【要約】『僕たちはまだ、インフレのことを何も知らない』インフレ下で資産を守るための6つの格言

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イントロダクション

タイトル僕たちはまだ、インフレのことを何も知らない デフレしか経験していない人のための物価上昇2000年史
発行日2024年3月5日 プリント版第1刷発行
2024年3月5日 電子版発行
発行所ダイヤモンド社
著者スティーヴン・D・キング
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

インフレ?

最近、さまざまなモノの値段が上がっていますよね。
これは、日本はインフレになったということなのでしょうか?
インフレになったら、いったいどうなってしまうのでしょうか?
「僕たちはまだ、インフレのことを何も知らない」という本書のタイトル。
――そう、私はインフレのことを何も知りません。

先のことはわかりませんが、日本に住む私たちにとってもインフレに備えた知識は今後、必須となることは間違いないでしょう。

そう思い、本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • インフレとは何かを知りたい人
  • インフレの何が問題なのかを知りたい人
  • インフレになると世の中がどうなるのかを知りたい人
  • インフレ下で資産を守る方法を知りたい人

学べること

本書は、インフレの原因と影響について解説した本です。
インフレにまつわる歴史を振り返り、その背景からインフレの謎を解き明かしていきます。
世界が忘れてしまったインフレの恐怖を学ぶ、現代人の必読書と言えるものです。

ここでは、本書の内容の一部について、私の解釈で簡単にまとめています。

そもそもインフレとは何か?

インフレとは、お金の価値が失われていくこと

「インフレ」とは「インフレーション」の略であり、物価が上昇傾向になることを指します。
これは、「お金の価値が失われていくこと」を意味します。

たとえば、毎月のお小遣いの1,000円で本を購入している女の子がいたとします。
毎月、この女の子は書店に行き、自分が読みたい本を探します。
しかし、ある頃から1,000円で本を購入することが難しくなってきました。
本を探して店内を見て回ると、自分が1年前に買った本を見つけました。
その本の価格を見て、女の子は驚きました。
自分が1,000円で購入した本がそれ以上の値段で売られていたのです。

内容、文章、ページ数、表紙は何も変わっていません。
価格だけが変わっていたのです。
もし、同じ本を購入しようと思えば、より多くのお金が必要となります。

このとき、世の中では本だけが高価になっていったわけではありません。
店頭で売られるほとんどの品物の価値が上昇していたのです。

上記の例では、女の子のお小遣いは本1冊に比べて価値を失ったと表現できます。
このように、インフレとは「商品の価値」が上がり「お金の価値」が下がる状態をいいます。

物価の上昇度合いを示す指標を「インフレ率」といいます。
具体的には、去年と比べてどれだけ物価が上昇したかをパーセントで表します。

逆にデフレとは「デフレーション」の略であり、物価や賃金が下落傾向になることを指します。
また、デフレ下では経済刺激策の一環として中央銀行は金利をゼロまたはわずかなマイナスにまで引き下げます。

インフレの原因は、2つに要約できる

インフレの原因はさまざまですが、要約すれば次の2つのどちらかで説明できます。

  • 物価の上昇
  • 貨幣価値の下落

貨幣の役割とは、次の3つとされています。

  1. 交換手段
  2. 価値貯蔵
  3. 計算単位

インフレは、「3.計算単位」を不安定にします。
つまり、お金の価値が日ごとに目減りしていくことになります。
そう思えば、誰もお金を「1.交換手段」として受け入れたがりません。
誰もお金を貯めようと思わず「2.価値貯蔵」の役割にも影響を及ぼします。

インフレは、勝ち組と負け組を生む

インフレは、社会の中で「勝ち組」と「負け組」を生む不公平なメカニズムとして作用します。

勝ち組
  • 政府、住宅購入者、一部の企業など、借入の多い人や組織
    負債が増加中の所得と比べて相対的に目減りしていく可能性が高いためです。
     
  • いつでもストライキを実行できる労組加入の労働者
    インフレ率を上回る賃上げの交渉に成功することが多いためです。
     
  • 支配力を持つ企業
    コストの増加分やそれ以上を気安く顧客に転嫁できるためです。
負け組
  • 貧困層や年金受給者たち
    貯蓄を保護するための金銭的な余裕や知識が乏しいためです。
     
