【要約】『Think Fast, Talk Smart』急に話を振られても困らないアドリブ力の鍛え方

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コミュニケーション・人間関係

イントロダクション

タイトルThink Fast, Talk Smart
米MBA生が学ぶ「急に話を振られても困らない」ためのアドリブ力
発行日2024年6月26日 初版第1刷発行
発行所翔泳社
著者マット・エイブラハムズ
著者情報は、上記リンクからご確認ください。

米MBA生が学ぶ「急に話を振られても困らない」ためのアドリブ力。
スタンフォード生の人生を変えた「話し方」の人気講義を書籍化!

表紙を見ると、気になることしか書いていない。

ただでさえ内向的な私は、話をするのが苦手です。
急に話を振られて、頭にある複雑な内容を急いでまとめながら少し長く説明していると、途中で話の着地点を見失ってしまうことがあります。

あれ?なんか話している文章がおかしくなっているような?

そんなときは、話し終えた後に自信を失ってしまいます。

本書を読めば、この問題を何とかできますか?

そう思い、本書を手にすることにしました。

オススメしたい人

  • 人と話すときにストレスを感じる人
  • 人と話して自信を失ってしまったことがある人
  • 急に話を振られるのが怖い人

学べること

即答を求められるのは、誰にとっても恐怖です。
本書によれば、スタンフォード生であってもそれは同じみたいです。

世界のエリートたちでもそうなんですね。
まぁ、そもそも彼らは即答に求められるレベルが高そうですが。

スタンフォードのMBA学生の大半は、思考のスピードを上げ、スマートに話す方法「Think Fast, Talk Smart」を卒業までに習得するそうです。
本書は、スタンフォード生の人生を変えた「話し方」の人気講義を書籍化したものです。

スタンフォードの人気講義の内容を知ることができるなんて、これはすごいことなんじゃないですか?

本書の内容を知れば、誰でも「Think Fast, Talk Smart」を身につけることが可能です。
そのため、「口ベタなので、急に話を振られるのが怖い」を解決することができます。
「Think Fast, Talk Smart」を身につけて「口ベタ」を克服します。
「口ベタ」を克服すれば「急に話を振られるのが怖い」問題を解決することができます。

本書は、PART1、PART2と大きく2つの内容に分かれた構成になっています。
PART1では、「理論編:即答力を鍛える6つのステップ」を学ぶことができます。
PART2では、「急な発言を求められるシチュエーションで使えるレシピとコツ」を読むことができます。

ここでは、本書の内容について私の解釈で簡単にまとめています。

不安対策プラン

「口ベタ」の1つの要因として、人前で話す際に感じてしまう強い緊張感があります。
強い緊張は、注意力、気力、任務遂行能力を奪ってしまいます。
強い緊張感は、強い不安から生じています。
まず、不安の症状への対策をする必要があります。

不安の症状に対するテクニック

不安の症状に対するテクニックには、たくさんのものがあります。
ここでは、おすすめの3つのテクニックを紹介します。

「緊張」ではなく「興奮」と捉える

不安を興奮と捉え直しましょう。
身体の影響は、不安も興奮も変わりません。
不安への反応は変えられませんが、興奮なら何とかコントロールできる感覚をつかめます。
人前で話す機会を脅威ではなくチャンスと見なして「楽しみで興奮している」と自分に言い聞かせることでパフォーマスを上げることができます。

腹式呼吸

腹式呼吸をすると、気分が落ち着き、心拍数が下がり、口調がゆっくりになります。
不安の緩和に効果があるのは息の吐き出しです。
息を吐く長さを息を吸う長さの2倍にすると良いでしょう。
2回、3回と腹式呼吸を繰り返すことで自律神経を整えることができます。

「あの・・・」「ええと・・・」をなくす

「あの・・・」「ええと・・・」を何度も繰り返すと、話の本質が見えにくくなります。
「あの・・・」「ええと・・・」を出てこなくするためには、文や語句の終わりで息を吐き終えるようにします。
すると、そこで息を吸うことになります。
息を吸いながら話すことは不可能なので「あの・・・」「ええと・・・」を挟まなくなります。

不安対策プラン

不安に対するテクニックは、探せば世の中にたくさんあります。
自分に合うテクニックを3~5つ見つけましょう。
それらのテクニックをまとめて覚えやすいようにそれらの頭文字を並べます。
それが、「不安対策プラン」です。

