことも大事です。

もし、思考法トレーニングをしたい場合は、これを「瞬時」に「5つ」等の目標数を決めて挙げるようにしましょう。
「瞬時」に答えを出そうとすることは、瞬発力を高めることができます。
また、「5つ」という縛りを設けることは、無理やりにでも答えを出そうとすることで思考力を高めることにつながります。

相違点探し

単体の対象を具体化したい場合、対象に似たものをぶつけて比較します。
似たもの同士を比較することで、単体では難しい対象でも具体化がしやすくなります。

比べる際は、「5W1H」を軸として使うと違いが見えてきやすくなります。
「When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)」、具体的には「Whom」も加えて軸として使ってみましょう。

「抽象化思考」のコツ

「抽象化」とは、「違うもの同士の共通点」を見つけることです。
そのために「抽象化思考」は、「具体⇆抽象思考力ピラミッド」を使い「ピラミッドを下から上に上がる」をやっていきます。

「抽象化思考」では、次のコツがあります。

  • 全く違うもの同士を比較する
  • 分類
全く違うもの同士を比較する

2つの対象を比較し共通点を見つけたい場合、「具体⇆抽象思考力ピラミッド」に対象物を組み込み上段となる内容を考えます。

例えば、物事の背景に隠された「本質」を見抜きたい場合、一見すると全く違うもの同士の中に共通点を見つけるように考えましょう。
もし、共通点が見えにくい場合は、具体化思考も組み合わせて使うことができます。
それぞれの対象を「抽象→具体」により具体化して細かく定義した内容を比較します。
「5W1H」を使って視点をそれぞれの要素にずらし、要素ごとに比較する方法も良いでしょう。
そうすることで、共通点が浮かび上がってきます。

分類

抽象化の基本は、2つのものの共通点を探すことです。
しかし、現実世界ではわかりやすい共通点をもった2つが、いつでも都合良く揃っているわけではありません。
また、2つよりもっと多い対象から共通点を探らなければならない場合もあります。
そんなときに使えるコツが「分類」です。
分類の仕方は、例えば対象が4つあれば「2対2」でもいいですし「3対1」「1対3」でもいいです。
まず分類することによって1度の比較対象を少なくして共通点を探しやすくすることができます。

「具体⇆抽象思考」のコツ

「具体⇆抽象」とは、「99%の人には見えないもの」を99%の人にも見えるようにすることです。
そのために「具体⇆抽象思考」は、「具体⇆抽象思考力ピラミッド」の「最具体」と「最抽象」の中間を描いていきます。

「具体⇆抽象思考」では、次のコツがあります。

  • 具体と抽象を比べて、間を問う
  • 比喩
具体と抽象を比べて、間を問う

対象について、わかりやすく相手に伝えたい場合、関連する「最具体」と「最抽象」を考えます。
この2つの対象の「具体⇆抽象思考力ピラミッド」を構築し、構造を比較し共通点を見つけます。
「具体⇆抽象思考力ピラミッド」を「最抽象」から下りていくか、「最具体」から上っていくかは、どちらでも良いので慣れている方から行いましょう。

比喩

対象を一度抽象化するように「具体⇆抽象思考力ピラミッド」を構築します。
それから、そのピラミッド構造を持ち、かつ、多くの人が知っている言葉にたとえます。
そうすることで多くの人にわかりやすくすることができます。

抽象化することには、いろいろな切り口があります。
具体化することで初めて伝わりづらい切り口だったことに気が付くことがあります。
その場合は、自分の最初のこだわりを捨て、何度も試行錯誤を繰り返すプロセスが大事です。

読んだ感想

本記事の冒頭でも書いたとおり、本書を手にした理由はビジネスの場で使われる「解像度」という言葉が自分が認識しているものと一致するかを知るためでした。

結果、概ね一致していたと思います。
しかし、「抽象化」については違っていました。

私の考えでは、解像度を下げることで画像に描かれた絵の輪郭がわからないくらい粗くし、そこを自分の想像で補填することで新しい別の何かを生み出すという創造性をイメージしていたのですが、本書を読む限り違ったようです。
本書を読んで世間一般での使い方を知ることができて良かったと思います。

また、本書を読んで思い出したことがありました。
職場で、私が○○について説明したいと思ったことがありました。
相手に伝わりやすくするために「○○は、たとえると△△のようなことです。」と比喩を使い説明しました。
そうすると、だいたい伝わる人もいるのですが、しかし伝わらない人もいるのです。

「いま○○の話をしているのに、なぜ△△の話が出てくるのですか?」

と質問してくる人がいました。

めんどくさい人だな。

と思ったことがありました。

本書を読んで、これが起きた理由がわかりました。
彼に伝わらなかった理由は、おそらく「解像度の違い」。
これは、同じものを見ても「見えている世界」がまるで違うということの体験だったのでしょう。

わかりにくい表現でしたね。今のは気にしないでください。

と、そのとき伝わらなかった彼への説明を諦めてしまいました。
もし、彼にも理解してもらいたいと思った場合は、自分の解像度を彼の解像度に合わせる必要があったのでしょう。
本書を読んで「解像度を調整して相手に合わせる」という新しい発見を得ることができました。

これができなかったということは、残念ながらというか、やはりと言うべきか、私は99%の中に入る人間だったようです。
しかし、本書を読むことで1%の「仕事ができる人」になるために足りないものを知ることができました。

本書では、「解像度を高める」ための思考のトレーニング方法も掲載されています。
本書は、「仕事ができる人」になるために、しっかり具体化した内容を学ぶことができる良本だと思います。

 
思考を加速させるのは、「問い」。
自らの思考に方向性をつけるために「問い」が重要であることを本書を読んで再確認しました。