  • 個人事業主や零細企業の労働者
    賃金の伸びがインフレ率に及ばない可能性が高いためです。
     
  • 支配力を持つ企業への供給業者、競争の激しい環境で働く人々
    価格交渉力が限られており、コスト増加を顧客に転嫁することが難しいためです。

「貨幣数量説」の集大成となる1つの方程式

「貨幣数量説」は、経済学の理論の一つで、お金の量が物価に影響を与えるという考え方です。具体的には、お金が増えると物価も上がり、お金が減ると物価も下がるとされています。

アーヴィング・フィッシャーの交換方程式は、貨幣量と物価の関係を表します。

MV=PT

  • M:貨幣量
  • V:貨幣の流通速度(たとえば、1年間に貨幣の持ち手が変わった回数)
  • P:物価水準
  • T:取引量

この貨幣数量説の基本的な考え方は、次のとおりです。

  1. 物価は貨幣供給量の変化に比例して変動する
  2. 因果関係の向きは「貨幣→物価」(「物価→貨幣」ではない)
  3. 貨幣量の変化は経済活動に永続的に影響を及ぼさない
  4. 貨幣供給量は、貨幣の発行期間によって制御される外生変数である

このアーヴィング・フィッシャーの交換方程式に関しては、経済学者の間で賛否が分かれることがあります。
批判的な人々は、単純化された性質や現実の経済に対する適用性に疑問を投げかけることがあります。

インフレは、国民の富を「密かに」没収する凶悪な手法

インフレが進む状況下では、現金や国債を持っていたところで、実物資源に対する請求権は日に日に目減りしていきます。
つまり、インフレは富に対する隠れた税金として作用します。
実質金利がマイナスであるかぎり、既存の国債の価値はインフレを続ける国民所得と比べて相対的に下落します。

「実質金利」とは、物価上昇の影響を考慮に入れた後の金利です。

 実質金利 = 名目金利 − インフレ率

「名目金利」とは、銀行や金融機関が提供する通常の金利です。
実質金利がマイナスになる場合は、名目金利よりもインフレ率が高いことを意味します。

 (例)実質金利 = 3% – 5% = -2%

国債とは、国が発行する債券で、一般的には安全な投資とされています。
国債の価値が直接的に下落するわけではありませんが、実質金利がマイナスの場合、物価上昇との相対的な影響により国債の価値は相対的に下落します。

そのため、政府財政にとっては国債の利払いの負担がどんどん軽くなっていきます。

いわば、インフレは貯蓄を持つ人々に対して「こっそりと」課税する手段と言えます。
このようなインフレを悪用した富の収奪の例は山ほどあります。
しかし、政府がインフレを容認した場合、金融当局や財政当局は信頼を失うことになります。
人々は、どんどん価値が減っていく資産を我先にと手放そうとします。
このような状況が進めば、ハイパーインフレのリスクが高まります。

政府の派手なインフレ政策は、金利上昇と為替レート悪化を招く

経済全体の価値が十分急速に拡大していれば、額面上は債務が増加していても政府財務は持続可能になります。

「政府債務」は、政府が借り入れたお金の総額です。
これには発行した債券(借金証券)などが含まれます。

経済全体の価値は、「経済活動の量」と「物価水準」の両方によって決まります。

経済全体の価値 = P(物価水準) × T(経済活動の

「インフレ率」は、物価の上昇率を示します。
つまり、物価がどれだけ急速に上昇しているかを表します。

一定量の経済活動に対する「物価水準」が上昇すればするほど、「一定の経済活動」に対する「経済活動の価値」が高まります。

インフレ率が高い場合、物価が上昇することで債券の実質的な価値が低下します。
政府は同じ金額の債券を発行しても、実際にはそれが少ない価値しか持たなくなります。

その結果、政府が返済する必要のある利息も低くなり、政府債務の持続可能性が高まります。
ただし、これはその他条件がすべて同じならばです。
政府がインフレの力を借りて債務を帳消しにできるという考えには、大きな問題があります。

インフレ政策は通常、物価が上昇し、貨幣価値が低下することを意味します。
そのため、投資家は政府の政策が実施されることによって資産価値が減少する可能性があります。
投資家は、そのリスクに対する保護を求めます。
その要求の一つは、金利の上昇です。
インフレが上昇すると、通常、中央銀行は金利を引き上げてインフレを抑制しようとします。
これにより、投資家は金利上昇によって資産の収益性や価値を維持できる可能性があります。