たとえば、次の3つのテクニックをまとめるなら「SHK」です。

  1. (S)深呼吸
  2. (H)開き直る
  3. (K)心を落ち着つける言葉を唱える

「不安対策プラン」をつくっても応急措置としているだけではいけません。
「不安対策プラン」を実生活で試してください。
そして、効果が無いテクニックは他のテクニックに入れ替えて更新していってください。
そうやって感情のコントロール方法を少しずつ身につけていくことが大切です。

話すことへの不安を解消する、自分の「不安対策プラン」を身につけておく。

本書では、効果がありそうな不安対策のテクニックがいくつか紹介されています。

「ありきたりであれ」と考える

成功すれば、賞賛、報酬、肩書といった見返りを得る。
失敗すれば、見下され、辛らつなフィードバックを与えられる。
私たちは、そんなパフォーマンス重視の文化で育ってきました。

そのため、私たちは完璧なパフォーマンスにこだわろうとしてしまいます。
自分には何とかできる能力が備わっていると信じようとします。
そして、期待したパフォーマスができなかったとき、無力感を感じて自分を責めてしまいます。
そんな完璧主義にはストップをかけなければなりません。
その方法は、「ありきたりであれ」と考えることです。

出来にこだわる必要がないと思えれば、プレッシャーから自己を開放することができます。
そうすれば、認知能力をフルに活用できるようになります。
認知能力をフルに活用できれば、斬新なアイデアを取り入れたり、ジョークを披露したり、ありきたりでないコミュニケーションを達成する確率が高まります。

プレッシャーの原因となる完璧主義にストップをかけるために「ありきたりであれ」と考える。

コミュニケーションのペースをゆるめる

「聞く」という行為は、コミュニケーションを円滑に進めるうえで欠かすことができません。
しかし、ただ相手の話に耳を傾ければいいというものではありません。
「聞く」という行為を通して、相手が伝えようとしていることの本質を知らなければなりません。

聞くことの効果を高めるためには、相手の話し方などの非言語的サインにも注意をはらい、話し手の感情やニーズを読み取らなければなりません。
そのために必要なのは、時間です。

相手が発する言語的情報・非言語的情報をしっかりと理解するために、心を落ち着け、何事も早々と決めつけず、動作や反応のスピードをゆるめましょう。
コミュニケーションにおけるペースをゆるめるためには「意図の明確化を目的とした質問」をするといいでしょう。
たとえば、次のような質問です。

「どうしてそう思うのですか?」
「それがどう役に立ちますか?」
「もう少し説明してもらえませんか?」

また、「相手の発言の言い換えや要約」をすることや「言わずに済まされていることへの質問」をすることも効果的です。

上記で説明した質問は、自分の脳が相手が発している情報を吟味し理解するための時間稼ぎであり、同時に話し手が伝えようとしていることの本質に近づくための情報を得ようとする有益なものです。
コミュニケーションのペースを落とすことで生じる沈黙を恐れる必要はありません。
相手だって時間を必要としているのです。

また、相手に意識を集中させつつ、自分からもどのような非言語的サインを発しているかに自覚的でなければなりません。

「聞く」コミュニケーションでは、私たちは自分の内なる声にも耳を傾けた方が良いです。
他者と心を通わせるためには、相手に自分の気持ちを伝える機会を意図的に探しましょう。

「先ほどの発言で感じたことがあります」

このように、どのような感想を持ったかの説明に努めてください。
そうした習慣により、自分の気持ちを受け止めて周りの人と共有することがうまくなります。

自分にも相手にも言語的・非言語的情報を理解するための時間が必要。
その時間を稼ぐためにコミュニケーションのペースをゆるめる。

話を構成する

アドリブを求められたとしても、ある程度は備えておけます。
それが、コミュニケーションにおける「構成」です。

本書では、構成を次のように定義しています。

「複数の観念を論理的に結びつける叙述または物語」を「始め-中-終わり」に整理するもの

「構成」とは「始め-中-終わり」の論理的な流れを型とした話法です。
たとえば、次のような型があります。

  • 「問題-解決策-利得」の説得型
  • 「過去-現在-未来」の時系列型
  • 「比較-対比-結論」の対象型

話し手にとっての「構成」は、ツアーガイドの地図の役割をします。
地図によって、これから見学する場所を示し、順路通りに進めば見学者は迷わずに済みます。
スピーチでもツアーガイドと同様に出発点や終着点を把握しておく必要があるのです。
上手なスピーチの軸には、必ず構成があります。

たとえば、「問題-解決策-利得」なら次のようにテーマ転換を行うことができます。

「問題は○○だとわかったところで、次に簡単に解決する方法をお教えしましょう」

このようにテーマが「問題」から「解決策」に転換する構成を示すことで聞き手が話の流れを追いやすくなります。

地図にたとえて言うと、自分の現在地を確認できるので迷子にならないということですね。

また、「始め-中-終わり」で構成されたメッセージは、物語のように伝える効果があります。
物語は、感情をかき立て、聞き手の興味を引くことができます。
さらに感情と結びついた記憶は頭に残りやすくなります。
感情によって気分を鼓舞し行動を喚起することにもつながります。
それだけではありません。
この物語仕立ての最大の長所は、他の人が話す際の再現性に長けていることにあります。
そのため、メッセージが拡散されやすくなります。

構成の型「何-それが何-それで何」

本書のPART2では、様々なシュチュエーションごとに役立つ型が紹介されています。

祝辞・弔辞・紹介「機会-関係-逸話」
売り込み・説得「問題-解決策-利得」
質疑応答「答え-例-価値」
フィードバック「気付き-考え-協力-効果」
謝罪「責任-思いやり-措置」

たとえば、こんな感じですね。
問題 :ビジネス書を買ったけど自分が求める内容じゃなかった。
解決策:そんな経験がある人には、pukoblogがおすすめです。
利得 :要約を読んでから買うビジネス書を決めれば失敗しません。

型はいくつもあるので身につけるのは大変に感じる人もいると思います。
本書では、自分が遭遇する場面に見合った2つか3つの型に絞ることをすすめています。

ここでは、シンプルで応用範囲が広い「何-それが何-それで何」の型を紹介します。
「何-それが何-それで何」だけ覚えておけば、あらゆる場面で使うことができます。

「何-それが何-それで何」は、次のように使います。

意見や重要ポイントを明らかにする
それが何「何」の情報の重要性を説明する
それで何新たな知識に基づく行動を相手に提案する

本書も「何-それが何-それで何」によって構成されています。

構成とは、どういうものかを定義する
それが何「構成」のメリットを紹介する
それで何アドリブにどう活用できるかを説明する

このブログ「pukoblog」の紹介メッセージを「何-それが何-それで何」によって構成してみました。

本の要約ブログ「pukoblog」は、読書が人生を豊かにすることを広めています。
それが何pukoblogは、本の要約と感想を通して忙しい人たちの読書をサポートします。
それで何今のあなたに最適な本を一緒に探してみましょう。

pukoblogをよろしくお願いします。

「何-それが何-それで何」は、雑談にも応用できます。
雑談での「何-それが何-それで何」には、2つの使い方があります。

1つ目は、こちらから会話を始めて続けるための使い方です。
使い方の例を見てみましょう。

今日の基調講演についてどう思いますか?
それが何講演の内容はすぐにどう役に立つと思いますか?
それで何この後予定されている講演者との交流会に参加しますか?

「何」から「それが何」で会話を続けます。
会話の流れによっては型から脱線してもかまいません。
会話の勢いが失われてきて型に戻りたくなったら「それで何」を使えば戻ることができます。

2つ目は、相手から持ち出された会話を発展させるための使い方です。
使い方の例を見てみましょう。

(相手)「どうしてここ(アウトドア用品の見本市)にいらっしゃったのですか?」

私は、もう何年もハイキングを趣味にしています。
それが何ケガせず長く続けたいので、最新の装備やツールを見たくて来ました。
それで何あなたもアウトドアによくお出かけしますか?