通常、金利が上昇すると、その国の通貨に対する利回りが高くなり、外国の投資家や貸し手がその国の債券や資産を購入する動機が高まります。
しかし、金利が急激に上昇する場合、外国の貸し手はリスクが高まると感じ、資金を引き揚げることがあります。
その結果、その国の通貨の需要が減少し、為替レートが悪化する可能性が高まります。
為替レートの悪化は、その国の通貨が他の通貨に対して価値を失うことを意味し、輸入品の価格の上昇や国内の物価の上昇を引き起こす可能性があります。

デフレ期とインフレ期で値上がりする資産・値下がりする資産

物価上昇と物価下落の違いを知るため、20世紀アメリカにおける2つの対照的な時期をとり、さまざまな資産の実質利益率を比較します。

  • デフレ期 :1930年代(物価は12%下落)
  • インフレ期:1970年代(物価は117%上昇)

1930年代は、大恐慌と全般的なデフレ傾向を併せ持ったその後の緩やかな不況期、その両方に見舞われた激動の10年間でした。

1970年代は、原油価格の高騰で、アメリカ経済全体がそれまでより貧しくなったこともあり総崩れ状態の10年間でした。

デフレ期 1930年代
(物価は12%下落)
インフレ期 1970年代
(物価は117%上昇)
銀行預金20.5%マイナス11.2%
長期国債69.8%マイナス35.1%
株式市場24.2%4.2%
不動産9.2%5.5%

インフレ期には、「実物資産に投資するのが最善策である」という主張があります。

「実物資産」とは、未来の経済の一部に対して直接的な請求権を持つ資産です。

1970年代が、銀行預金や国債の実質利益率がマイナスだったことからもわかるように、この主張は正しいと言えます。
しかし、それは債券や現金に比べればという話で、「実物資産」の絶対的なメリットを物語るわけではありません。

インフレ下で資産を守るための6つの格言

投資家は、インフレの政治経済的な側面に対して細心の注意を払わなければなりません。

  • 金融機関の不確実性が高い期間には、人々の信念が年ごとに目まぐるしく変わることがある
  • ある年には利益が出る賭けが翌年には損失を生む賭けに変わってしまうことがある

不確実性に加え、潜在的に巨大な変動制に対処するためには、分散こそが唯一のまともな選択肢となります。

インフレ下での資産防衛における6つの格言

  1. 1つの国または通貨圏に投資しないこと(インフレ抑制能力に乏しい国や通貨圏を選んでしまうリスクがある)
  2. 「株式はインフレに強い」と思い込まないこと
  3. 一定量の金を保有しておくこと
  4. 現金や銀行預金の利益率はマイナスなので「過度の警戒はジリ貧になるだけ」と肝に銘じること
  5. 実質利回りがマイナスの場合、資産を借り入れて不動産を購入すること
  6. ユーロの未来に対して長期的な賭けをしてみる

6つ目の格言については、本書で【番外編】という扱いです。

読んだ感想

本書の内容は、経済の知識がないと少し難しい内容だと思います。

私にとっては、とっても難しかったです。

本書では、さまざまな国で起こった経済の出来事を歴史を振り返りインフレについて学びます。
しかし、その出来事は経済に関する要素が複雑に絡み合い構成されるものです。
本書では、もちろん解説されているのですが、読み手の私に行間を埋める知識が不足し過ぎてて理解するのに時間がかかり読み終わるのがいつもより遅くなりました。

何度もAIに解説をお願いしました。

本書で読めるインフレにまつわる様々な国での出来事は面白く読むことができました。
様々な国で行われた政策が、経済を構成する要素が予期せぬ動きを見せることによって狙い通りの効果を出すことができない、または、効果を出せても長続きせず後に裏目に出たりなど経済に面白さを感じることができました。
そのことが、本書を読んで一番良かったことだと思います。

本書は、インフレと、インフレと貨幣の関係性などの歴史が紹介し、それを掘り下げて「中央銀行や政策立案者たちが採用すべき4つのインフレの検証基準」を提言しています。
そして、2000年にわたるインフレの歴史から著者が読み取った「緊急性の高い教訓14ヵ条」「将来的に、インフレリスクをもう少しだけうまく管理するにはどうすればよいのか」という内容で締めくくられます。

本書には、インフレで大打撃をこうむりやすい人たちの一部は、貯蓄を保護するための知識が乏しい人たちという内容がありました。
自分の貯蓄を保護しなくてもいいと考える人は、おそらくこの世の中にいないでしょう。
つまり、本書はすべての人にとっての必読書ということになります。
本書を読んで知識を身につけ、インフレ下で自分に何ができるかを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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