構成の型をいくつか身につけておくと予想外のシチュエーションにでも飛び込んでいくことができるようになります。

「何-それが何-それで何」は汎用性がある分、ちょっとつかみにくいですね。
ちなみに原文では「What, So What, Now What」の表現のようです。

What(何) 事実や情報を提示する
例: 「このデータは何を示しているのか?」
So What(何で)その事実や情報の重要性や意味を説明する
例: 「このデータが示すことの重要性は何か?」
Now What(何が)次に取るべき行動やステップを提案する
例: 「この情報を基に、次に何をすべきか?」

上手なスピーチの軸には必ず構成がある。
話題と聴衆を考慮して最適な型を選択し話を進めると成功の確率が大きく上がる。

焦点を定める

コミュニケーションでは、すっきり要領を得た発言が最も効果的です。
要領を得ていなければ構成に沿って伝えても聞き手は話を聞くのを止めてしまいます。
情報を聞き手が受け止めやすい形にした「焦点の定まったメッセージ」にして届けなければなりません。

「焦点の定まったメッセージ」の形にするためには、まず伝えることで「何を達成したいのか」が明確である必要があります。
そのためには、次の3つの目的をはっきりさせなければなりません。

  1. 知って欲しいこと
  2. 感じて欲しいこと
  3. 実行して欲しいこと

この3つの目的をはっきりさせることは、話し手が考える「何を達成したいのか」を聞き手側に正しく共有することに役立ちます。

伝えたいメッセージが、聞き手に関係ある内容であれば強く響きます。
そのため、メッセージの内容は「聞き手が持つ願望やニーズなど」との関連性を意識して考えなければなりません。

重要なのは、「わかりやすさ」です。
そのため、専門用語や略語は極力使わないようにしましょう。
メッセージを簡潔なものにすると、伝わりやすくなります。
一方で、簡潔にし過ぎると情報が少なすぎて聞き手は困惑してしまいます。
簡潔さとわかりやすさの絶妙なバランスが、話し手の腕前の見せどころです。

コミュニケーションでは、すっきり要領を得た発言が最も効果的。
「何を達成したいのか」を明確にし、相手の関心を引くことが重要。
専門用語や略語を使わず情報の過不足のバランスに気をつけて簡潔に伝える。

読んだ感想

本記事の内容は、本書のPART1の内容を中心に要約したものです。
要約のために読み返してみると1回目に読んだときは普通に流してしまった1文が、実は重要な意味を含んでいることに気づくことも多く、要約に時間がかかってしまいました。

時間はかかったけど、楽しく要約させていただきました。

PART1の理論編は、簡潔ながらも内容が濃いので、きっと何回読んでも新しい気づきを与えてくれるのではないかと思っています。
本書を読んで私が「一番ためになった」と感じていることは、構成の型です。
もちろん構成の型の存在は知っていて文章を書く際に取り入れることもあるのですが、いま考えると不思議なのですが口頭によるコミュニケーションではまったく意識したことがありませんでした。
無意識レベルでやっていたということはあるかもしれませんが、これからは意識的に使っていこうと思います。

PART2の内容は、よくあるシチュエーションでのコミュニケーションについて、大事なことが簡潔に書かれていてとても重宝します。
シチュエーションごとに使える型を知ることは、構成だけではなく、その場に相応しいメッセージにどんな内容を込めればいいかも教えてくれます。
これを見た私は、「こんな本が欲しかった」と思いました。
巻末には、型をすぐに復習できる「シチュエーションごとに使える型の一覧」が付録としてついていて至れり尽くせりな内容になっています。

巻末の付録を読み終えて本を閉じたときの私の最初の感想は、こうです。

誰でも「Think Fast, Talk Smart」を身につけることを可能にするという冒頭の説明はウソじゃなかった。

いま、何かを話さなければならないシチュエーションを目前に控えている人もいるかもしれません。
その場合、即効性を求めてPART1を未読のままPART2の気になるところから読んでも問題ありません。
そのため、「ゆっくり本を読んでいる余裕はないんだよ!」という人にもオススメできます。

山場を越えた後にPART1をじっくり読めば、反省点などが見えてきて高い学習効果がありそうですね。

急なスピーチを頼まれたり、急な面接試験が入った人が身近にいたら、この本のことを教えてあげると、喜ばれると思います。

他者とのコミュニケーションは苦労が多いですが、それでも私たちがコミュニケーションを大事にしているのは、それだけ見返りが大きいからなのでしょう。
本書には、「コミュニケーションの苦労を減らし、見返りを大きくする」効果があります。
本書は、本気でみんなに読んで欲しいと思える一冊です。